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514:気持ち+魂=神

「それは本当なのか? なら美琴はどうなる……」


 童子切が斥候の男を斬ったころ、流は向日葵より神玉の今分かる情報(・・・・・・)を聞く。その内容はとんでもない事だった。

 まず流が驚いたのが〝美琴の気絶〟である。過去にもそんことがあったのだが、なぜ幽霊なのに気絶? と思ったくらいでスルーをしていた。

 しかし今回は本当に意識を失っており、向日葵ですらどうしようもできない。しかもその原因は分かるが、その理由が信じられなかった。


「分かりません。ただ間違いなく言えること。それは姫様の体が〝実体化〟しつつあるという事だけです」

「時空神・万世の帝のせいでか?」

「そうです……大殿様もこれまで違和感があったでしょう? 姫様の妙な人間らしさ(・・・・・・・)に」


 その言葉で流は思い出す。ここに来るときに出会った王滅級のカエルである、〝ジャバ・ケロック〟と出会いを。

 そしてその時もらった極上の魚を食べた美琴が、流に嬉しそうになんと言っていたかを。


「そう、だな。あぁ確かに美琴は言った。『美味しい』とな。その時はさほど気にもしていなかったが確かにおかしいよな……幽霊に味が分かるのは」

「そうです。だからこそ確信して言えます。姫――刀照宮美琴は〝受肉〟をしつつあると」

「そこの意味が分からない。なぜ美琴なんだ……」

「大殿様も覚えがあるのでは? 姫様から聞いた話では、過去に時空神に体を乗っ取られた事があると。ここからは予想ですが、多分その時に姫様の体が気に入ったのでしょう。それであの青金色の神玉を使い、自分の器にしようとしているとしか思えませんね」


 確かに過去、そんな映像を見た気がする。だがよく思い出してみれば、確かにさっきまで美琴の姿は過去に見た時空神・万世の帝が、刀照宮美琴の遺体を乗っ取り自身の器にしていたことを。


「チッ、時空神とか言う存在はそんな事をして何になる? 人形の討伐は俺に任せたじゃねぇかよ」

「それなんですが、またしても未来が変わるほどの何かがあった……。そこであの神玉を与えて『(ことわり)』の干渉を自然な形(・・・・)にし、自分がこの世界に顕現する依代に仕立てあげようとしているのかも」

「待て、それじゃあ美琴はどうなる!! まさか……」


 向日葵は重々しく一つうなずくと、その答えを静かに話す。


「そうです。このままなら姫様の人格が完全に上塗りされ、良くて封印。最悪魂ごと人格も壊されてしまうでしょう」

「なん…………」


 その言葉に流は絶句する。もしかしたら美琴の心も魂も何もかも、失われてしまうということに恐怖するのだった。

ちょっと今日は短めです。

すみません(´;ω;`)

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