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5-44 干支神家でのアレコレ①

 地球に戻った司たちは、屋敷に留守番していた3人に迎えられた。3つ並んだいつもの顔は、見るだけで無事に家に帰ってきたことを実感できる瞬間だった。若干、兎神たちの顔がやつれているのは気のせいだろうか。きっと心労が溜まっていたに違いない。だが、司が無事な姿を見せた時、3人は顔を綻ばせた。特に普段から無表情の兎神には珍しいことだった。



 クーシュたちも問題なく門を潜ることができており、すぐに体調を崩すということはなさそうだった。しかし、今後、何か違和感があれば、彼の世界へ戻す旨を周知しておく。干支神家には常に誰かが待機しているはずなので、誰でも対応できるように意思疎通が必要だ。リリたちはうまく順応できているが、クーシュたちも同じかわからない。初期は変調を見逃さないように注視してもらいたい。



 一行の中で、地球を訪れた小竜の変化は顕著だった。言い方が悪いが、それまではぼけーっと漂う雲のようにのんびりした様子だったが、干支神家に着くなり首をキョロキョロと忙しなく動かし始めた。最初は周りが物珍しいからかと思ったが、どうやら何かを探している様だった。結果的には、大樹を探していたのだが、この時から既に何かを感じ取っていたのかもしれない。案外、司の勘も侮れない。



 それと、報告会は後日行うことになった。というか、屋敷に戻った途端に橙花と蒼花に両側から即座に拘束された舞。本人は訳がわからず、目を白黒させていた。


「えっ!?」


「武神家の奥様から、舞様が戻り次第、拘束して身柄を引き渡す様に言われております」


 拘束して身柄って脱獄囚か……舞は拘束されたままの恰好で、あっという間に兎神の運転する車に乗せられて武神家に送還されて行った。ついうっかり宗司が置いて行かれそうになったのはお約束だ。


 ここで1つの問題がある。


 宗司は24歳だからよいが、舞は現役の女子高生である。本業である学校をどうしたのか。幸い、無断ではないようだが、かなりの日数を休んでいるのは確実なので、これからしばらくは補習の毎日になるだろう。去り際に、司は巻き込んだことを申し訳なさそうに謝って、舞は引き攣った笑顔で大丈夫、また連絡すると返していた……宙づりの何とも情けない恰好で。南無である。



 リリは帰って早々にリンゴ祭りをご所望だった。しかし、その前に帰宅報告である。


 司に連れられて大樹とヴォルフたちとに無事帰ったことを知らせに行く。トコトコと駆け足なのがリリの心の内を如実に表している。リリの報告を聞いているヴォルフとルーヴは、とても嬉しそうだった。リリが出発前よりも凛々しい顔つきをしているからかもしれない。きっとクーシュという妹分を得て、少しだけ心が成長したからだろう。勿論、モンスタープラントのプラちゃんたちにも挨拶を忘れない。本日も成木3匹と幼木2本は元気そうだった。しかし、彼らが何を言っているのかは、リリにしかわからない。


 報告が終われば、待ちに待った宴である。


 現在進行形で剥かれているリンゴを虎視眈々と狙う4つの瞳。リリだけかと思ったら、新たにクーシュが加わり、2人で競い合う様にリンゴにがっつく。お互いに独り占めをしないのは最後に残った優しさだろうか? いや、同好の士だからかもしれない。


 橙花だけでは剥くのが間に合わず、司もリンゴ剥き係に駆り出されることになった。本来、食べ過ぎは良くないのだが、今日までリンゴを断っていたリリの反動は凄まじいものがあった。今日1日くらいは食べ放題を許そうと思う。しかし、このペースだと備蓄をすべて食い尽くしそうだ。この2人の食べっぷりには、流石にヴォルフたちも呆れていた。



 マッドチャリオットの番は、司たちがプラントエリアに現れると姿を見せた。かなり久しぶりの登場だが、元気にやっているようだ。普段からエリア内で自由気ままに過ごしている彼らだが、今日は珍しく何か言いたげだ。司と交流のあった雄のほうがしきりに何かを訴えかけようとしている。だが、司に言葉がわかるはずもない。


「司さん、司さん、この子たちは子供ができたみたいですよ?」


「そうか! よかったじゃないか! おめでとう!」


 司がそう言って顔を撫でるとブオブオと嬉しそうに鳴いた。番の雌のほうも嬉しそうだが、司に近づいてこないのは本能的に身を守っているためか。初めての出産となるのでいつ頃なのかとか、必要なものはあるのかとか、聞きたい事は色々あったが、通訳の仕事を終えたリリはもうリンゴに戻っていた。リリの容態が落ち着いてから改めて聞くことにしよう。



 一通りの急務を終えた司は、旅の疲れを癒すために早めの就寝をとることにした。家に帰ってきたことで安心したせいもあるが、夕食後にどっと疲労感が押し寄せてきたのだ。今にも倒れそうになる身体を引きずって自室に戻ると、ベッドに突っ伏した段階で意識が飛んだようだ。すぐに寝息が聞こえてきた。


 それを見越していたのだろうか。すぐに橙花がやってきて、司に布団をかける。そして、橙花が出ていくのと入れ替わるように、部屋に入った2つの小さな影がもぞもぞと司の布団に潜り込んでいった。


 どうやら今日は暖かく寝られそうだ。お仕事、お疲れさまでした。

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