5-1 ちょっとだけ違う日常の始まり①
投稿が遅れてごめんない(;゜Д゜)予約設定ミスしてました。
5章開始です('◇')ゞ
青葉リゾートから帰って1か月がたった。
司は不在だった期間の仕事をこなしつつ、兎神からの依頼をするための準備を進めた。仕事と言っても、ほとんどの日常業務は兎神が処理していたため、要点確認と決済だけだ。一番時間がかかったのは毛玉たちの許可登録だろう。これをするのもヴォルフたちに続いて2回目だから慣れたものだ。
「リリ、今日は午前中で仕事が終わりだから、午後は一緒に遊ぼうか」
「本当ですか!? わーい!」
もちろん、仕事の合間にはリリを可愛がることも忘れない。リリは賢いから司が忙しそうだと遠慮をする性質がある。しかし、それに甘えすぎると後々とても厄介なことになるのだ。具体的には、拗ねて口を聞いてくれなくなる。こうなると逆に司のほうが辛い。自分の子供のように思っているリリに無視されるのは、とても堪えるのだ。
つまり、生活自体は出発前とほとんど変わっていない。いや、1つ大きく変わったことがあった。それは……、
『司さん、リリ、こんばんは』
「ああ、舞、こんばんは」
「舞さん! こんばんはでーす!」
寝る前の少しの間、日課として舞とテレビ電話を始めたのだ。連絡を取り合うだけなら電話でもいいのだが、こちらにはお互いの顔を、目を見ながら会話ができるという強みがある。相手の表情が見れるということはコミュニケーションを取るための情報量がケタ違いだ。それにリリも一緒に参加できるということも大きな利点である。
内容自体は、司が仕事でミスしたことだったり、舞が学校のテストを受けたことだったり、リリの体重がちょっと増えたことだったり、他愛のないことがほとんどだった。しかし、こういう時間を共有できるようになったということが大きな進歩だろう。今までは業務連絡のような電話を月1回すればいいくらいだったのだから。
夏の旅行を経て、司と舞の関係は少しだけ進展した。それまでは親同士が決めた形だけの婚約関係だったものが、お互いを意識し始めて、少しずつ本当に近づいているのだ。周りから見れば、2人はまだまだ恋愛初心者なのだが、それまでの関係と比べれば、これは雲泥の差である。
『そう言えば、今週末にエイミーたちと喫茶店に行くんですけど、司さんも行きませんか? もちろん、リリも一緒に』
「喫茶店? 剛さんのところか? ちょっと待ってくれ、週末の予定を確認するから」
舞からのお誘いに対して、すぐに予定を確認する司。リリは司の膝の上でソワソワし始めた。どうやら喫茶店という単語を聞いて、前回食べたリンゴのコンポートを思い出したようだ。行きたい、行きたい、行きたいという想いが全身から溢れている。特に尻尾から。
「きっさてん? ……リンゴ? リンゴですか!?」
「わかった、わかった、リリ、落ち着いて。重要な予定はないから、調整できそうだ。土曜と日曜どっちだ?」
『大丈夫そうですか? それでは土曜日の15時に現地集合でいいですか?』
「ああ、それで問題ない」
『よかったです。リリも土曜日に会いましょうね』
「はい! 舞さん! リンゴ楽しみです!」
2人で会うわけではなく、詠美たち3人とリリが漏れなくついてくるわけだが、喫茶店で会う約束を取り付けた舞は嬉しそうだ。最も、司にとってそちらのほうが気楽なのだが。
正直な話、司は舞と2人で会ったとしても、留守番しているリリの事が気になってデートに集中できないだろう。舞は直感でそれがわかっているから、絶対にリリを一緒に誘うことにしている。まぁ、舞自身もリリが大好きなのもあるのだけど。
そして、あっという間に土曜日になる。
「プラちゃん! ミニプラちゃん! おはよう! 今日も元気だね!」
日課の散歩でプラントエリアを訪れたリリは、いつものように挨拶をする。ただ、挨拶をしたのは木なのだが。6本の根っこが絡まったような見た目のモンスタープラント、先日ヴォルフたちが捕まえてきたミニプラント。数が増えた不思議植物がキシュキシュと根っこを動かす。まるで、おはようと挨拶を返しているようだった。
しばらくリリが話しかけて、プラちゃんたちがキシュキシュするという奇妙なコミュニケーションが続く。その光景を見ている司は、リリが何をしているか全くわからない。
それをしばらく見守っていると、約束の時間が近づいてきた。
「リリ~、そろそろ出発するよ~。ヴォルフ、ルーヴ、行ってくるよ。みんなにはお土産買ってくるからな」
「ああ、気を付けてな」
「司さん、私たちにまで気を使わなくていいですよ……リンゴなら頂きますが、ええ」
どうやらルーヴはリンゴをご所望のようだ。流石は親子、リリと好みも似ているようである。2匹に見送られて、司とリリは干支神家を出発した。




