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4-22 棲龍館での一泊、青葉様御一行の場合②

やや飯テロな傾向がございます(;゜Д゜)予めご了承お願いします。

「んーーーーー! 美味しい!」


 司たち一行は温泉を堪能した後、旅館の宴会場で夕食を楽しんでいた。棲龍館で提供された夕食は、まさしく豪華絢爛という言葉がふさわしい内容になっていた。海が近いだけあって海産物が豊富である。



 本日のお品書きは食前酒、前菜、お造り、椀物、焼き物、蒸し物、揚げ物、酢の物、御飯、甘味となっていた。いわゆる懐石料理に近い構成で、各自の前に1人前ずつ給仕されている。もちろん、リリにも調味料や香辛料を抑えた特別メニューが用意されていた。


 食前酒は珍しい山桃のワインが振る舞われた。未成年者には酒精を除いたジュースである。爽やかで、酸味が効いた口当たりなので、カパカパといくらでも飲めそうな。飲みすぎ注意である。


「なかなかの出来のワインですね。口当たりも爽やかですし、とても美味しいです」


 酒好きで口うるさい蒼花が珍しく褒めている。よほど味覚の琴線に触れたのだろう。



 前菜には海鮮と旬菜の数点盛。蟹の身と味噌を合わせた練り物、白身魚の豆腐、車海老の素焼き、平目と帆立山椒添え、旬菜の味噌和え。


「旨みを生かしたお上品な味付けですねぇ。色々な味蕾が刺激されて、口の中が気持ちいいです。職人の技術が高いです。私も負けられません」


 前菜を食べた橙花がしきりに感心している。同じく料理を生業としている者同士、共感するものがあるのだろう。



 お造りは海鮮盛り合わせ。旬の魚介の活造りである。ぱっと見で種類がわかるのはシマアジ、ヒラメ、カンパチ、ウニ、岩ガキだろうか。


「あはは、私、こういう堅苦しい料理あまり食べないけど、これはこれで美味しいね!」


「これですよ~、これ~、海の近くは魚が美味しいんです~。幸せ~」


「もぐもぐ、もぐもぐ」


 詠美、澪、優は海鮮が好みのようだ。旬の魚はただそれだけで美味しいからずるい。



 椀物はお吸い物のようだ。魚介系でとった透明度の高いだし汁、海老と帆立とつみれが添えられている。海老の赤とアクセントの青葉が色鮮やかである。


「ふう、落ち着く味だな。複雑で奥深い味……の気がする。色合いも綺麗だ」


 司が椀物を味わっている横で、リリもスープをガブガブと楽しんでいた。いつもと食いつき具合が違う。それもそのはず、調味料を使わず、純粋に魚介の旨みだけを抽出し、茹でた海老などの具を合わせたリリ専用スープである。



 焼き物には牛肉のサーロインとテンダーロインを岩盤焼で。熱された石の上にお肉を乗せると上質な脂が躍る。さっと表面に火を通してレアで頂くのが良いのではないか。薬味は岩塩、わさび醤油、辛味噌のようだ。


「ふははは、美味い! 美味いぞぉ! これだ! これこそが我が血肉になるのだぁ!」


 宗司がわけわからないことを叫んでいる。美味しいのはわかったが、騒ぎすぎて旅館のスタッフにつまみ出されないかが不安である。



 蒸し物は旬の食材を使った茶碗蒸し。揚げ物は太刀魚と車海老の天麩羅。酢の物は河豚の昆布締めポン酢を添えて。魚介出汁の炊き込みご飯と続く。


「くぅぅぅ、どれも美味しい! あ~、幸せです~。毎日でも食べたいですね」


 舞の家は基本的に和食が中心である。幼少の頃より食べ慣れているため、和食の中でも取り分けこういった懐石料理は琴線に触れるのだろう。ただ、これが食べたいから作ってくれなんて凛さんにリクエストした日には正直どうなるかがわからない……。自分で作れ、もしくは出されたものを黙って食えくらい言われそうである。


 最後は甘味。旬の果実の盛り合わせである。リリにはわざわざリンゴを1センチ角にカットしたものを出してくれるようだ。もちろん、好物のリンゴを視界の端に捉えたリリは、テンションが最高潮だ。尻尾が扇風機のようにぶるんぶるんしている。今にもリンゴに飛びかからん勢いだ。


「ちょ、ちょっと待った! リリ、仲居さんに飛びかかっちゃだめだぞ!」


 リリの異様なテンションを確認して、司が慌てて抱き寄せる。賢いリリのことだから仲居さんに飛びかかるようなことは万が一にもないのだろうけど、念のための処置である。司に抱き寄せられたリリは少し落ち着いたのか、大人しくお座りをして配膳を待っていた。その尻尾は早く早くと言わんばかりにパタンパタンしていたのだが。


「本日のお食事は以上になります。ご満足頂けましたでしょうか?」


 全員が甘味まで食べ終わり、食後の余韻をそれぞれが思い思いに楽しんでいたら、女将の麗華が料理長のような人を伴って宴会場に現れた。


「大変満足です~。相変わらず、麗華のところはいい仕事しますね~。うちに料理長を引き抜きたいくらいですよ~」


「青葉様、ご冗談を。…………あなたも受けませんよね?」


 代表して澪が麗華に返答する。ついでに本当か冗談かわからないようなことも織り交ぜて言うものだから、麗華も麗華で念のために料理長に釘を刺していた。


 一行はしばらく歓談した後、みんな満足した様子でそれぞれの部屋へ戻っていった。今日の夜はよく寝れそうだ。

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