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城門を潜り何人のドルトルの兵士と雇われ傭兵が待ち構えているのかと馬上で大剣を掲げながら潜り抜けるとシゼルの予想とは反して戦いの空気はそこにはなかった。ドルトルの国民は白い旗を上げ降伏をしている。


鎧を纏った兵士さえも武器を置き膝を落とし戦う気持ちをなくしていた。女子供は身を寄せ合い震えている光景にカズヤの高揚していた心臓が冷めていきレグナの鼻を鳴らす音が耳に響く。



「おそらく城門が破られた時点で負けを確信したんでじょうねボス。まったく実に諦めがいいと言うか、気概がない国ですねここは」



ニックの言葉にシゼルは反応せず降伏の旗を上げている場所へ近付いていく。恐怖で後ずさるが一人の子供が旗の前に立ち両手で塞ぐ、伸ばした手と指先を震わせ必死に恐怖と戦う顔でシゼルを見上げていく。



「少年、いい心構えですね。では忘れないでくださいここから起こる事を」



拳を横から勢いよく振り抜き少年の頬をひっぱたくのではなく殴りつけ転がす。



「おい!! シゼル!!」



カズヤの声にも無反応で武器を落とした兵士に近付くと迷いない動作で大剣を突き刺す。戦意を失い無抵抗の者を殺される光景を見て残りの住人が悲鳴を上げ逃げ惑う中シゼルは吼える。



「負けたから降参して助かろうなど調子がよすぎるぞ害虫共め!! 貴様らが我が物顔できるのはこの瞬間に終わった!! さぁ逃げ惑え!! もう魔王も助けてはくれないぞ!!」



アベンジが街に火を放ち人々の悲鳴と炎を背に剣を振るうシゼルの姿にカズヤは落胆した。あんなにも美しい容姿で悪魔のように事をしている。



「昔はあんなんじゃなかったんだけどなぁ~まぁ所詮は薄汚い傭兵家業だしその内気にしなくなる光景だ。今の内に慣れときな」



傭兵の先輩であるニックの言葉を聞くがまだ半分以上残ってる人間の心が酷く傷つけられ表情が歪む。炎の灯で輝く銀髪を血で濡らし笑いも悲しみもせず淡々と逃げ惑う兵士と住民を背中から斬りつけていく。



「母親殺されて何かが吹っ切れたんだろうな~なんか最近のボス怖くてよぉ~……さて仕事しますかい。ついてきな」



炎の海と変わった城下街から見える城に向かい走り出す。左右の建物から火柱が上がり踏んでいる地面からも熱を感じる。物が焼ける臭いと傭兵達の下品な笑い声の中城に突入していく。


まだ誰も踏み入れてないのか最後に残った戦う気力がある兵士がいるがニックが近付くと音もなく崩れ落ちていった。



「ふむ、あの男人間にしては素早く正確で中々の使い手だな」



「お前が褒めるなんて珍しいなレグナ」



「ふん、我は評価は正しくする。ちなみに半人前お前の技量は」



最後まで言わせる前にうるせぇと叫びニックと二人で城内に進入していく。





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