428:龍人戦技は魔法と体術の複合業
いつも骨董無双を読んでいただき、ありがとうございます。
年内の更新、これにて最終となります。
それと近いうちにちょとした発表がありますので、しばらくおまちください。
それでは皆様。良いお年を♪
森長は上空、やく二十メートルほど打ち上がる。そのとんでもない膂力に冒険者たちは無論、流やイルミスまで口をあんぐりと開ける始末。
「なんじゃありゃあああ!? 森長が打ち上がったあああああ!?」
「おにぃさん落ち着くんだゾ! たしかにビックリの光景だけど……えええええ!?」
「うっそだろ……なんなんだアイツらまじで……」
「って、あの女。まさか!?」
「いや待て! 見た目が明らかに違う! ありゃ……」
「そうだ。間違いないです。あれはそう、龍人です」
森長はあまりの出来事に背筋が凍りつく。まさかここまで高く弾かれるとは思わず、しかもまだ上昇中だ。
深い森を上から眺めるのは実に美しい。が、そんな感情は一瞬。なぜなら真下から、青髪の黒い服を来た娘が急速に迫ってくるからだ。
「グルウウウウウッ! コ、コノママデハ。体勢ヲ整エネバッ」
焦る森長。空中では踏ん張りもできず、防御手段も身を固くするのみ。だが運がよく、体は下を向いている。
だからこそ、もう一度チャンスがあるとほくそ笑む。
(ククク。馬鹿ナ娘。何者カハ知ラヌガ、コノ魔法。驚クゾ)
蜜熊の森長となった時から、知識に一つの魔法があった。それは毒魔法・ベノムブレスと言う物だ。
簡単に言ってしまえば霧状の毒を吐き出し、敵を麻痺・失明・身体機能の大幅低下をあたえる。
さらに運が悪ければ、そのまま死亡すると言うおまけ付きだ。
それを今、自分の元へと昇ってくる娘へと吐きかけるため魔力を練る。
せまる娘まで残り八メートル。腹の中に溜まった毒素を喉に押し上げ。
さらに距離が詰まること四メートル。口を〝ガバリ〟開き、舌の上に魔法陣を構築。
直後、射程内に入った瞬間、森長は紫の霧をLへ向けて吐き出す。
Lも予想外の攻撃だったのか、紫の霧に全身が包まれてしまいそのまま動きが止まってしまう。
それを見た森長は器用に口を開き嗤った時だった。打ち上がりきった事で、今度は落下を始める。
眼下には未だ紫の霧に包まれている、青髪の羽の生えた娘。
森長は思う。「このまま落ちていくと同時に、爪で真っ二つにしてくれる」と。
「グルアアア! ソノママ、死ネッ!!」
「…………馬鹿ね。本当に馬鹿ね。あたしは元・龍人で、今はマイ・マスターの忠実な下僕。そのあたしに、こんなチンケな毒が効くか! ぶあああああああっか!! それにあたしも毒つかうしぃ」
「何故ダ!? アノ毒。同胞トテ、スグニ死ヌ毒!!」
龍人とは元々毒に対する抵抗力が高いうえ、Lは進化したことで無効ともいえる抵抗力をもつ。だが……毒が姑息とは誰が言ったのか!?
Lは迫る森長を毒霧の中から煽ると、宝槍・白を振り回し毒霧を霧散させてしまう。
自由落下で身動きが取れず、そのままLの胸にダイブするように落ちてくる森長。
「やだ、汚らわしい視線でこっち見んなメデッ熊! ただ見は許さないから、これでも喰らっとけ♪ 龍人戦技・蛇蝎鉾!!」
「ナンダッ!? 蛇ト蠍ガアアアアアアアアッ!!」
Lが放った一撃。それは刃先に具現化した大蛇と大蠍。それが森長へと襲いかかる。
まず青い大蛇が手足を絡め取り、その後青い蠍が森長の首筋に毒を打ち込むと消え去った。
「はぁ~い。お・ひ・さ♪ 会いたかったわん。でも、臭い顔も見飽きたらから~落ちろオオオオオオオオ!!」
――蛇蝎鉾。
これは龍人独自に生み出された、魔法と体術の融合技である。
動きを封じられ、さらに蠍の毒を打ち込まれた森長は、Lの龍人戦技・蛇蝎鉾を喰らう。
そこにLが宝槍・白でデップリと膨らんだ腹へと一撃を入れ、直径三十センチほどの穴をこじ開けた!
たまらず苦痛の叫びをあげる森長。そのまま血飛沫を撒き散らし落下する。
それを見た冒険者たちは歓声をあげるが。
「やりましたぜラースさん! あの森長をあの娘が倒した!!」
「いや、まだだ。見ろ、森長のやつに空いた腹の穴が修復している」
「おにぃさん……やっぱりまた復活したら……」
「大丈夫だシーラ。見ろ、あの娘が追い打ちをかける!」
ラースは見た。青髪の娘が白い槍に電撃を纏わせ、大きく振りかぶり投げる様を。
「ほんと、丈夫な体って可愛そう。おかげで苦痛を沢山プレゼントできちゃう♪ さ、マイ・マスターの命を狙った、その不届きさを後悔しながら逝くといいわ~。龍人戦技・雷咆戟!!」
「チョット待グオオオオオオオオオオッ!!」
Lは宝槍・白へとブレスを吐きかける。白い槍刃先が赤熱化していき、次第に青白く輝き出す。
さらには青白い光がスパークし、槍全体を包み込む。それを大きく振りかぶると、そのまま投擲し、森長へと一直線に向かいそのまま突き刺さる!
痺れと苦痛に吠える森長。そのまま地面へと落下し、宝槍・白に体ごと大地に縫い付けられてしまうのだった。




