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逆ハー畑でつかまえろ☆  作者: さや@異種カプ推進党
番外編

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28/28

夏だ!プールだ!ふんどしだ!

セリフのみです。



「あぁ、イッカ。ここにおったか。

 お主の言うプールとやら、ようやく完成したようじゃぞ」

「マジデジマ!?

 じゃあじゃあ、さっそく皆で遊、いや、視察に行こうよ!」

「まじでじ……?

 いつも思うが、お前そういう訳の分からない言葉をどこで覚えてくるんだ」

「プール?

 何ダ、ソれは。聞いタことモないゾ」

「何を言っている。

 ピ・グーもあの時分、同席していたではないか。

 覚えておらぬのか、ほんの1年程前のことだろう」

「待テ。ソんな昔の話ヲいちイち覚えていルわけがなイ」

「俺も普通に忘れたな。

 それで、プールとは何なんだタマ」

「なぜそこで私じゃなくタマちゃんに聞くのかしらん?」

「脱線」

「よく分かった!」

「一言で通じる程度に自覚があるのなら、少しは直す努力をじゃなぁ」

「楽しければ何でもいいわ!」

「刹那主義ですか、イッカさん」

「ふむ、プールについてか。

 我も理解に及んでおらぬが、苺花は確か……『ねー、ゼニー。どこか水の多い地域でいいから、遊泳用水場もといプール作らなーい? 陸上よりも足とか色々負担少なく運動できるから、太っちょさんとか妊婦さんとかご老人とかにピッタリだしー、小児喘息にも効果があるしー、水遊び楽しいしー。まぁ、せっかく作るなら最低でも二十五メートルは欲しいから場所やら清潔な水の確保やら大変だろうけど、自分達が使わない時は放置するなんて勿体無いから管理人やその他従業員を雇って広く開放する方向で考えるとして、とりあえず全く新規のレジャー施設をどんな客層にどう営業して元を取っていくかとか、その辺パパッと考えて企画書作ってみるから完成したら見てほしいのー』と、言っていたな」

「すごいっ。

 イッカさんの声にそっくりですよ、タマさん」

「所詮は振動に過ぎぬからな。

 模倣など容易いことよ」

「良く分からンが、要は人工的に作られタ安全ナ水場をプールと呼ビ、用途は戯レを主目的としテ泳グこトでいいのカ」

「そうそう、そんな感じ。

 ピーちゃんて何気に頭良いわよね。

 切れ者の豚獣人とか意外性あっていいわー、惚れ直すわー」

「分かっタ分かっタ。

 ソれデ、泳げなイ者や未経験ノ者はドうすれバ?」

「えっ、あ、そうか!

 この世界は水辺イコール化け物の住処って感じだから、むしろ泳げない人の方が多いのか!

 えええ、じゃあじゃあ皆、泳ぎ経験どんな感じなの?」

「俺は昔、勤め先で訓練させられたことがある」

「オレは全くないナ」

「我も人間の姿では皆無だ」

「うーむ、私も必要性がなかったからのぉ」

「僕は必須技能でしたから一応」

「あっちゃーぁ、未経験三人かー。

 いや、でも割合的にはむしろ多い方なのかなぁ」

「言いだしっぺのお前はどうなんだ、イッカ」

「私の住んでいた所では、むしろ泳げない人の方が珍しい部類に入るからねぇ。

 私もクロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライ、犬かき、立ち泳ぎ、古式泳法各種にシンクロ程度はイケるよ。

 ま、どれもかじってる程度で別に上手くも速くもないんだけどね」

「おい、分かる奴いるか」

「……おらんようじゃな」

「苺花め、全く侮れぬ存在よ」

「本当、博識ですよねぇ。素敵だなぁ」

「ユーリは何でモ良い方に考えるナ。いっソ恐ろしイぞ」

「んじゃ、泳げない人は泳げる人に教えてもらう方向で。

 それぞれの実際の技能にもよるけど……とりあえず、私はタマちゃん担当で、ヤンはピーちゃん担当、ユーリちゃんはゼニー担当でどうかな」

「妥当だな」

「分かりました」

「あ。でも、『タマちゃんズルぅい! どうしても愛しの苺花に習いたいぃーん!』って言うなら私も考え直……」

「デは、ヤン。スまんガ、頼むゾ」

「うーむ、この年になって教えられる側になるとはのぅ。

 ユーリ殿、ひとつお手柔らかに願いますぞ」

「無視か、おぬしらー。

 わらわは逆ハー愛されヒロイン苺花なるぞー」

「ううん、僕が教える方の立場じゃなければ……」

女青年じょせいねんは破滅願望でもあるのか」

「タマも言うようになったな」

「イや、前かラだろウ」





~~~~~~~~~~





「おー。よーしよし、ゼニーも結構泳げるようになってきたねー」

「ん、イッカ。

 タマ殿と二人で世にも珍妙な泳ぎのような何かを披露しておったかと思えば、意外と周囲のことも見ておったんじゃな」

「そりゃそうよ。

 監視員もいないし、誰かしら注意してないと危ないじゃない。

 水に一番慣れてるのも万一の対応を知ってるのも私だけなんだから、このぐらいは当然でしょ?」

「イッカが常識的なことを!?」

「気をつケろ! 死人が出るゾ!!」

「何、そう案ずるな。

 我がターマノミ・スピリンタルの名にかけて、この場で死者など出さぬよ」

「タマさん格好良いっ。

 僕もそんなセリフ言ってみたいです」

「さておき、ようやく全員が泳げるようになったわね」

「まぁ、そうじゃな」

「では、チキチキ褌ばかりの猛レース大会!~ポロリもあるよ~を満を持して開催しようではないか!!」

『いらない』

(あっ、女神様。お久しぶりですー)

『久しぶりに様子を見に来てみれば、何やってるのよアンタ』

(見ての通りですが)

『この世界に水着が無かったのは分かるけど、だからって褌なんか開発させるんじゃないわよ見苦しい』

(私は美味しいです。

 むさ苦しい男共のケツ独占密着眺め放題最高です。

 この世界につれて来ていただいて本当にありがとうございます、フェロモニー様)

『そんな薄汚れた感謝の念なんか送ってこないでっ!』

「まぁたイッカがよく分からないことを始めようとしているな」

「そこはかとなく淫靡な響きを醸し出しているポロリとはいったい何であろうか」

「嫌な予感しカせんナ」

「レースということは泳ぐ速さを競うのでしょうか。

 でも、それだとある程度結果は見えてしまっているような」

「うむ、圧倒的に私が不利じゃな」

「アラやぁねぇ、ちゃんとハンデはつけるわよ。

 妨害有りっていうハンデを」

「はぁ?」

「武器使用と、一度に二人以上の強襲は禁止。

 紳士の証明、水着ふんどしが脱げた場合は着用し直すまで進行停止すること。

 あ、タマちゃんは精霊の力を使っちゃ駄目だからね。

 破ったら即座に反則負けだから、よろしく」

『水着と書いて褌と読ませるなんて、皆が分からないのを良いことにアンタって奴は!

 卑怯者! 変態! 欲望の権化!』

(はっはっは。

 自称ビッチ女王の私には、むしろ褒め言葉ですなぁ)

「ハンデどころか、より差が広まるルールにしか思えないんだが」

「うむ、圧倒的に私が不利じゃな」

「その台詞は先ほども聞いたぞゼニス、痴呆とやらなのか?」

「シかしまァ、他愛の無い遊ビの一環だろウ?

 あマり本気で規則を作ルとイうのもナ」

「そうですね。

 イッカさんの言葉じゃないですけど、楽しめばそれで良いんじゃないでしょうか」

『この調教されし男共め、何だかんだ苺花中心かっ』

「あっ、負けた人は罰ゲーム有りで」

「私は断固としてルールの改正を要求するぞい」

「おい!

 ちゃんと実力に合わせて開始位置を変えるとかしろよ!!」

「今のとコろ最も速いノはユーリだガ、シかしオレ達は彼女に手を出せルような性格をしていなイだろうガ!

 事実を省ミろ!

 公平性に欠け過ぎていルと思わんのカ!」

『うわぁ、必死』

「女青年、罰ゲームとは何だ。

 なにゆえヤンらはこうも唐突に態度を豹変させたのだ」

「えっと、僕にはちょっと分かりかねます……」

「ちなみに、罰ゲームを決めるのは一番早くゴールした人ね」

「タマ、常識というものは俺が散々教えて来たな?

 もしお前が勝った時、その数々の教えを思い出せるな?」

「ヤンよ、何が言いたい」

「ユーリ殿、私は信じておるぞ」

「えっ、えっと、え?」

「ヨシ、イッカ相手なラ普通に妨害も可能だナ」

「近頃みんなの女扱いの対象が、私<越えられない壁<ユーリちゃんになってきている件」

『日頃の行いって大事よね』

(あ、フェロモニー様は審判お願いしますね)

『ナチュラルに仕事頼んでるんじゃないわよ仮にも女神よ私、別にいいけど』

(うわツンデレヒロイン気取りですか。

 にわか臭ハンパないんで止めてくださいイラッとします)

『アンタの思考回路ホント分かんない!』





~~~~~~~~~~





『っこほん。えぇーと。

 第一コース、ユーリウス・シン・フィメルぅー。

 その洗練されし泳ぎテクはさながら人魚の如し。

 当レース大本命ぇー。

 続いて第二コース、ゼニス・ゲー・アルノンデスぅー。

 覚えたての拙い泳ぎでどこまで食らいつけるか。

 最下位だけは避けたいところぉー。

 第三コース、ヤン・リーツェーぇ。

 明らかに苺花の妨害を狙っているようですが、果たしてその結末やいかにぃー。

 第四コース、苺花・藤堂ぅー。

 完全に一対五のアウェイムードの中、どこまで健闘できるのか。

 注目です。

 第五コース、ピ・グー・マイノゥリットぉー。

 第三コースのヤンと共に苺花の妨害を狙っています。

 果たして、彼らは自身が罰ゲーム対象もとい最下位候補になっていることを理解しているのかぁー。

 そして最後は第六コース、ターマノミ・スピリンタルぅー。

 驚異的な早さで泳ぎを習得し、今や苺花をも圧倒する実力を身につけています。

 恐るべきは精霊の高スペぇーック。

 ちなみに、ユーリとタマが端のコースに配置されているのは、どうあっても苺花に勝たせたくない男衆の工作によるものです。

 なりふり構わない恥ずかしい大人とは、まさに彼らのことを言うのでしょう』

(それにしてもこの女神、ノリノリである)

『まもなくレースが始まろうとしています。

 開始の合図は魔獣タランドールが担当です。

 さぁ、緊張の一瞬…………各人一斉にスタートぉーーーっ!』

「どぉりゃああああああぁぁあ!」

「行かせンぞ、イッカぁああアあ!!」

『おおっと!

 さっそくヤンとピ・グーが苺花に襲い掛かったぁー!』

「ふはーははは! 遅いわ馬鹿め!

 見よ、この時のために隠匿していた私の最速スッポン泳法をーーっ!」

「何ぃーーー!?」

「は、速すぎル!!」

『しかし、苺花これをあっさりかわしたぁーッ!

 ここまで手の内を隠していたとは、さすが汚ぁーーい!』

「目指すはただ一位のみ!

 そのためには手段など選んでいられるかぁー!」

『最低! 最低です、この女!

 スポーツマンシップをなんと心得ているのでしょう!

 ただいま、颯爽とスタートを切ったユーリ、次いで苺花、タマ、開いてゼニス、完全に出遅れたヤン、ピ・グーの順位となっております。

 実力的には順当な位置取りとなっているようですが、レースはまだまだ始まったばかりです。

 特に、折り返し後すれ違い際の妨害行為による番狂わせが期待されます。

 さぁ、勝利の栄光を手にするのは果たしてぇー?』





~~~~~~~~~~





「来た! 今度こそ止めるぞ、抜かるなよ!」

「トン・デイブ国五強士が一人ピ・グー、同ジ轍は踏まン!」

「甘いわ!

 地の利を失った筋肉が、欲望全開の痴女に勝てると思うてか!

 秘技、御本尊様御開帳ポロリダンシング

 褌を制する者、ポロリを制す!」

「ぎゃあああああああ!!」

「水着ガぁあアぁあア!?」

『いやぁーーーーーーッ!』

「はーっはっは!

 無難に最下位争いでもしておれば良いものを、この私に挑んでくるからこうなるのじゃーー!

 そこで立ち往生しておれ、丸出せし戦士たちよ!

 そして、私が一位を獲る瞬間を指を咥えて見ているがよい!

 うわーっははは、うわーっはっはっはぁーーーー!」

「……ぷはっ。あ、やりました。僕一位ですっ」

「って、負けとるやないかぁーーい!!

 くそー、こうなったら最下位にならないために褌一枚持っていってやる!」

「あっ! バカ止めろぉ!!」

「ルール以前に、人としテやってはいケないことダそれハーー!」

『そうよ、止めて苺花ぁーーーーッ!』

「止めぬ! 返さぬ! 突き抜ける!」

「ちぃぃ! 悪いが、残った水着は俺が貰うぜ!

 早い者勝ちだ! じゃあな、ピ・グー!」

「ナっ!? ヤン貴様ぁ!」

「うーむ、やはり背泳ぎとやらが一番楽じゃなぁ。

 全くイッカも老体に鞭打つような提案ばかりしおってからに。

 あー、筋肉痛が心配じゃあ。

 今度のヤツは何日後に来るかのぉ」

「ヌぅぅ! コんな心許なイ気分は初めテダ!」

『見たくない見たくない見たくない、もうやだ帰るぅーーっ!』

「褌を高く掲げたまま今、苺花堂々とゴォーーッルインッ!」





~~~~~~~~~~





「……ハ? 最下位はタマ?」

「うむ、無意識の内に指の間に水かきを形成していたようでな。

 これは苺花の言っていた反則とやらに当たるだろう」

「ソ、ソうカ。何ダ、そうカ」

「良かったな、ピ・グー」

「ヤン、お主……どの口が言うとるんじゃ」

『そうよ、そうよ。裏切り男ー』

「で、ユーリちゃん。罰ゲーム何にする?」

「罰ゲーム、ですか。

 えっと、えっと、タマさんにして貰いたいことですよね」

「そうよー、何でも言っていいのよ」

「何でもは駄目だろ」

「常識の範囲内で、じゃな」

「ユーリなら言わズとも分かっテイるだろウ。

 イッカが勝たなくテ本当に良かっタな」

「うむ。まだか、女青年。早くしろ」

『何で微妙にワクワクしてんのよ、この精霊は』

「ええっと、それじゃあ……タマさんの暇な時で良いので、タランドールのお嫁さん探しを手伝ってもらえないでしょうか」

「良かろう」

『お嫁ぇ!? うわぁーっ、見たくない!

 もし子どもを屋敷に引き取るなんて言い出したら、私二度とここには来ないからねーっ!』

(いつだって勝手に覗いてるくせに、何を言ってんですか貴方は)

「タランちゃんお年頃なんだ?」

「あ、はい。そうなんです。

 でも、この子の故郷はちょっと大変な場所にあるものですから、一人で行くのも不安があって。

 それで、精霊のタマさんと一緒なら大丈夫かなって」

「そっかぁ。

 ま、危ない所なら皆で観光よろしくついて行くってワケにもいかないしね。

 その時は、気を付けて行ってきてね」

「はい。ありがとうございます、イッカさん」

「留守は任せておけ」

「アぁ。イッカとゼニスの護衛ぐらイなら、オレたち二人で事足りルからナ」

「助けが必要になれば遠慮せず連絡してきなさい。

 駆けつけてやることこそ出来んが、使える伝手はどこにでもあるからの」

「はい。皆さんも、ありがとうございます」


「さて、じゃあ話もついたところで、今日はお開きにして帰ろうかー」

「そうじゃな」

「うむ。愉快であった」

「またプール来ようねー」

「はいっ」

「……水着を剥ぎ取らないならな」

「オレも罰ゲーム抜キなラ考えてやル」

「何よぅ、二人とも意気地なしーぃ」

『そういう問題じゃないから……はぁ。

 私もそろそろ帰ろうかな』

(あ、そうですか?

 今日はレース実況お疲れ様でした、フェロモニー様)

『あぁ、うん。

 初めてやってみたけど結構楽しかったわアレ』

(そっすか)

『もうっ。女神の言葉に生返事で返してくる人間なんかアンタくらいよっ』

(みんな違って、みんな良い!)

『自分に都合よく解釈しない!』

(あー、そうだ。

 最後に一言だけいいですか、一言だけ)

『はいはい、なに?』

(フーンドシぃ☆サぁイコぉーぅ! イエーっ!)

『……じゃ、帰るわ』

(はい。またのお越しをお待ちしております)





 おわり。



その他SS↓

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