4-65 新たな情報、新たな目的
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ようやく4章エピローグです(;゜Д゜)
武神家で司、橙花、蒼花、リリ、舞、宗司を降ろした車は、詠美たちを家まで送るべく出発していった。司たちは舞の両親である巌と凛に帰宅の報告をした後、迎えに来た兎神の車で干支神家へ戻る。舞と凛は玄関先まで見送ってくれた。凛がやけにニコニコだったのが恐ろしかったのだが。
「司様、休暇は楽しめましたか?」
「ああ、楽しかったよ。リリにも旅行の思い出を作ってやれたし。橙花と蒼花には半分仕事みたいになっちゃったから申し訳ないけどな」
「海でバシャバシャ、とても楽しかったです! 食べ物もおいしかったです!」
「さようですか。リリ様もよかったですね。あなたたちも休暇とは言え、本分は忘れていなかったようですね」
「「もちろんです」」
干支神家に到着すると、屋敷にはヴォルフとルーヴが待ち構えていた。玄関の扉を開けると中でそわそわしていたヴォルフがすぐに駆け寄ってきた。少し遅れてルーヴが追従する。
「リリ! 元気だったか!? 怪我はないか!? ご飯はしっかり食べていたか!?」
「ヴォルフ、落ち着いて。司さんが一緒に行っているのですから、大丈夫に決まっていますよ。リリ、楽しかったですか?」
「お父さん! お母さん! ただいま! 楽しかった! あのね、あのね……」
駆け寄ったヴォルフが心配そうにリリの確認をするが、すぐにルーヴに窘められる。リリは興奮した様子で、1週間ぶりの両親に何があったのかを報告する。尻尾が左右にブンブンと振られており、リリのテンションの高さが伺える。リリの嬉しそうな様子にヴォルフたちも満面の笑みだ。
司はリリをヴォルフたちに任せると、兎神と書斎に入る。橙花には飲み物を用意してくれるように頼んでいた。話が少し長そうな気がしたからだ。
「さて、兎神、何か話すことがあるんだろう?」
「なぜ……そう思うんでしょうか?」
「バカにするなよ。どれくらいの付き合いだと思っているんだ。車で戻ってくる間にも気づいていたぞ? 話す声がいつもよりトーンが低い、緊張している証拠だな。そして、すぐに報告しなかったのは、話すか話さざるか、お前自身が悩んでいるから……かな? あとは、リリに聞かせたくなかった、とか」
「……素晴らしい洞察です。そういうところは、お館様によく似ておられる」
兎神が目を細めて何か感慨深そうに呟く。お館様とは司の祖父の源のことだ。
「兎神がそれほど迷うということは、アレの件か? そんなにやばい代物だったのか?」
「ええ、先日、宗司様よりお預かりした物を分析しました。結果は……」
宗司から受け取っていたのは、前回の遠征で遭遇した魔獣と呼ばれる個体から入手した赤い石である。
「赤い石の正体は血でした。若干未知の物質が含まれておりますが、成分的には血液と言っても差し支えない範囲で素。地球上では未知の方法で高密度に圧縮されて結晶化しておりました。恐らくですが、一種の触媒でしょう」
「うん? それのどこが不味いんだ? 別におかしくないだろ。なんで石の形状になっているのかは不思議だけど、血なんだろう?」
「宗司様の話に聞けば、未知の生物に組み込まれており、その生物は死亡と同時に砂になったそうです。その砂のほうも分析しましたが、こちらは成分が地球上に存在しないのです。彼の世界には……この成分の血液を持つ生命体が、何かの目的を持って、疑似生命体の『魔獣』を作り出している、ということです」
「さらに言うならば、この血液成分と類似の性質を持つ生物で確認できているのは、私たち兎神の一族です」
「うん? おかしくないか? 何で兎神たちと同じなんだ? 魔獣の身体から出てきた石だろう? どういうことだ……兎神たちのほかにも、一族がいるのか?」
「私たち3名以外にはいません。兎神は私がオリジナルで、橙花たち2名以外には作られていませんので、これは確実です。恐らくですが、私たちと同じ生まれ方をした何者かがいるのです。しかも、魔獣という生き物を生み出し、他者に悪意をもった何者かが」
兎神の発言には色々含みはあるものの、何かを確信しているような話し方だった。一方、要点を得ない司は謎が深まるばかりだ。
「舞と宗司さんから聞いた話だと、異形の身体、異常な力、筋が潰れても感じていない痛覚……厄介極まりないな。しかも、宗司さんの直感だと生物だが、どうやって生活しているか謎らしいぞ? 他者を襲うのに、呼気から血の匂いがしないらしいからな。肉食の野生の生物ではありえないだろう。死体からも何かを食べた形跡もない生き物、何が目的なのか……」
目をつぶって考えていた兎神は意を決したような顔で、司に話し始めた。
「司様、1つお願いがあるのですが……」




