5-50 舞が帰ってきた日常
ようやく、快復しました(;´∀`)まさかのインフルでした。
皆さんはお気を付けください_("_´ω`)_ペショ
舞の息が整うのには数分の時間を要した。むしろ、疲労困憊の状態から数分で復活できたことに驚きである。日頃からの鍛練の賜物だろう。武神流は回復力も尋常でない。
「舞ちゃん、お久しぶりです~。元気でしたか~?」
「ええ、元気ですよ。澪、優、今日はどうしたんですか? それに、エイミーだけいないのは珍しいですね」
稽古中の他の門下生に迷惑が掛からないように、3人は道場から外に出てから話し始める。
「それはこっちのセリフですよ~。舞ちゃんこそ、この2週間どこで何してたんです~? 急に学校を休むのですからとっても心配しましたよ~。危ないことにでも巻き込まれたのかと思って、毎日気が気じゃありませんでした~」
「それは半分ウソ。心配はしてたけど、澪とエイミーは、舞を出しに使って楽しんでた。あと、エイミーはたぶん玄関にいる。宗司に託してきた」
「……なぜ玄関?」
舞の疑問も尤もだが、一番の問題はそこではない。この後しばらく不毛なやり取りが続いてしまったが、詠美が戻ってきたことでやっと軌道修正された。
「ふええ、澪も優も酷いよ。何で、あそこで私を1人にするかな……あ、舞、戻ってきてたんだ? 元気だった?」
「こんにちは、エイミー。帰ってきたのは昨日ですよ。体調は問題ありません」
「そろそろ本題に入るべき。私たちが舞の家を訪れた本当の理由を」
「優ちゃんはせっかちさんですね~。もうちょっと女子らしさを楽しみましょうよ~」
赤青黄が三色揃ったことで、ようやく本来のテンポに戻ったようだ。
「……私の部屋に行きましょうか」
態度はふざけているが、三人が舞のことを本当に心配して訪ねてきたのだと理解すると、舞も真剣に対応する気になったようだ。部屋にお茶と茶請けを持ってくるように依頼して移動をする。
舞の部屋に移ると、程なくしてお茶が届き、その後は人払いするように指示してから質疑応答という名の尋問が始まった。開始早々に、茶請けを片付け始める優、この辺はいつもの通りである。
「それで~、舞ちゃんはこの二週間、どこで、何をしていたんですか~?」
「いろいろ問題があるので場所は言えませんが、司さんのお仕事の関係で外出していました。宗司兄も一緒に……というか、もともとは宗司兄に依頼があったところを私が無理やりついて行った感じですが」
「へ~、宗司さんに用があるなんて珍しいね……って舞は勝手について行ったんだ? ん? 舞を誘わないってことは結構危ない依頼だったんじゃないの? 大丈夫だったの?」
体育会系でおおざっぱに見えて、意外と勘が鋭い詠美。
「勝手では……ないはずです。一応、司さん以外の周りの許可は取っていましたから」
「でもでも~、あれだけ今日は凛さんの機嫌が悪そうなんですから、納得はしてなさそうな印象を受けましたよ~? 絶対に問題があったはずです~」
ポヤポヤお嬢様系に見えて、意外と勘が鋭い澪。
「そもそも、舞は気まずいことや隠し事がある時、無意識に正座する癖がある。だから、稽古の時以外で正座している今は、心に疚しいことを抱えているはず。さぁ、吐け」
無口系無気力人間に見えて、かなり勘が鋭い優。
舞が、怒られたりすると条件反射で正座してしまうのは、母親の凛の躾の賜物かもしれない。むしろ、それを看破している優が恐ろしいのだが……その後も容赦なく根掘り葉掘り聞いてくる三人娘にタジタジな舞であった。ボロが出ないことを祈ろう。
プルルルル……プルルルル……。
その日の夜。
そろそろ寝ようと思い、リリとクーシュが既に寝ているベッドに向かおうとした司。そこで携帯に見覚えのない番号の着信があった。非通知ではないものの、登録されていない番号なので出るのに一瞬躊躇する。しかし、不審に思いながらも律儀に応答する司。
「もしもし?」
『もしもし~? あ~、繋がってよかったです~。司さんが未登録は出ない派だったらアウトなところでした~』
出てみれば、やけに聞き覚えのある声であった。
「もしかして澪ちゃん? どうして、俺の番号知ってるの?」
『はい~そうですよ~。番号は調べましたから~』
電話の主は、舞の友達の一人、青葉澪。携帯番号というものは調べればわかるものなのだろうか? 舞から司の番号を聞いた、とは言っていないので、何か謎の手段を用いて知ったとしか思えない。
『本日お電話したのはですね~、折り入ってお願いがありまして……』
第三者から見れば不審すぎる内容ではあるが、許嫁の友達からの突然のお願いに驚きながらも、真面目に対応する司は大物であった。
「はぁ……やっかいなことになったなぁ」
通話が終わると、一回ため息をつきながら、掛け布団を捲り上げると、スヤスヤと寝ている二匹が目に入る。面倒くさそうなことは一旦棚上げしてベッドに滑り込むと、二匹の温もりを感じながら、すぐに司は睡魔に包まれた。




