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4-28 いざ! 上陸! 青葉リゾートアイランド⑥

2017/10/13 固有名詞を修正

 終始和やかに進んだ一行の船旅もついに終着点を迎えた。クルーザーのデッキから前方にはうっすらと島が見え始めたのだ。あれこそが今回の旅の目的地になる。


「皆さん~、島が見えてきましたよ~」


「あれが青葉リゾートアイランドだよ! あと30分もすれば、陸に着くからね」


 通称、青葉リゾートアイランド。日本から船で沖へ数時間のところに存在する直径3キロほどの太平洋上の小島。青葉家が所有してリゾート関係の宿泊施設やマリンレジャーなどを整備して、観光とバカンスを目的として一部を一般公開している。


 島の南側には1キロほどにわたって白い砂浜が広がっており、その浜辺に隣接するようにホテルやコテージのようなものが数多く乱立している。そのほかには、大きく分けて東側にはマリンレジャー施設が、西側には船の停泊所が、中央には一般の公園エリアが、北側には青葉家の別荘などの個人エリアがある。



 妙子は慣れた手つきで船を操作して停泊所へと進めていく。職業は食堂の女将だったはずなのに、いつの間にか女船乗りにクラスチェンジしている。その威風堂々な様は、まるで女傑アルビダのようである。


 それにしても、本来海の男であるはずの玄次郎のいいところが今回は全く見れていない。道中、ずっと甲板でゾンビしていただけの、非常に残念な結果だった。ぜひ、いつか名誉を回復してほしい。


「やっと陸地が見えて……私、こんなに陸が恋しいと思ったの、初めてだよ……」


 詠美がぐったりしている。メンバーで唯一、船酔いをした経験者は辛そうだ。後半は症状もかなり良くなり、イルカも楽しむことができていたから、最悪ではなかったのが救いだ。


「さー! みんな着いたよ! お疲れさま! 詠美ちゃんは災難だったね、でもこれも経験だよ、次はきっと大丈夫だ。船の事は私たちに任せて、澪ちゃんたちは別荘に向かいな。手続きをしたら、私たちはいつものところへ行くからね」


「妙子婆様、玄爺、ありがとうございました」


「おい! 爺! 澪ちゃんのお見送りだよ! しゃきっとせんか!」


 妙子と玄次郎に見送られて、一行は停泊所から北側にある青葉家のプライベートエリアへ徒歩で向かうべく、ゲート前で入島の手続きをしていた。このゲートの先は一般エリアとなる。


「へー、やっぱり一般開放されているとはいっても誰でもウェルカムではないんだな。まぁ、何か問題があった時に、セキュリティがしっかりしてないとダメか」


「ええ、この島には、停泊所に隣接するゲート施設からしか入れません。もちろんビーチとかに船で乗り付ければ入ろうと思えば入れますが、それは監視していますからね。一応、強行されたときのための自衛手段もあります」


「とはいっても、そんな物々しい手続きじゃなくて、ここで行うのは本人の身分証明確認と、宿泊施設の予約照合、荷物検査、金属探知、記念撮影・・・・だけですね。ほとんど空港の入国管理でやる内容と変わりません」


 一行の手続きは澪が先頭で行っているため、ほとんど顔パス状態で形式上だけになっていた。それにしても空港と同じならば十分厳重な気もする……。とすると記念撮影とは顔面認証と記録か。


「さ~、皆さん分も手続きしましたので、早速、中へ行きましょ~」


 澪が意気揚々と先頭で、一般エリアを抜けて青葉家のプライベートエリアのほうへ歩いて行く。一行はカルガモの親子のようにぞろぞろと後をついていくのだが、ほとんど子供だけの集団のため、かなり人目を惹く。


「エリア内の紹介や案内は明日まとめてするので、まずはうちの別荘へ向かいます~。今日はあと2時間くらいで日が暮れますので~」


 そんなことはお構いなしにしばらく北側へ進むと、不自然な背の高いフェンスが見えてきた。そして、この先、私有地のため進入禁止、猛犬注意の看板。ご丁寧に日本語、英語、フランス語など複数の言葉で記載がされている。猛犬? どういうことだろう……嫌な予感がする。


「ここからは、青葉家の私有地ですので、ちょっと変わった規則があります。もし、徒歩で別荘へ向かう時は、必ず私か青葉の家の人を同行させてください。皆さん、自分たちだけで歩いて行かないように注意してくださいね~」


 プライベートエリアに入った途端に、リリの鼻と耳がぴくぴくと動き出した。そして、その僅か1分後には何かが走って近づいてきた。宗司が警戒して若干緊張気味に前に出るが、澪は特に何もアクションを起こそうとはしていない。


 だだだーっと全力疾走で走ってやってきたのは大きな犬? の群れだった。下手をすると自動車並みの速度があるのではなかろうか。自転車よりは確実に速い。


 そして、こちらにたどり着くと、みんな一斉に澪に飛びかかった。身体を擦り付けられたり、べろんべろん舐めたりされて、大きな毛玉にもみくちゃにされながらも、澪の顔は楽しそうだ。


「紹介します~。うちのワンちゃんたちでボルゾイという犬種です~。ちょっと大きくて見た目が怖そうですけど、とってもいい子たちですよ~」


 そう言われても、思いっきり猟犬である。

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