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4-4 干支神家と武神家の人々③

 凛さんとのOHANASHI合いで、2人がレッドカード退場してしまったため、道場に1人残される俺。連れていかれた2人の後ろ姿は、何というか悲惨の一言だった。あの姿を教訓として、同じ過ちを犯さないようにしたい。俺は危険感知ができる男なのだ。


「こんにちは、厳さん。今日はお邪魔しています」


 とりあえず、空気のように放置されていた武神家の家主であり舞たちの父親の、武神たけがみいわおさんに挨拶しておこう。決して、蔑ろにしているわけではない。


「う、うむ。うちの家族が色々とすまんな。ゆっくりしていってくれ。さぁ、お前たち、いつまで、ぼーっとしているのだ。時間は有限だぞ」


 巌さんが柏手を数回叩くと、周りに散っていた門下の人達が戻ってきて稽古を始めた。


「司くんも舞たちが戻ってくるまで、稽古を見ているといい。……暇だったら、門下とでも手合わせしていいぞ? もちろん、儂とでもな?」


「巌さん、ありがとうございます。舞たちがいつ戻ってくるかわからないので、隅のほうで見させてもらいます」


「そうかそうか、何かあれば儂に遠慮なく言いなさい」


 巌さんはそういうと上座に戻っていった。初めて会った時は、宗司さんと並んでガハハ系で強烈な印象だったけど、改めて見ると普通のお父さんって感じだ。体つきは宗司さんと同じでマッスル体型だけど……。


 せっかくだから稽古の様子を見せてもらおう。この前の遠征の時には力不足を痛感した。今は体力作りと筋力トレーニングくらいしかしてないけど、そのうち何らかの技術を習得したいと思っている。


 屋敷では、たまにヴォルフに相手をしてもらっているけど、基本的な運動能力に極端に差がありすぎて全く歯がたたない。でも、格上の相手にどうすればいいのかを考える練習にもなるからとても助かっている。その後、ほぼ100%の確率でリリと遊ばないといけなくなるのはご愛敬だ。リリには俺とヴォルフが遊んでいるように見えるらしく、自分も遊んでほしいとせがんでくるのだ。


 格闘技関係は、何年か前に剛さんと宗司さんに組み手を習ったけど、それっきりだ。骨も治ったし、これからは週1で宗司さんのところに通うことになっているから、そこで何かを掴みたいところだ。自分自身の強化がこれからの重要課題だな。あっちに行ったときに、最終的に頼ることになるのは自分自身の力だ。



 稽古を見させてもらって1時間程経過した時、道場に舞と宗司さんが戻ってきた。なんか2人ともげっそりしている……。凛さんによほど絞られたようだ。


「司さん、ごめんなさい。つい宗司兄に気を取られてしまいました。このようなことは二度とないようにします。申し訳ありませんでした……」


「司、すまんな。ああ、恐ろしかった……。私がこの世で最も恐れていた体験をしてしまった。他のことは何ともないのだが、子供の頃からアレだけは苦手だ……」


「いえ、稽古の見学をさせてもらっていましたから。それにしても……2人とも大丈夫ですか?顔、青いですよ?」


 2人とも顔色がすさまじく悪い。それにしても、普段からまったく物怖じしない宗司さんが苦手なほどか……。悪いけど、俺は絶対にお世話にはなりたくないな……。


「大丈夫です。これは……精神的にくるダメージですから、そのうち自然に回復します。それよりも宗司兄、司さんに、くれぐれも、失礼のないように、お願いしますね。流石に、これ以上は身が持ちません……」


「わかっている。さっき身をもって、どうなるか体験したからな。もう2度はやらん……」


「それでは、ちょっと部屋で休みますので、ここで失礼します……」


 そう言い残すと、舞はふらふらとした足取りで道場を後にした。本当に大丈夫なのだろうか……。



 それから1分後。


 宗司さんはきっちりと復活した。若干いつもより元気がないように感じるが気のせいだということにしておく。凛さんとのOHANASHIは、それほどの苦行なのだろう……。


「さて、司よ。話に聞けば、お前はヴォルフ殿に負けたそうだな?」


「ええ、今でもたまに相手をしてもらっていますけど、勝てたことがありません」


「そんなことでは、いかーーーーーん!!!」


 宗司さんが急に大きな声を出したからびっくりした。周りの門下の人も何事かと思ってこっちに注目しているのがわかった。


「お前が何をしているのかは、私は知らん。しかし、最低限、自分の身ひとつ守れんようでは話にもならん。というわけで、お前はしばらくの間、俺が徹底的に鍛えることになった」


 宗司さん直々に教えてくれるのはありがたいことだ。しかし、その会話を聞いた他の門下の人は一斉に顔を背けた。みんなこちらを見ていたのに、一斉に、だ。おかしくないか?


「司よ、いいか? よく聞け、武神流の極意とは……」


「極意とは……?」


 宗司さんが真剣な顔で、武神流の極意について語り始めた。早速、宗司さんの強さの秘密を教えてくれるようだ。ありがたい。


「努力! 根性! 忍耐! 筋肉! だっ!!!」


 …………えっ!?

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