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護衛依頼。選り好みも冒険者の権利です! 2

 一見すると、普通の駆け出し商人夫妻。


 旦那さまは誠実そうな、奥さまは穏やかなほのぼの雰囲気を漂わせている幸せそうな新婚のご夫妻。

 に、見えていたんだけどねぇ……。


 旦那さまはこの街では有数の商家の跡取り息子、奥さまはこの街のトラットリアの次女兼看板カメリエーラ。2人の出会いは旦那さまが奥さまのお家のトラットリアに食事に行った際に一目惚れして猛アタックの末に口説き落としたという、至って普通の、どこにでも転がっていそうな馴れ初めで。


 その後真剣なお付き合いを経ていざ結婚を!という際に、お金持ちである旦那さまのご両親(お金持ちの家のお嬢さまとの縁談を検討中だった)と、身分違いの結婚は娘が苦労するだろうと考えた奥さまのご両親から揃って猛反対をされてしまった、というのも、まあ良くある話だろう。いわゆる❝お昼のドラマ❞にありがちな展開だ。


 でも、猛反対に負けずに2人手に手を取って❝駆け落ち❞なんて安易な方法を選ばす、根気強く両家のご両親を説得し、❝元金に100万メレ用意してやるからこの街を出て2人で商売をし、5年以内に1,000万メレの利益を出したら2人の結婚と店を継ぐことを許可する❞との譲歩を引き出したのは、2人の頑張りの成果だよね!


 たとえ❝条件を達成できなかった時には2人は別れ長男は家に戻る❞、❝跡取りは10歳年下の三男とし(次男は壊滅的に商売のセンスがないらしい)、長男は三男の補佐になること❞なんて鬼のような条件が付いていたとしても、チャンスはチャンスだ。


 5年以内に1,000万メレの利益を出すということが難しいのか簡単なのかは私にはわからないけど、2人には頑張って欲しいと思う。


 2人の親御さんたちも、本心では応援しているんじゃないかな? 厳しすぎる条件だけど❝物を商う商売が基本だけど、それ以外のアルバイトで稼いだ金も利益に含めることを許す❞なんて抜け道も用意してくれてるんだから。


 でも、私が2人を応援する気持ちと、私たちがこの依頼を受けるかどうかは別の話なんだよね……。


 だって、私の大切な従魔(ほごしゃ)たちが、


(他人の心配よりもまず自分の心配にゃ! 僕たちが貧乏だってこと、忘れないで欲しいのにゃ!)

(ぼく、アリスといっしょにおいしいごはんをたべたりおふろでいっしょにあそびたいから、びんぼーはかなしいなぁ……)


 なんて心話を送って来てるから。拘束期間が長い上に依頼料が雀の涙のこの依頼を受けるのはちょっと難しい。


 でも……、何とかしてあげたいなぁって、気持ちもやっぱりあって…………。でも、大切なハク達に不自由な思いをさせ続けるのは、やっぱり嫌で……。


 う~ん……、どうしよう?


 何とかならないかともっと詳しく話を聞いてみた。けど……。


 王都付近の集落まで25日ほどの予定を短縮できないかと聞いてみたら、馬車を引くのは実家からもらった年老いた馬が1頭だけなので、無理をさせることが出来ないとのこと。


 依頼料の値上げ(1日1万メレ。食費やポーション等の諸経費は冒険者個人の負担。長期拘束の護衛依頼としてはとんでもなく安い)については、自分たちの貯えが多少はあるのだけど、それを使うことは許可されていない。元金の100万メレから全ての経費(生活費を含む)をやりくりしなくてはいけないので、値上げは難しいとのこと。


 う~ん……。なんともならないなぁ……。


 う~ん……、う~ん……。


 うん! だったら、こっちから条件を付けてみようかな♪


ありがとうございました!

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