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二つの首を皮袋に入れて賞金を受け取るためにシゼル、ニック、ソウジは野営地に来ていた。傭兵達が寝床や拠点に使う野営地と変わらないがそこにいる人間が違った。


傭兵達とは一線を引く装備。甲冑にはどれも同じ印が刻まれ銀色に輝く光が日光で反射していた。動きが統率がとれていてテントには必ず二人の警備兵が配置されていた、



「はぁ~金のためとはいえあいつに会うの嫌です」



「ニヒヒしょうがねぇよボスぅ、金払いだけはいいんだからよぉ」



三人は一番奥のテントに近づくと警備が槍を交差させ塞ぐがシゼルの顔を見ると「またお前か」と言い通す。テント内は豪華な家具があり金属製の巨大なテーブルに地図らしき物が広げられている。



「いやぁ~待ってましたよシゼル!! 今回もお手柄じゃないですかぁ」



初老の金髪の男がいた。肩から純白のマントを羽織い笑顔で近づいてくるとシゼルの肩を数回勢いよく叩く。



「ルーファス、世辞はいいから金ください。私達は傭兵ですよ、名誉とかいいですから」



「アハハハハこりゃ失礼しました。いやぁ貴方を見ていると初代魔王の妃を思い出しますねぇ~本当にそっくりだ……え~とこれぐらいでいいですか?」



何個かの皮袋が投げられどれも中から金貨が漏れるほどの量がありニックが下品な笑いをしながら掴み上げていく。



「今回の国は魔王に屈して協力しようとする大馬鹿者でしたから報酬は弾みますよ。この調子でどんどんやっちゃってください」



「しかし魔王に屈していく国を潰していったら魔王を倒したとしても……ルーファスお前が魔王とでも呼ばれるんじゃないか」



「結構結構!! 昔の私は正義だの名誉だの言ってましたが結局の所あの魔王をブチ殺したいだけと気付きましてね。この通り窮屈な城など捨てて各地を動き回りながら戦ってます」



一国の王が前線で戦いながら生活している。それはもはや国ではない。そんな事を考えつつソウジは黙っているとルーファスと目が合う。



「おやぁ~貴方気に入らない顔してますね。私がもっとも嫌いな顔にそっくりだ」



「おいルーファス。元ベルカの王でも部下に手を出されたら立場上黙っていられなくなるぞ」



「これは失礼しました。最近歳のせいか怒りっぽくなって参ってます、いやぁ本当のあの糞野郎には手を焼かされて……早くあいつの顔が拝みたいもんです」



笑いながら地面を何度も踏んだり腰から剣を抜くと豪華な家具を斬りつけ破壊しだすとシゼルは静かにテントを去る。警備兵には「またいつものが始まったぞ」と言う。



「おい、あれが人の上に立つ人間の言動か? ありゃただのボケた爺さんと変わらないぞ」



「言わないでくださいソウジ。彼は自国を二度にわたり二人の魔王に滅ぼされて精神がおかしくなってしまいました。魔王の娘である私を受け入れ戦力にしてまで勝ちたいんですよ」



「ウヒハハハ!! そのボケ老人が下手に権力と力があるから始末が悪いよなぁ~まぁ俺ら傭兵は稼ぎ場所が増えていいけどな」




野営地から離れるとソウジはシゼルの後ろに乗り馬を走らせていく。長年戦いを繰り返して僻地と化した荒野を進んでいく。草木もなくなり殺風景な場所を眺めながらソウジが黄昏れる。



「そーいえば何で俺がテツの親父だって言わなかったんだ」



「ルーファスはお父さん嫌ってますからねぇ~私も最初は殺されかけたんで言わない方が……まだわからないじゃないですか!!」



「ヒヒヒ!! もしそうだったら爺さんと孫が手を組んで魔王を倒しに行くなんて痛快じゃねぇか!!」



しばらく走ると街が見えてくる。鉄板の継ぎ接ぎだらけの家が目立ち住人も女はいなく屈強な男達が巨大な工具を背負い歩いていた。馬から下りて鋼鉄の家々の間を歩いて奥まで行くと一際目立つ家の前に立つ。


鋼鉄の継ぎ接ぎが何枚にも重なり屋根には巨大なクレーンまであり油臭くどの家よりも年季が入っていた。ドアノブも金属製のせいで錆びて回らずシゼルは蹴り破っていく。



「お~い爺ちゃん!! きてやったぞぉ~」



壁には金属製の人間の手足がブラ下がり木製の傷だらけの机には油が入った容器が何個も置いてあり鉄と油の匂いが充満していた。



「ヒヒ、その入り方母親そっくりだなシゼル」



「ウィル!! 久しぶり!!」



ウィルと呼ばれた老人は杖をつき腰を曲げソウジ以上に歳を重ねた姿を現した。





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