表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

300/539

299:アイヅァルムへ来た理由

「……L、お前たち二人は『どうして操られていた』んだ?」

「それがお恥ずかしい話ですが、よく覚えていないのです。ただ、Rとあたしは龍人のテリトリーへと侵入した『怪異』と戦闘するはずでした」

「怪異?」

「ぁぅ、そんな鋭い瞳で見つめないでくださぃッ(ビクンッ)」


 見た目が恐ろしくいい女なのに、このHENTAIさが残念すぎてドン引きだ。と言うか、イチイチビクンとするなと思う。だが話を聞くうちに、どうやら「怪異」とやらの存在が(おぼろ)げだが見えてくる。


「つまり、そいつらはこの世界の奴らとは思えないと?」

「その通りでございます、マイ・マスター。この世界は『魔力』によって形成されています。そこの小石、土、草、水、空気。あらゆるものに必ず魔力が含まれます。そう、自然に魔力は宿るのです。後天的に得たモノとは違い、それは文字通り自然に。ところがその『怪異』と呼ばれるものには……それがない。マイ・マスターのように」


 そう言うとLは神を見るような目で流を見つめると、豊満な胸の前へと両手を合わせて流へと問う。


「私たち龍人、いえ。今は進化したからそれ以上の存在となっているようですが、私達はその魔力が元からのものか、後天的な魔力かが視えるのです。そしてこの世界に無い『存在』がマイ・マスターです。あなた様方は神……なのですか?」

「多分だが、その答えは半分イエスであり、残りはノーだ。なぜならお前が言う怪異とやらは、多分俺の敵であり……神の一柱だ」

「承知いたしました。マイ・マスターの敵は全てコロセ、と」

「えーと、お話聞いていましたか? 俺はそこまで言っていませんぜ?」

『無理ですよ、ホラ……』


 美琴がそういう先には、Lが震えた瞳で空に向かってだらしのない顔で笑っていた。本当にコワイ……。


「え、L。話を戻すが、その存在についてだ。そいつにお前達二人が何かされたのか?」

「はぇ……? ぁ、失礼しました。まず質問の答えですが「多分」となります。それと言うのも、今私たちが着ているような服装の女が突如現れ、魔法でない何か術のようなモノを使って私達を拘束しました。ですが我らも龍人。その術を破りかけた瞬間に意識を失い、気がつけば朦朧(もうろう)とした意識の中で……」

「俺と戦闘になった、か。それは俺の国から逃げ出した奴らが使う、邪法と呼ばれるものでRとLを縛ったのだろう。しかしその操ってた奴らは、お前たちに何をさせたかったんだ?」


 Lはその問に思い出すように目を閉じると、ゆっくりと苦々しく語りだす。


「先行していた私達が捕まり利用された後、朦朧とした意識のなかで寄生していた……多分、人だと思える何かが言っていました。『コマワリナガレを殺す』と。ただ慣れていない体という事もあり、それが出来なければアイヅァルムかトエトリーに、被害を与えるのが仕事だと言っていました」

「……また俺が原因かぁ。本当に〆が言っていた通り、どこでも襲ってくるんだな憚り者は。それにしてもよく短い時間でリザードマンを集めココに来れたな」

「マイ・マスターと会ったのは、私達を捉えて数時間後だと思います。父は無能ではないので、その程度で私達を探せたと思いますし……。リザードマンはここよりすこし行った場所で、コロニーを作ろうと移動中だったものを利用しました」

「トカゲ共も災難だったな」


 そう流が言うと、Lは思い出したように主へと報告する。


「あ、そうでした!? 思い出しました。あのままリザードマンを放置しておけば、確実に王の苗床になっていましたよ? それになるだろう存在を殺して、私達がアイツらを配下にしたのですから」

「それは……結果的に多くの人が救われたのか?」

「マイ・マスター。冒険者たちや兵士を差し向けても、多大な被害が出たのは間違いありません。あたしたちだからこそ、簡単に出来たのですから」


 流はリザードマンに殺された人達の事を思い出す。彼らには何の関わりもなかったが、この街、トエトリー……そして自分を始末するために、手段を選ばず襲ってくる非道の輩に巻き込まれたのだと。

 そんな事を考えていたのが美琴に伝わったのか、静かに語り始める。


『流様……人形はあなたが居なくても、いつもこうだったよ。バーツさんじゃないけど、いつかこうなっていた。皆を救おうにも、そんなにあなたの腕は広くない。だから今、救えた人達の事を考えてあげて、ね?』


 流は〆に聞いた事の一つ、人形は「楽しみ」で人を狩ると言う事を思い出す。

 それがアルマーク商会と、深く繋がりがある。だから今日こうならなくても、いつかはそうなっていただろう。

 その時、リザードマンのコロニーが成熟して凶悪な集団になった後、トエトリーへと襲うように利用されたかもと思えば、初期段階で鎮圧出来てよかったのかもと思うことにする。だからこそ――。


「そうだな……だからこそ、あの狂った神を討滅しねぇとな」

「あるじぃ~、そろそろ着くようだワン」


 嵐影の頭の上に乗っているワン太郎が、背中で寝ている流へと到着を知らせる。

 寝そべるために鞍をずらしていたが、それを直して背中に乗りながら周りを見回す。


「どこもかしこも敵だらけだねぇ」


 門の前には厳戒態勢のまま、流をいつでも攻撃できるように布陣した兵士たちで溢れている。それが防御壁の上にもズラリと並び、流を弓で歓迎するように狙われていたのだった。

 本当にいつも読んでいただき、ありがとうございます! もし面白かったらブックマークと、広告の下にある評価をポチポチ押して頂いたら、作者はこうなります→✧*。٩(ˊᗜˋ*)و✧*。


 特に☆☆☆☆☆を、このように★★★★★にして頂けたら、もう ランタロウ٩(´тωт`)وカンゲキです。


 ランタロウの書く気力をチャージ出来るのは、あなた様だけです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ