7-1 リリのお仕事
ぱちりと目が覚める。
私が寝ているのは司さんのお部屋だ。
前と違うのは、司さんと一緒のお布団で寝ていないということ。
ちらりとベッドの上を見ると、司さんが仰向けで横になっている。
そこに、いつもの穏やかな寝息は聞こえない。
司さんがいない日常が、こんなに辛いなんて思わなかった。
司さんは前回のお仕事での事が原因で、寝たままになってしまった。
よくわからないけど、今はクーシュたちがくっついて司さんの治療をしているらしい。
そのクーシュも司さんと同じで、ずっと寝たままだ。
あれだけ賑やかだったお家が、今はとても静かになっちゃった……。
ダメダメ。
クーシュだってお仕事してるんだから、私が弱気になっちゃいけない。
早く、司さんが元気になりますように。
最近の私の仕事は、司さんのお屋敷の見回りだ。
前は司さんと一緒にしていたけど、今は1人。
寂しいけど、サボるわけにはいかない。
これは、みんなの様子を確認して、何か問題がないかを調べる大切なお仕事だからだ。
まずは、司さんを確認する。
耳を澄ませるけど、呼吸、心臓の音が聞こえない。
残念だけど今日も変わりがないみたい、これは後で兎神さんに報告する。
次、ハムダマさんの一家を確認する。
司さんのお部屋を出て、隣のお部屋へ。
入口で父ハムダマさんに遭遇した。
せっせと食料を巣に運んでいる模様、邪魔しちゃ悪いので挨拶だけ。ご苦労様です。
巣に近づくと、子供たちが出迎えてくれた。
この子たちは1番目の子供たちで、もう父ハムダマさんと同じくらい大きい。
子供の1人に母ハムダマさんの様子を見てきてもらう。
中には母ハムダマさんと生まれて1か月の子供いるので、入ることはできない。
待っている間に、2番目に生まれた子供たちと遊んでいよう。
問題はないみたい。
父ハムダマさんに、いつも感謝していますとペコペコとお辞儀された。
子供たちが名残惜しそうに見てくるけど、お仕事が優先だから、ごめんね。
次、橙花さんと蒼花さんに特別な予定がないかを確認する。
今日は特にないみたい。
食堂で朝ごはんをもらって食べる。
あんなに美味しかったご飯が、司さんがいないだけで味気なく感じちゃう。いつも作ってくれる橙花さんには申し訳ないけど。
次、兎神さんに司さんの様子を報告しにいく。
丁度、舞さんたちが集まっていて一緒に会議をしてた。
邪魔をしないように報告だけして、その場を後にする。
次、地下のプラントエリアへ、お父さんたちの様子を確認する
そうそう、1人でも地下へ行けるようにって橙花さんに抜け道を教えてもらった。
どうやって行くかは秘密だよ?
プラントエリアに到着。
入口の扉を開けた音に気付いて、お父さんが凄い速さで走ってくるので挨拶する。
「そうか……司はまだ目が覚めないか」
お父さんもお母さんも、司さんを心配して毎日必ず様子を聞いてくるけど、今日も変わりないことを伝えると目に見えて落ち込んでいた。私も辛い。
まずは、大樹様に挨拶、うん、今日も元気そう。
大樹様は凄く成長していて、今はプラちゃんと高さが変わらない3メートルくらいで大きな葉っぱをたくさんつけている。
でも、このまま成長し続けたらそのうち天井に……考えないようにしよう。
プラちゃんとミニプラちゃんに挨拶。
私が気落ちしているのを見て、心配してくれているみたい。
生っていた実を3つくれた。ありがとう、頑張るね。
ララに会った。
司さんのお爺ちゃんの源さんも一緒だ。
「おはよう、リリちゃん。今日も司は……」
司さんの様子を報告すると、源さんもがっかりした表情になった。
でも、帰ってきた当初は呆然としていて、ご飯も食べられない状態だったから、だいぶ良くなった方だと思う。ララが頑張ったおかげかも。
「リリ、じいちゃんのことは俺に任せろ。だから、司のことは頼んだぞ」
ララは、自分がやるべき仕事がわかってるみたい。心強い。
次、ウルの一族が住むコンテナハウスへ向かう。
当初3つだったお家は、5つに増えた。
1つはララと源さんのお家だけど、もう1つ大きいハウスは子育て部屋。
中には、私のお母さんと子供が生まれたお姉さんたちが住んでいる。
「リリ、おはよう」
お母さんは初めて子供を産んだお姉さんたちのお世話をしてる。
新しく生まれた子たちはまだ目が空いてないので、お姉さんたちがご飯を食べるときは誰かが側にいてあげないと不安で泣いちゃうみたい。
私よりもちっちゃい子は初めてみたけど、ころころしていて可愛い。守ってあげないと。
赤ちゃんたちがおしっこしちゃうから毛布が汚れちゃうそうなので、橙花さんに新しい毛布へ交換と小まめなお掃除を頼むことにする。
赤ちゃんたちが病気にでもなったら大変だからね。
お屋敷を一回りして各所に要望を伝えたら、お仕事は一段落。
司さんのお部屋に戻って確認するけど、容体に変化は見られない。
司さん、頭を撫でてもらえないのは寂しいよ……。




