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4-14 夏の定番、ぼくのなつやすみけいかく②

 本日、武神家では会話をしながら、黙々と稽古が繰り広げられている。


「なるほど、そういう経緯があったのですね。いきなり夏休みに旅行に行くから予定を空けておいて、とか言いだしたから何を企んでいるのかと思ったら、そう言うことですか。あの3バカめ……司さんまで巻き込んでしまってごめんなさい」


「ははは、舞は良い友達を持ったじゃないか! どうせいつも休みは家で暇なのだから丁度いいではないか。たまには遊ぶのも必要だ。ちなみに私も誘われているぞ! がははは」


「舞、俺も楽しみだから問題ないよ。へー、宗司さんも行くんですか? よかった……男が俺一人じゃなくて。それにしても結構大所帯で行くんですね。澪ちゃん大丈夫なんですかね? 今回はリリにとって初めての夏休みで旅行ですから、みんなで楽しんでいい思い出にしてやりたいんですよね」


 ちなみに位置関係的には、司オン宗司ウィズ舞である。え? 意味が解らない? 注訳すると、司の上に宗司が乗っていて腕立て伏せ中、隣で舞が素振り中ということである。


「宗司兄は、荷物持ち兼男避けですよ。私たち3人で海に行くとかなり高確率でチャラいナンパ男が寄ってくるのでうっとうしいのです。そんな輩を宗司兄が近くにいると、95%くらいはシャットアウトできます。残念ながら、KYな残り5%は対処する必要があるのですが……。昔、一回だけ行きましたけど、澪の家の別荘はかなり大きかった印象なので大丈夫なんじゃないですかね? リリちゃんもきっと楽しめますよ」


「ふははは! 可愛い妹とその友達に見た目だけの軟弱な若造なんぞ近寄らせるものか! 最近の若造は筋肉のきの字もないようなモヤシばかりだからな、私のような美しい筋肉がないようでは話にならん。あんな身体でいったい何ができるというのだ。もし何か意見があるならば、私を倒してからもの申してもらおうか!」


 来週からは休みに入ると同時に旅行などの予定があるため、今日が訓練の最終日となる。まぁ、宗司が一緒に行く時点で、現地でも何らかの課題が出ることが想定される。


 それにしても司……かなりヘタレた発言である。そこは普通、喜ぶところではなかろうか? 気苦労の量も比例して高まりそうではあるのだが。

 舞は平常運転の模様。むしろ舞たちに話しかけるモブたちが可愛そうでもある。手を出そうものなら壮絶なエンディングが待っていそうだ。

そして宗司、頭がおかしい。宗司の目には筋肉しか見えていないのだろうか? 宗司を倒せる人間がこの世に何パーセント存在すると思っているのか。


 そして、本日も無事に稽古が終わる。


「今日はありがとうございました」


「司さん、お疲れさまでした。それでは、来週の旅行でまたお会いしましょう。澪が迎えにくるそうなので、武神家集合でお願いしますね」


「司、またな! 宿題を忘れるなよ!」


 


「ただいま」


「「おかえりなさいませ」」


「おかえりなさーい」


 司が武神家から帰宅すると橙花と蒼花、リリが出迎えた。


「食事の用意ができていますので、先に汗を流してきてください」


「わかった。リリも一緒に行こうか」


「わーい、ぬくぬくです!」


 もうすぐ夕食の時間になるため、いつも通り先にお風呂に入るようだ。司は稽古で扱かれてしこたま汗をかいているので、早めに清潔にしたいという思いもある。


 リリは最近、司か橙花と一緒にお風呂に入っており、毎日清潔に過ごしている。野生の生き物がお風呂好きの清潔好きというのも珍しい。ヴォルフたちはたまに水浴びするくらいにとどまっていることから、これはリリ個人の資質が起因していると思われる。初めて司と一緒に入ったお風呂が気持ちよかった印象が強く残っているのかもしれない。




「ところでですね、橙花さん? 最近、食事の内容がおかしくありませんか?」


「そうでしょうか? 気のせいではございませんでしょうか?」


 司の問いかけに、橙花が白々しく恍けて答える。


「司さんのご飯は今日もごちそうですね!」


 リリが少し羨ましそうに言う言葉も、今の司にとっては優越感に感じることすらできない。その余裕もない。感情を超越する圧倒的な物量。


「そうか? リリにも少し分けt……」


「ダメです。リリちゃんにはリリちゃん用のおかわりもありますから」


「そう言わずに、少しだけだから……」


「ダメです」


 司の提案は無常にも橙花に切って捨てられた。それもそのはず、司用の味付けはリリにとっては濃すぎるからだ。特に塩や香辛料はかなり抑える必要があり、そのまま食べさせるわけにはいかない。


 誰も助けはやってこない絶望感。今日も司一人で孤軍奮闘する時間がやってきたのだ。敵は目の前の夕食なのだが……。本日のメニューは肉料理とサラダとスープ。圧倒的な肉。これでもかという肉。テーブルの上は見渡す限り、肉、肉、肉、たまに野菜。


 そう、宗司のメモに書いてあった肉マシマシメニューである。


 これも修行か……と思い、まるでエアーズロックのようなステーキを切り分けて黙々と口に運ぶ司。今日は食べ終わるのにどれくらいの時間がかかるのか……。何事もほどほどが丁度いいと思う、今日この頃である。

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