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4-53 旅にアクシデントはお約束?④

 親毛玉の説明は非常に断片的で、的を射ていない内容が多かった。そもそも彼ら自身にも何が起こったのかがわからないのだろう。追っ手から逃げていたからか、時系列も曖昧だった。ただ1つわかったことは、その追っ手は舞が出会った魔獣と推測されるということ。


「……ちょっと休憩しよう」


「間食をご用意していますので、今からお配りします」


 司たちにはクッキーとお茶が、リリと毛玉たちにはリンゴが配られた。好物のリンゴを視界に捉えたリリの目が輝く。そして、見たことがない食べ物だが、匂いでおいしそうだと判断した毛玉たちの目も輝く。いや、どこに目があるのかわからないのだが……。


 リリが嬉々としてリンゴ食べている横で、毛玉たちも自分たちに出されたリンゴに群がる。どうやら、彼らの口にも合ったようだ。


「お父ちゃん! これ美味しいよぅ」


「こ、こ、こんなに美味しい物を食べてもいいのでしょうか?」


 子毛玉がおやつに歓喜する中、親毛玉が美味しさに戦慄していた。当初のリリもそうだったが、野性の世界で甘味というものは貴重らしい。


「さて、この子たちは家で保護するとして、兎神に連絡しておかないとな。あと、舞が遭遇した魔獣? ってやつは、一体何なんだろうな。話を聞いていると何か目的があって行動をしていそうなんだけど」


「私の印象も同じですね。宗司兄の話では、息の根を止めたら砂になって崩れたとか、存在自体も非常に歪ですし、こんな奇妙な生物が自然界に存在するとは思えません。何か目的があると見たほうが自然です」


「そう言えば、家を出る時に宗司さんが何か持ってきてたよな?」


「遠征で、倒した魔獣から出てきた石のような物を入手したそうですが、その、渡すのを忘れていたそうで……すいません」


「いやいや、前回は宗司さんに世話になりっぱなしだから、情報源になりそうなものを手に入れてくれていたほうが感謝だよ。橙花たちは何か知っているか? 兎神が調べているんだろう?」


「私たちは兎神が知り合いに分析依頼を出すとしか存じ上げておりませんね。ただ、兎神はアレが何なのか、なんとなく推測がついている様子でしたので、分析依頼は確証を得るためでしょう」


「なるほどな、じゃぁ、あとで電話した時にでも聞いてみるか……ん?」


 司たちが話し合っていると、膝に何やら気配を感じた。見てみると、おやつを食べ終えた子毛玉たちがよじよじと膝によじ登って寛いでいた。ほよんほよんとリズミカルに揺れていてご機嫌のご様子だ。


「こらこらこら、今リリがのぼってきたらこの子たちが潰れちゃうだろ?」


「うー」


 その様子を見ていたリリが、司の膝に前脚を置いてどうにか自分も登ろうと格闘していたが、どうにもなりそうにないことを悟って不満気だ。


「リリ、こちらにいらっしゃい。今日はこの子たちに譲ってあげましょう? ようやく安心できる環境になることができたのでしょうから。今は自由にさせてあげましょうね?」


 舞に諭されて、トボトボと舞の膝に向かうリリ。その様子を見て、あ~これは今日の夜は一緒に寝てあげないと機嫌が直りそうもないな、と密かに思う司だった。




「それで、あの不思議な生き物たちはどうするんですか~?」


 夕食の時間に澪が司にそう尋ねた。澪からしてみれば、他にも聞きたいことは山ほどあるだろうが、司たちのほうから打ち明けない内容は聞かないように努めているのだろう。


「うちで保護することにしたよ。まぁ、1匹も2匹も変わらないしな。幸い、食べ物も問題なさそうだし、住む場所を提供するだけだけどな」


 干支神家にいるのは、あの謎毛玉だけではないということを暗に伝えた司の発言に顔を引きつらせる澪。逆に目を輝かせる優とは対照的な反応だ。


「司様、あまり澪様方を巻き込んではいけませんよ。兎神にも電話で釘を刺されたではありませんか……」


「そうです。中途半端はよくありません。やるからには、逃げる余地がないように徹底的に巻き込みませんと。我々と運命共同体となってしまえば、守秘義務を守らせるために目を光らせることすらしなくてすむのです」


「蒼花、あなたという人は……」


 この会話の時点で澪はドン引きである。


 澪が知っている干支神家は裏家業の家系、調べようにも情報が露骨に規制されていて良くわからない。優から聞けば、ヘタすると物理的に消されるとまで言われる始末。噂だけが独り歩きして、澪の中で関わり合いになりたくない人、ナンバーワンにリストアップされているくらいだ。勿論、関わり合いになりたくないのは裏情報であって、司本人と絶縁状態になりたいというわけではないのだが。


「まぁ、そんなわけで、この件は他言無用な。俺たちに任せてくれればいい」


「司、今度、家に見学に行っていい? 無論、舞も連れてく」


 マイペースというか己の欲求に素直というか、兎に角、優はいつものように平常運転なのであった。

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