2-6 武神の少女は学校帰りの喫茶店スイーツという道草を食む①
ただいま学校からの帰り道、徒歩20分ほどの道のりを4人でとりとめもないことを話しながら歩いております。この4人で帰るのも久しぶりですね。まぁ、エイミーと澪は部活がありますし、私は自宅の道場直行が多いですし、優は帰宅部ですが生徒会にも半分入っているようなものですし、それぞれ忙しくて時間が合わないのでしょうからしょうがないのです。その分、この時間を目いっぱい楽しむとしましょう。
おしゃべりしていると20分はあっという間ですね。もう目的地の喫茶店が見えてきました。喫茶『壁に耳あり、障子に目あり』、ちょっとネーミングセンスを疑うような名前のお店ですが、マスターはいい人ですし、ケーキも飲み物もおいしいのが評判の隠れた名店です。特に秀逸なのがマスターの手作りケーキでして、これを目当てにくる女子が多いのですが、マスターの見た目に恐れをなしてお店に入れないという罠も存在するのが現状ですね。まぁ、マスターは190センチの巨体にスキンヘッドで目つきが悪いという面立ち(黒いサングラスをかけたら見た目は完全にヤ〇ザ)ですから、近づくのを躊躇する人が多いのが残念ですね(スキンヘッドにしているのは万が一にも髪の毛がケーキに混入しないようにしているためのようです。同様の理由で、腕や足も処理済みでツルッツルです。by優の情報)。常連の私たちからしてみれば、余計な有象無象でお店が混み合わない、かつケーキの品切れが回避できるので、とても助かるのが本音なのです。
喫茶店についた途端に、我先にと言わんばかりに優がお店の扉を開けて突撃しています。こういう時の優は素早いんですよね。いつもこうだといいのですが。喫茶『壁に耳あり、障子に目あり』の扉がカランカラーンとベルの音を立てて開き、4人でお店の中に入ると、いつも通りの強面マスターが空いたカップをふきふき出迎えてくれました。彼がここのマスターの大俵剛さんです。この外見からあの繊細で甘美なスイーツが誕生するなんて誰が思うのでしょうか。まさしく地球の神秘です。
「マスター、ケーキを食べに来た。私としては季節のフルーツタルトとショートケーキを所望する」
「おう、優ちゃん、お前さんは相変わらずだな。澪ちゃん、詠美ちゃん、舞ちゃんもいらっしゃい。いつもの奥の席なら空いてるぜ」
それぞれが簡単にあいさつをして、いつもの奥の席に向かう。4人で連れ立って、入口の扉から入って正面のカウンターの左側の席の最も奥へ、もうこの辺は常連たる私たちにとってはいつものことですね。ちなみに入って右側の席が喫煙可、左側が禁煙席です。私たちはもちろん禁煙エリアですから左側へ、そのうち時代の流れで全席禁煙とかになるんでしょうか?
「優はもう決まっているみたいなので、私たちも何を頼むか決めてしまいましょうか。私はモンブランですかね~。エイミーと澪は何にします?」
私、家では普段お菓子類を一切食べませんからね。こういう時にはがっつりと甘いモノを食べたいものです。今度4人でケーキバイキングにでも行きましょうかね。たまには女の子らしいことをしてもバチは当たらないと思うのです。まぁでもバイキング形式はだいたい1回行くとお店のブラックリストに載って出禁になるのが難点ですね。主に優の食欲が原因なのですが。
「私も季節のフルーツタルトかなぁ。見た目が可愛いし、おしゃれだし」
エイミーは見た目に似合わず、そう言う可愛い系の好きですよね。部屋もメルヘンですし。
「私はチーズケーキにします~」
澪は相変わらずのゆるふわ系お嬢様です。
3人の注文が決まったあたりでマスターがお冷とおしぼりをもってやってきました。相変わらず、狙いすましたかのようなナイスタイミングです。マスターはいい仕事しますね~。
「注文は決まったかい?今日もいつものかい?」
マスターがお冷とおしぼりを置いていきつつ、ケーキの注文を聞いてくる。まぁ、ここに来た理由の99%はこれ目的なのでいつものなんですけどね。
「いつものケーキセットをお願いします。優は2種類頼むのでしたよね。ショートケーキ1つ、季節のフルーツタルト2つ、モンブラン1つ、チーズケーキ1つですかね?飲み物は全員紅茶で」
「あいよ。すぐ持ってくるから少々お待ちをば。あんまり長く待たせると優ちゃんがケーキ欲しさに倒れちまうからなぁ。わははは」
マスターがもうケーキのことで頭がいっぱいの優を見ながら、豪快に笑ってカウンターのほうに引っ込んでいきました。もはや勝手知ったるなんとやらです。
「さてさてー、そろそろ舞のことを根掘り葉掘り聞く時間じゃない?」
注文が終わると早速エイミーがそう切り出してきました。さて、この3バk……もといお気楽三人娘になんて説明したら私に協力してくれるでしょうかね。まぁ、とりあえず経緯の説明からですか。はあ。




