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両の肩が膨れ上がった丸型の黒玉を装着し何かを巻き込む音を出し異様な装備でバルサスはカズヤの前に立つ。巨大化した肩から延びる腕も太い、常人の数倍はあろう太さで重そうに歩を進めてくる。



「まさかお前が賞金首とはな。悪いが容赦なしにやらせて貰うぞ」



「そんなふざけた装備でやろうってのかよ」



腕が動き出すと背中に背負っていた2本の巨大な斧を握り締め更に重さを増していく。握った腕は斧の重量で地面に落ちまともに動ける体制ではないとカズヤは警戒を解いた瞬間にバルサスの腕が動く。


地面を削るとるように腕が左右に動き、反動をつけ更に加速すると宙に浮く。反動は止まらず砂煙を巻き起こしバルサスは笑う。



「お前の首には魔王様がとんでもない賞金をつけたんでね、いただくぞ!!」



腕は斧を宙に浮かせ振り回し遠心力という力を与え重さを利用し更に加速……それは2本の斧がありえない速さで走り出す光景を生み出した。



「いろいろ考えるもんだなぁ~でもまぁテツの馬鹿の頭で考えただけあってただ振り回してるだけの玩具だな」



「もしこの状態になる前に襲い掛かってこられたら俺の負けだった」



互いの距離は10メートルはありカズヤは余裕という顔だったが一瞬で凍りつく。好き勝手振り回してた腕が突如迫ってくる。斧の重量と遠心力が加わり反応した瞬間には肩の一部が甲冑と一緒にえぐられてしまう。



「うぎぁあああ!!」



「頭を一撃で粉砕するつもりだったが竜となったという事は本当らしいな」



削ぎ落とされた肩を抑え膝をつきバルサスを見ると両腕は伸びていた。伸ばした腕の先で斧が恐ろしい風切り音を鳴らしながらバルサスを中心に暴れまわりながら標的に向かい威嚇の音を上げていく。



「対竜装備だそうだ。こいつを自在に扱うには随分と苦労したが効果はあったようだな」



黒玉の肩の内部に大量に伸び縮みする特性の義腕を仕込みバルサスの腕と指で操作し人間では到底届かない間合いからの一方的な攻撃を作り出す。儀腕の繋ぎ目にも仕掛けを仕込み攻撃する角度まで自在に変えられる儀腕を操りバルサスは再び仕掛ける。



「半人前あれはまずいぞ!!」



レグナの声が響いた時には極太で斧を受け止めるが一撃もらっただけでわかる。まともに食らえば首どころか胴体を千切られてしまうと、カズヤは奥歯を噛み締め振り払うと一気に駆け出す。



「そうだよな。近付けさえすればこいつは無力化できると思うよな」



地を這うように走る。人間離れした脚力でなら一瞬でと思うが横から風切り音に反応し極太を盾に身を隠すと再び斧が直撃し転がっていく。



「ハハハ!! こいつはすげぇな!! あの反則的な強さと噂された竜がこんなもんかよ」



バルサスは口を大きく開け叫ぶ。元々積み重ねという強さでここまで上り詰め、今まさにその努力が身を結ぶ。近付けさえしなければ勝てる。一方的に弄るように殺せてしまう。竜を殺したのならば英雄扱いも夢じゃない。



「だからって油断はしないがな、大技は駄目だ。隙が少ない振りで確実に傷をつけ殺す」



儀腕の内部で派手に暴れ回る腕と斧とは反対に生身の指と腕が正確な操作で動く。



「クッ!! まずいぞレグナ、あんなのどうしろってんだよ」



「……次の契約者の事を考える時だな」



「おいてめぇ!!」




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