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6-6 3人娘の悪巧み

 これは、ある日の夜の出来事。


『それで~、そのカノコさんでしたっけ? 司さんの秘書さんみたいな感じなんですかね? お話を聞く限りはそんな印象を受けましたけど~。でも、年頃の男女が同じ屋根の下で寝泊まりするなんて、舞ちゃんとしてはアリなんです?』


「まぁ、直接会ってみた感じは大丈夫そうでした。勿論、釘も刺しておきましたけどね。秘書というよりは、ホームステイ? みたいな感じでしたね。司さんのお屋敷で橙花さんたちに色々と教えてもらって過ごしているみたいです」


『ふむ、司も隅に置けない。私たちという女子が周りに居ながら、新しい女に手を出すなんて。その女のことは要確認。我々の敵になり得る存在の場合は排除を試みる。間女は死すべし、慈悲はない』


『優……司さんはあんたのなんなのさ? 舞にとっては恋人だけど、私たちはただの知り合いだよ? どの顔して、そんなこと言うつもりなのさ? 頭、大丈夫?』


 順番に青葉澪、武神舞、黄瀬優、赤穂詠美のいつもの4人である。今、彼女たちが行っているのは、某ネット回線を使用したテレビ会議。話題は様々、今は司のようである。


 機械オンチだった舞が苦労して習得したパソコンスキル。最初は司と連絡を取り合うためだったのだが、一度操作を覚えてしまえば応用することは容易い。舞は出来る女なのだ。とは言っても、パソコン操作を手取り足取り教えたのは澪たちなのだが。


『失礼な。私はいつだって正常。今回の調査だって舞のため。親友の幸せを願わない人がどこにいる? 私は至って真面目に考えている』


『ごめんごめん。普段からネジが飛んでる発言するものだから勘違いしてた。で、舞のためと言いつつ、本当は?』


『舞が失敗した時は、あわよくば司は私がもらう。そのための布石は全力で設置する所存』


『完全に私利私欲じゃん……アホか』


『まぁまぁ2人とも~、もう深夜なので落ち着いてくださいね~。そうですね~、この前のお願いの案件もありますし~。今度、司さんのお家にお邪魔しましょうかね~? エイミーたちはいつ頃が都合いいです?』


「澪、その件、私は聞いてないんだけど……」


『あれ~? そうでしたっけ~? おっかしいな~』


 舞が問い詰めるが、澪は白を切るばかり。しかし、舞は澪が干支神家へ連絡を入れたことを司から聞いているのだから、連絡を敢えてしなかったのは完全に確信犯である。大体、こういう時の澪は碌なことを企んでいない。


「別に私に黙って何か画策することを咎めはしませんけど、もし司さんに迷惑をかけたら、許しませんからね?」


『あ、ハイ』


『大丈夫、私たちが舞を困らせることはない。ないはず。ないよ?』


「どうして、そこで疑問形になるんですか……余計に怪しいです」


『大丈夫、大丈夫! 舞にとっても悪い事にはならないから! 私たちを信用してよ!』


 ここまで大丈夫のバーゲンセールをされると、逆に不安になるのが人間なのだが……会話の流れから察すると澪の企みは3人で共有されているらしい。舞だけが除け者にされているのは、吉と出るか凶と出るか。


「何か釈然としませんけど、まぁいいでしょう。でも、くれぐれも言いますけど、司さんに迷惑をかけないようにしてくださいね? わかりましたか?」


『『『あ、ハイ』』』




 同時刻、干支神家では1人の女が力尽きていた。


「もうダメ……立てない……腕上がらない……動けない……」


 今日も今日とて橙花たちにがっつりと雑務を仕込まれたカノコ。夕食も食べられないほどに疲労困憊しているようだ。


「情けない、最初のふてぶてしさと自信はどこにいったのですか? この程度の仕事量で根を上げるようでは我々の仕事は務まりません。今日終わらなかった分は明日に回しますので、明日はもっとやることが増えますよ」


「ううう、私、頭脳労働派なのに……」


「それよりも早く夕食を食べてくれませんか? 調理場が片付かないのですけど」


「橙花って、案外化け物よね?」


 食堂で休んでいたカノコの元に、司とリリとクーシュがやってきた。


「なんだ、まだ飯食ってなかったのか?」


「橙花さん、お風呂いただきましたー!」


「ぴっぴー?」


 どうやらお風呂上がりのようだ。リリの毛並みはツヤツヤと輝いている。司に丁寧にブラッシングしてもらってご機嫌の様子だ。クーシュは……体毛が短くて違いがよくわからない。


「クーシュ、ダメですよ? もう夕食分は食べたのですから、これ以上は健康によくありません。食べ過ぎで太ってしまいますから」


「ぴぃ……」


 カノコがご飯を食べようとしているのを見たからか、クーシュが橙花にご飯を要求したようだ。あっさりと却下されたが。


「もう、しょうがありませんね……これをお部屋に持って行きなさい。喧嘩せずに、仲良く食べるのですよ?」


「ぴぴー!」


「クーシュ……1人で食べるのは食いしん坊すぎです! 橙花さんにみんなで分けるように言われたばかりですよ!」


 橙花が懐から出した小袋を渡されて、しょんぼりしていたのが嘘のように元気になるクーシュ。中身は、ちょっと小腹が空いたときに便利なナッツとドライフルーツである。夜のおやつをもらったリリとクーシュはウキウキな気分で司の部屋に戻っていった。


「子供って、元気だよね……」


 去っていく2匹を見て呟くカノコはかなり深刻そうであった。

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