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体中斬り傷や槍や魔法で貫かれた体のまま休まず夜通し馬を走らせ辿り着いた場所は港街だった。まだ辺りが暗い中体格のいい中年男達が肩に太い縄や網をひっかけて歩いてる光景にカズヤは安堵の息を吐く。


港街は大きく建物の数や人口は異世界にきて最大の規模だった。木製で作られた小船の後方には四角形の装置が組み込まれ光出すと船が加速していく。魔法で進んでるのかと思いながらカズヤは歩いていると周りの注目を浴びる。



「あ、そうか」



上は裸で下はボロ雑巾のようなズボンの姿では目立ってしまうと服を調達しなければと思うが金などない。命を何度か賭けて得た金を奪われた事に気付き溜息をつき座り込む。



「どうするのだ半人前。まだまだ竜に馴染んでない体とはいえ傷はなんとかなるが……下等生物の通貨は我の専門外だ」



「あ~疲れた~もういいや寝るわ。こんだけ大きな街なら浮浪者が転がってても不思議じゃねぇだろ~」



冷たい地面に寝転がると腕を枕代わりに漁師達に背中を向け眠りに入る。竜の体は痛みを和らげ睡眠に入るまで時間はかからなかった。そこからは至福の時間だった、ただ眠りこける事がこれだけ快楽なのかと思いながら数時間惰眠を貪っていると。



「おい邪魔だ!! こんな所で寝てるんじゃねぇよ!!」



尖った爪先で蹴られ何事かと起きると見慣れた薄汚い傭兵達の背中が見える。皆腕を組み真剣な顔だった。近付いてみると銀色に輝く立派な鎧をきた騎士達が叫んでいる。



「これから魔王軍の進軍を阻止する戦いにいく。条件は戦い生き残る事だ、もちろん働き次第では追加報酬を出す!!」



大欠伸をかきながら長髪の痛んだ髪をかきむしっていると隣の傭兵が肩を叩く。



「ようあんた酷い姿してんなぁ、ここは初めてかい」



止まらない欠伸で頷くと笑われ手を叩きながら説明をしだす。



「あーやって傭兵募集してるわけだ。連合軍はとにかく人手不足で俺らみたいな下々の傭兵にまで募集してんだよ、ほらあっちでもやってるぞ」



少し離れた場所でも騎士ではないが少し薄汚れた男が大きく手を煽りながら勝つだの大金がどーとか叫んでいた。



「連合軍は他国の集まりだからな、配置される場所によっては楽だったり逆にあっけなく殺されたりもする。だから皆こーやって自分の目で確かめて決めてんだ」



「へぇ~でも魔王軍に行けばいいのになぁ~そっちの方が儲かるんだろ?」



「それがそーでもない。魔王軍はもう溢れるほどの傭兵を抱えてるし最近では入団試験が厳しくて入る前に殺されるって話だ。逆に連合軍は誰でもいいから戦力が欲しいから金で釣ってくるんだ」



腕を組みながらなるほど頷くと自分の体臭の酷さに気付き親切に説明してくれた傭兵の顔が引きつってる事に気付く。



「気付かなくて悪かったな。ちょっといろいろあって風呂もまともに入れなくれなぁ~……ちょっと風呂入ってくる」



ほとんど裸同然の格好だったのでそのまま海に近付くとそのまま潜る。金もないので唯一の洗い場で延びきった長髪をかきむしり体の汚れを手で擦り落としていく。



「ふぅ~さっぱり!!」



「ウハハハお前面白いな!! どこからきたらそーなるんだよ」


 

大きく息を吸い溜めた音を吐き出す。



「うぉおおおおおい!! 俺を雇えぇえええええ!! 一番金がいい所はどこだぁああああ!!」



傭兵達が皆その馬鹿げた声に振り返ると海水まみれの黒髪の汚らしい長髪の男を見て表情が曇る。体中傷だらけで不気味な笑みを浮かべるカズヤに誰もが近付きたくないと目を合わせない。



「俺は使えるぞぉおおお!! ハッハーどうだこの野郎!! ほらほらほらほらぁあああ!!」



子供のように水場ではしゃぎ何度も両手で水を上に飛ばしとにかく叫んだ。 

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