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重量に叩き落とされ地面に激突すると体がバラバラに散らばるような感覚で悶える、声も呼吸もでないがなんとか肘を立てて足腰を持ち上げ震える体を壁を背に預け立ち上がる。


周りを見渡せば破壊しつくされた城下町が炎で包まれていた。恐怖の悲鳴はもう聞こえず生き残ってる人間もいるかどうかも怪しい。痛みで視力が歪む中でフェルを発見した。


カズヤと同じく痛みで全身を震わせ立ち上がり怒りの目で射抜くように見据えてくる。その怒りを受け止めカズヤは笑う。



「楽しいな、こんなに楽しいなんて何年ぶりだろうな……もうすぐだ、あの糞ったれなテツの野郎をぶっ殺せる」



「獣ですね」



「よく言うぜ、お前の主人のテツも獣だろうが。お前テツの事好きなのか? やめとけよ、あいつはお前の気持なんて物より目の前の女の体を取るような男だぜ」



フェルの目から怒りでは消え同時に光も消えた。カズヤの全身が何かに怯えだし震えが止まらない。熱が出たように頭がグラグラと揺れ嫌な物が一斉に起き上がってきた。



「我が父が宿主と選んだ遠藤カズヤ、一応は貴重な竜族だから竜として葬ってあげます」



まず肩から骨が突き破り次に肘、関節から出血と共に骨が肉を破り出てくるとフェルの姿が変わっていく。鈍い音が響き小柄のフェルの体が膨らんでいく。燃え尽きた家を飲み込み巨大化していく。


真っ赤な塊が巨大化していく……その大きさはやがては城すら見下ろすほどまで膨らんでいく。そして何かの合図のように弾け飛ぶ。真っ赤な血らしき物を飛び散らし中から現れたのは。



「バアアアアアアアアアアアアアア!!」



銀色の鱗を輝かせた竜が咆哮を上げながら現れた。足元には豆粒のようなカズヤがいた。どう抗っても覆せない大きさの差を見せ付けられてしまう。



「これでも楽しいというか遠藤カズヤ!!」



邪悪な竜の外見とは逆に少女のような声で押し潰すように言うとカズヤは笑い続けていた。



「ハハ!! こりゃ無理だな~今からテツの野郎の元へ戻るかぁ」



「弱音を吐くな遠藤カズヤ!!」



「さすがに無理だろ。いくらなんでも……」



心臓が爆発するように高鳴る。全身が炎の中に放り込まれたように熱くなり肉が皮膚が切り裂いていく。突然の異変に悶え苦しみ転げ回る。まるでレグナと初めて出会った時のように。



「言ったであろう!! 完全な竜になったと、遠藤カズヤ目覚めの時がきたのだ、さぁ愛しいわが娘と決着の時ぞ!!」



見ていた景色が加速していく、立っていた地面が遠くなっていく、何事かと自分の手を上げ見ると鋭い爪が更に鋭利になり腕の大きさがおかしい。先ほどまでいた場所が小さく見えるほど巨大な腕。



「あ、ああ……ウガアアアアアアアアアア」



銀色とは反対の黒だった。広げた翼で炎の中で残っていた家を消し飛ばし、尻尾で燃え尽きた死体を一体残らずすり潰し完全な竜となり漆黒の鱗で包まれたカズヤは吼える。


手を軽く握ると感じる。完全な竜となったばかりなのに動かし方がわかる、頭ではなく感覚で動かせる……顔も人間の面影が完全に消え竜になった。大きさが何倍、何十倍にもなりフェルの前に現れ邪悪な笑みを浮かべた。



「さぁこれで同じだぜ。覚悟はいいか糞女ぁ」



「その喉元食い千切ってただの肉塊にしてやりますよ」



二匹が同時に身を屈めるとそれだけで大気が震え突風が起こる。三本指になった脚指を地面に食い込ませて互いに睨み合った瞬間に同時に飛び上がる。


空中に羽ばたき翼を動かし上昇していき雲へ突っ込み、その雲すらも切り裂きフェルとカズヤは異世界の地で人類が今だ到達していない空へと戦いを移した。

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