表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

111/124

第109話 国際連邦センターを目指して

 王国の聖騎士団と帝国の黒騎士団を先頭に進軍が始った。

 敵はオークやゴブリンと言った魔物が先陣だが、奥にはドラゴンや悪魔、天使が控えている。


 騎士団と魔物の交戦が始まる。

 しかし、一人の戦士がすぐに突出し、魔物達を次々と倒し始めた。

 魔物の攻撃をスレスレで回避し、懐に切り込んで必死の一撃を叩き込む。


 長い金髪で青い鎧を纏っている、勇者エレインさんだ。

 知勇兼備のスキルを持つエレインさんは、間合いを見極める能力と、恐れずその隙に攻める勇気を持っている。


 金城鉄壁のスキルを持つ、全身鎧の屈強な戦士、ガレスさんも、最前線で仲間を守りながら、大斧で次々魔物を蹴散らしている。


 神算鬼謀のスキルをもつのは、魔法使いのマリスさん。

 補助魔法をかけながら、強力な攻撃魔法も行使している。


 美しきレンジャーの女性、ルナテラスさんは弓で勇者一行の援護射撃。

 高レベルのマッピングの魔法で、戦況も分析して指示を与えている。



「みんな!

 陣形を守って、チームワークで戦うんだ。

 一人で前に出過ぎるんじゃないぞ!」


 協調性を身に付けた戦士ヒューゴ君は、マイリスの冒険者達のリーダー的な存在になっていた。

 ヒューゴ君のお姉さん、シスターのアミシアさんも一緒だ。



 カエデのお父さん、スイレンさんとお兄さんのアサガオさんも冒険者に交じって参戦。

 鋭さが売りのポントー術で、魔物達を撃破している。


「リンクス、お願い」

「オレ達も行くぞ!」


「ディフェンストレングス!」


 カエデとウガガウにも補助魔法をかける。

 もちろんこの二人も、息の合った連携で敵を撃破していく。


 強力な魔界の魔物との戦いだが、決してひけをとっていない。

 これだけの精鋭が集まっていると、僕は攻撃よりも支援に回った方が良さそうだと思った。

 僕は方々で補助魔法や回復魔法をかけ回った。

 戦線が確実に押し上げられて行く。


 いい感じだと思っていたところだったが、エレインさんが後退して僕に近づいて来た。


「リンクス、堕天の魔王を倒せるのはお前だけだ。

 もっと前に出るんだ」


「お前が国際連邦センターに辿り着かないとどうにもならねえんだ」

「戦線の維持はわたし達に任せて進んで下さい」


 とガレスさんとマリスさんも。


 そうだった。

 今までは補助や回復がメインだった。

 だけど、イスカリオンを倒せるのは僕の大しりとり魔法だけだ。

 マリスさんを始め、ここには補助や回復のスペシャリストも大勢いる。

 僕のやるべき事は後方支援ではない。


「ほら、乗れよ」


 一人の騎士が近づいて来た。

 栗毛の馬にまたがった、その黒騎士はベルナールだった。


「馬に乗れるの?」


 孤島の漁村を出て冒険者になった僕達は、馬の乗り方なんて知らなかった。


「黒騎士団でみっちり仕込まれたからな」


 馬術は帝国で学んだようだ。


「帝国兵か。敵地への切り込みを任せていいのか?」


 エレインさんはベルナールを知らない。

 少し警戒しているようにも見えた。


「彼はルーンラダーを手に入れる時、協力してくれたベルンハルトです。腕は確かです」


 一応、帝国での名前である、ベルンハルトと呼んでおく。


「そうか、よろしく頼む」


 帝国との共同作戦だし、エレインさんもそれ以上は何も言ってこなかった。


「露払いは勇者様がやってくれるんですよね」


 ベルナールも、有名人のエレインさんの事は、知っているようだ。


「それは任せておけ」


 エレインさんはそう答えると、また魔物達に向かって行った。


「じゃあしっかり捕まってろよ」


 ベルナールが手綱を握ると馬が駆け出した。


「マジックバリアジリティ!」


 僕は魔法の障壁を作り、敏捷さを上げる魔法をベルナールとその馬にかけた。


「ライトニングラビティ!」


 そして、襲って来る敵も迎撃した。


「大した威力だな」


 ベルナールが前を向いたまま、言った。


「帝国の魔道士団にも、これほどの使い手はそういない。」


「魔力アップのスキルばっかり59個も持ってるからね」


「そうか。そうだったな」


 ベルナールは飛びかかって来る敵は剣で払い退けて馬を進める。


「ベルナールの馬術も立派なものだよ」


 一年で芽が出なければクビだと言われた、なんて言ってたけど、とんでもない。

 馬に乗りながらの戦闘も難なくこなしている。


「お前の大魔法の特訓の間に、おれも訓練し直した。

 負けてられないからな」


 彼も腕を磨いていたようだ。


「クレーヴェ公爵が指導してくれたんだ。

 お前に迷惑かけないようにってな」


「クレーヴェ公爵?」


 帝国和平派の中心人物で、小太りの温和な人物だ。

 馬術を教えるイメージではない。


「あの人はかつて『鬼クレーヴェ』と呼ばれた黒騎士団長だ」


「お……、鬼クレーヴェ!?」


「知らなかったのか」


 初めて聞いた。温厚な人柄からは想像がつかない。

 そう言えばなんで、公爵がノルド山脈の戦いに付いて来たのか分からなかったが、臨時で指揮を取っていたのかも知れない。


「今は侵略戦争に参加した事を悔いているようだな」


 戦争を知っているが故の和平派、と言う事なのか。


「お前の知り合いなのもバレちまった。

 まあそれでお前を乗せる事になったんだがな」


 ここで駆け付けて来たのは公爵の指示だったようだ。


 精鋭達の活躍でだんだん魔物の攻撃が減ってきた。

 そこで僕はベルナールに話かけてみた。


「ねえ、戦いが終ったら、一緒にシャオンス村に行こうよ。

 ジョゼフとドニーズの子供が生まれたら、顔を見に行こう」


 二人とも約束した事だし、実現したい。

 しかし、ベルナールは前を向いたまま、しゃべらない。


「ベルナール、聞いてる?」


「うるせえな。聞いてるよ」


 不機嫌そうな声だった。


「いちいち言わなくていい。

 ……始めからそのつもりだ」


 やはり前を向いたままのベルナール。


「そっか」


 僕はそれ以上何も言わなかった。


 魔物の群れの中を突破する僕達。

 しかし、しかしその戦線は二体の人型の敵に止められる。

 白銀の甲冑を纏った、眼鏡をかけた天使と、巨体の悪魔。

 アークエンジェル、エーメと、アークデーモン、リベンだ。


 エーメはしなやかながら、強力な剣技を誇る。

 リベンは素手だったが筋骨隆々で、武器を持った騎士団や冒険者をものともしていない。

 僕達もここで動きを止めざるを得なかった。


「リンクス=リーグルか。

 久しいな」


 眼鏡に手を当て、こちらを一瞥するエーメ。

 かつては一緒に旅をした事もあったが、僕を罠にはめ、魔法を奪われる原因を作った人物でもある。


「ぬうううん!

 何人たりともここは通さんぞ!」


 そして、アークデーモン、リベンは帝国の大司祭にその身をやつしていた。

 この人物も罠の手引きをした人物だ。


 彼らが国際連邦センターを目指す僕達を見過ごす訳がなかった。

 こちらに滑空して向かって来る天使と悪魔。


 しかしその時、エーメに向かって跳躍する影が現れた。

 空中での斬撃をブロードソードで受け止めるエーメ。


「リンクスの邪魔はさせない!」


 サムライ少女カエデだった。


「わたしを止めた、だと?」


 かつては弾き返した相手だったが、今回は停止せざるを得なかった。

 受け止めた斬撃は重く、力強かった。

 着地したカエデの手にあるポントーは、腰に下げたものより長く幅も広い。


「この剛剣サダミツで、あなたに勝つ!」


 こうしてカエデとエーメの二度目の戦いが始まった。


「ならば我が貴様らを打ち取ってやるわ!」


 僕とベルナールに迫るアークデーモン、リベン。

 しかし、


「ウガーーーッ!」


 その巨体に飛びかかる小柄な姿。

 バーサーカー少女、ウガガウだった。


「お前の相手はオレなんだぞ!」


 その手には皇帝イサキオスから譲り受けたハルバードがあった。


「いつぞやの(わっぱ)か。

 なかなかの強さだったが、我には及ばぬ」


「父ちゃんと特訓したんだぞ。

 リンクスの邪魔はさせないぞ」


 ウガガウとリベンの再戦も始りつつあった。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ