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貫くような青空に雲一つない晴天。地面の上では雑草や花達が踊るように心地よい一陣の風で揺れている。そこに立てば少し汗ばむ気温の中でたまに流れる風で表情が緩む……そんな場所で今日も魔王軍と連合軍の血生臭い戦いは続いていた。


金属が叩かれるか砕かれる音と痛みや恐怖の悲鳴が戦場の音楽となり奏でるのは大量の戦士達。魔王への復讐を誓う騎士、ただ金のため、戦い以外に生きる術を知らない傭兵……様々な思いと力がぶつかり合い血へと変わる。


そんな戦場を丘の上からカズヤは眺めていた。上から見ると酷い光景、砂煙と血を空に巻き上げるように戦う。そこには正義も悪もない。力のみが支配していた。



「よぉ小僧、こんな所まで老人を呼び出すとたぁやってくれるじゃねぇか」



杖を突きながらウィルが現れるとカズヤは背中ごしに軽く手を振る。一人の男を雇い馬車に装備一式を運び隣の座ると下を眺め笑う。



「いいねぇ~やっぱりこーじゃねぇとなヒヒ」



「嫌な爺さんだぜ、そんなに殺し合い見てて楽しいかよ」



「あの恐怖を隠しながら虚勢を張る顔とか可愛いじゃねぇか~さて立ちな」



カズヤに装備を装着していくと体の変化に気付く。大きさではなく肉の質が変わっていた。人間の肌の感触ではない……金属が一番近い。柔らかいが固い。ウィルは目を細めながら甲冑をつけていく。



「動き易いように調整してある。強度も問題ないどころか俺が作った中じゃかなりもんだ、経費は大分かかった分だけ最高の物だ」



古臭い甲冑の外見からは考えられないほど軽い。腕の稼動域も問題なく腰も周り足も軽い。



「あ~……その金の事なんだが」



「ヘッ!! 今更お前からとろうなんて思っちゃいねぇよ。どうせ金なんてあっても長生き出来るもんじゃないしな」



「ウィルあんた長くないのか」



カズヤの躊躇しない失礼な言葉にウィルは笑う。



「ヒヒッ!! 見てわかるだろが、もうくたばる寸前ぐらいまできてんじゃねぇかなぁ~……なぁカズヤよ、お前さんテツには勝てないぜ」




ウィルの一言でカズヤの表情が固まる。



「あの馬鹿は20年以上戦い続けてきたんだぜ。今のお前は竜の力でせいぜい力と治癒能力が常人離れしてくるくらいだろ、そんなもんどうとでもなるぞ」



「言ってくれるじゃねぇか」



「何にもなかった駄目男が学園に入り訓練しベルカの騎士団に入団、そしてついには初代魔王を討伐までして今度は二代目魔王。信じられるか? テツは自分を駄目とかいってたが俺は奴を化物だと思うがな」



下で繰り広げられる欲望の渦を眺めながらウィルは深い溜息を漏らし続けていく。



「元はお前とテツとは差がなかったが年季が違いすぎる。ソウジのような天才ならまだわからんが……それでもやるかい。こいつは年寄りの小言だが、死ににいくようなもんだぞ」




「嫌だねぇ~歳とると考え方まで爺さんになりやがる。見てな、あんたの予想を覆してやる!!」



馬車から金属の塊の鈍器を持ち出すと歩き出す。




「うぉ~いベリルよぉ~そろそろ行くぞぉ」









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