表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/98

7章

魔王軍に入りたい傭兵は常にいる。毎日入隊希望者が蟻のように群がってくる現状に最初は適当な魔王テツは来る者全て受け入れてたが次第に無理が出てきて今では試験を導入し実力ある者しか入れなくなった。


それでも傭兵達は魔王軍の甘い汁を吸いたいがために今日も群がる。魔王軍に入りさえすれば腕っぷりだけで伸し上がれる。生まれも地位も人種も関係ない。


初代魔王の頃から戦いは広がっていたがテツが魔王になると更に広がり今では国家が自衛のために傭兵を雇う時代になった。そんな中魔王軍は最高の雇い主である所に傭兵達は金という蜜に群がる蟻になる。



「ここか」



城壁が崩れ過去に栄えた国家の印の国旗が半分以上破かれている古城にソウジはきた。周りにはギラギラと野心を宿した目をした若き傭兵達がいる。地面に座り、城壁に寄りかかり、自慢気に武器を抜く者。


そんな中高年齢のソウジは当然目立つと思い介護式の上から深くフードを被り目立たぬよう城壁に寄りかかり待つ。ニックの情報通りだと試験がそろそろ始まるはずだと息を潜めていると一人の男が現れた。



「え~これから試験始めるんで入ってくれ」



金色の髪を短髪に切り揃え逆立たせ目つきは鋭く甲冑もよく使いこまれている。ソウジは一目見てなんとなくだが強いと感じ黙ってついていくと。中も変わらずボロボロの城内だったはずの瓦礫の山に囲まれた広場に出る。



「試験は簡単だ。俺と戦って生き残れ、または俺を殺した者が合格だ」



試験官の男が言うと傭兵達がニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべる。各々自信に満ち溢れシンプルな試験に合格したかのように喜ぶ。一人の傭兵が調子に乗り大きく声を上げた。



「不合格の条件はなんだぁ試験管さん~馬鹿な俺らにもわかりやすく教えてくれよ」



試験管は一度腕を組み数秒考え込む。



「自己紹介がまだだったな。俺の名はバルサス、不合格の条件は死ぬ事だ」



何が面白いのか傭兵達は腹を抱えて笑い出すが少しでも頭の回る傭兵は表情を険しくした。



「おい馬鹿共。わかりやすく説明してやる、ここにきた時点でお前らは俺に認められるか死ぬかの選択しかない。あ、後俺を殺すのもな」



バルサスの表情は動かず淡々と語る。声もブレずどこか機械的に説明を続けていく。



「さて誰からやるか」



「俺だ!!」



歳は20代前半、野心が全身から漏れ出してるような男だった。片手には刀身が広く分厚い片手剣が握られていた。男の身分の低さは顔に表れているが甲冑だけは銀色に輝いている。



「ヒヒ、この前連合軍の騎士の野郎ぶっ殺して剥いだ甲冑だ~おい試験管殺されても文句言うなよ」



「そいつはお互い様だ」



バルサスはどこにでもありそうな使い込まれた一本の剣を腰の鞘から抜くと片手に乗せ見下すような冷たい視線を送ると傭兵は一気に駆け出す。人生を表すような突撃だった。


防御の事は頭にはなく勢いだけで勝利してきて、負ける事など微塵も考えない攻め……男が大きく振りかぶり自慢の剣を振り下ろした瞬間にその腕が飛ぶ。



「ぎゃああああああ」



切断された腕を抑え転げ回る男に近付きバルサスはもう片方の腕も容赦なく斬り落とした。余りの痛みとショックで男は口から泡を吹き痙攣しながら声にならない声で叫び散らす。


その光景を見た傭兵達は先程まで余裕に浮かべてた笑みが消え皆が声を失う。のたうち回る男の足に剣を突き刺しバルサスはジワジワと肉をえぐりながら言う。



「追加条件だ。一人でも合格したら残った奴らも合格だ、大サービスだぜ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ