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雲を砕き大地を振動させる竜の存在を最初に気付いたのは見張り塔の騎士だった。突然巨大な塊が振ってきたと思えば両翼を広げ弾けるように竜の姿を現す。叫び声というにはあまりも大きく生き物の声とは思えない音を出し炎に包まれていたベルカを飛んでいく。


下は既に炎の大海が広がり上には人類が抗えない竜。見張りの騎士は城内に連絡をつけようと声を出そうと瞬間に言葉が止まる。竜は真っ直ぐ向かってきている。白銀の鱗を下からの炎の光で反射させながら。



「竜だぁああああああああああ!!」



一瞬遅れたが力の限り叫び知らせると同時に見張りの塔は竜の頭により消し飛ばされてしまう。それを見た数人の騎士達は城内に駆け込み守りを固めるように叫ぶ。守るしかないという判断、強襲をかけてきた二人の事もあり徹底した守備を選ぶ。



「久しぶりあの野郎の顔も拝みにいくか」



竜の背中に乗る一人の男が城の上空まで行くと飛び降りる。そこからは何枚も天井と床を突き破り城内に力推しで進入。降り立った場所は騎士達が守りを固めていた中心部。



「ベルカの騎士共か」



両の拳は紫炎に包まれ、全身は悪魔の甲冑に変貌していた。顔はまだ人間のままだがその風貌は悪魔。一歩歩き出すと騎士達が叫ぶ。



「魔王テツ貴様一人でよくこれたな、ここで叩き殺してくれるわ!!」



周辺の騎士達が一斉に襲い掛かってきたが誰一人の攻撃にも手応えはなく武器を振り下ろした騎士達はテツの姿を探す。



「所詮はごっこ遊びの剣術だな。これじゃ戦場駆け回ってる傭兵達の方が使えるぜ」



数人の騎士が吹き飛び壁に激突しベッタリと血を張り付かせ絶命している。噂には聞いていた……魔王は素手の技術で戦うと、騎士達は半信半疑だった、素手を舐めていたのだ。


どう考えても剣の方が強いと。リーチもあり破壊力も遥かに上と、しかし本物に出会う。数人で一斉に襲いかかってもカスりもせず敏捷に動き回り捕らえられない。煙のように動き拳を刺されると一撃で破壊されてしまう。



「ルーファスの馬鹿はどこだ」



「答えると思うか!! 貴様のせいでどれだけの命が、どれだけの家族が悲しんだと思っている!!」



「あ~嫌だねぇ~お決まりの台詞。お前らはそんな言葉で俺が罪悪感とか感じると思うのか?」



また騎士がテツの拳により殴り殺されてしまう。拳についた血は炎が蒸発させてしまう。



「むしろ優越感を感じてしまうね。俺が数えれないほどの命を奪ったんだぜ!! 信じられるか!! あの安アパートで糞みたいな暮らしをしていた俺がだぞ!! 最高じゃないかハハハハハ」



その笑い声は残りの騎士を撲殺するまで止まりはしなかった。扉を何枚も開けて部屋を移動していくと、ある通路に出る。先には分厚い扉が見えようやくかと思い走り出す。



「いい加減互いに嫌になる関係だからな、決着つけにきたぜ!!」



扉を勢いよく殴り無理矢理開けると真っ白なマントを着た老人の背中が見えた。その部屋は王がいるとは思えないほどに豪華さはなかった。無機質な石壁に汚れが目立つ石床。壁には武器が立掛けてあるだけ。


他には何もない。王が腰をかける玉座すらない。背中越しに王ルーファスは鞘を頭上で剣を引き抜いていく。



「相変わらず馬鹿だなテツよ。まさか魔王が一人で突っ込んでくるとはな」



「その馬鹿に国を滅茶苦茶にされてる気分はどうだいルーファス」



「私の誤算だったな、出会った頃はすぐ死ぬだろうと思っていたが強力な力を宿しいい駒になると思っていたんだがな」



振り返るとテツが出会った頃のルーファスの面影はなく、いつも余裕の笑みではなく決意を固めた表情で剣を構えていく。



「お前の父ソウジは大量の部下で取り囲んで殺したらしいが私には堂々と戦うのか」



「確かに親父は強かったさ、さすがに驚いたねぇ~あの執念には参ったぜ~……でもまぁお前程度だったらいいわ」



使い込まれた石壁に囲まれた城内の一室で魔王と反逆の王が対峙した。




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