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工作は楽しい

バザー用の手芸品を作るようですね。

なつみさんとも、ゆっくり話せたのかしら。

 魂の記憶とは不思議なものだ。


ロブが説明してくれたように、もし魂が永遠の命を持っているのなら、私の中には7千万回以上の人生があることになる。


まだ今生の生を10年しか生きていない私には、想像を絶する重さだ。


よくわからない、想像もできない、というのが正直な気持ちだ。


なつみさんは「魂は修行する旅人」だと、あの幽霊天使に聞いたらしい。


「めんどくさがり」の課題を持ってエミリーに生まれ変わったらしいが、全く修行の結果が出ていないよね。


変わらず今もめんどくさがりだ。



『私だって80年かけてもめんどくさがりは治らなかったわ。エミリーの代でどうにかしようとしなくていいのよ。これは治すというより、めんどくさく思うからこそ工夫できる生き方がある。めんどくさがりだからこそ改善していける生活がある。と前向きに捉えるべきじゃないかしら。そのための記憶チートと考えて、うまくそれを生かせると、今度の生が豊かになるような気がするわ。三人寄れば文殊の知恵と言うでしょ。仏様じゃなく常人でも、私、おきぬさん、ロベルトさんがエミリーと一緒に知恵を絞って生きていけば、楽しい人生になりそうじゃない?』


なつみさんはそう言って笑った。


そうだね。

難しく悩むのは私の性に合わないね。


ドタバタ賑やかにあれこれ挑戦して失敗して、そこから得るものを楽しむほうがいいね。




◇◇◇




 婦人会のバザーで販売する手芸品の中で、エミリーが作ることになったのは、天使の輪っかと妖精の星の杖を各3個。

それと手縫いの練習のために、5つの小型テッシュケース。


エミリーの年齢と裁縫技術を考慮して、簡単なものにしたとタナー夫人が言ってくれたが、結構時間がかかりそうだ。



 まずなつみさんと一緒に、天使の丸い輪っかと妖精の杖を作ることにした。


『こういうのを作るのは大好きなのよー。保育園で子供たちと作ったのを思い出すわー。』


なつみさんは若い頃に保母さんをしていたらしく図画工作は得意なのだとか。


やった。

何とかなりそう。



『まずエミリーの頭にくるりと巻けるように、厚紙を長い長方形に切ってちょうだい。それをそうねぇ、いろいろな髪の色に合わせて色を塗りましょうか。』


エミリーは村の子供達の中で、これを買ってくれそうな女の子の顔を思い浮かべて、黄色・茶色・黒色に厚紙を塗った。


『きれいに塗れたじゃない。じゃあそれを乾かしている間に輪っかを作りましょう。ドア・リース用の輪っかになった発泡スチロールに、蛍光塗料の入ったマジックで色を付けていきましょう。星や波の模様をつけるのも面白いかも。』


これは面白かった。何色も使って結構凝った模様ができた。


『これで暗い中を歩くと、ハロウィンの行列の中でも目立てるわね。色を塗った厚紙が渇いたら紙のふちをくるむように上下にラメの入ったテープを貼りましょう。可愛いし、紙も破れにくくなるでしょ? それができたら両端を折ってね。表側に折ると髪の毛に引っかからないわよ。ここにゴムを挟んでホッチキスで止めるから。ゴムは輪っかにした髪ゴムを使うとしっかりすると思うわ。輪を8の字にひねってつけてね。』


このゴムも、塗った色に合わせて選んだ。


ホッチキスで止める時も、なつみさんのアドバイスで表裏逆になるように打った。


『そして表に出た折り返しの線やホッチキスの後を、キラキラシールで隠していくの。バランスを見て全体に貼ってね。このゴムのところが頭の正面に来るからね。』


えっ? こっちが頭の後ろじゃないんだ。


なつみさんに聞くと、そのほうが全体の重さのバランスが取れるそうだ。


『ビニール加工がされた針金を、長めに4本・短めに2本切ります。ペンチを使う時は指を挟まないように気をつけてね。しっかりさせる為に2本づつよって1本にします。針金の両端をペンチでつまむと簡単よ。』


となつみさんは簡単に言うけれど、これがなかなか力が必要で、結局デビ兄に手伝ってもらった。


2人で両端を持つとスムーズによることができた。


『厚紙の後ろ側の中央を中心にして、3本つけます。輪っかと厚紙の鉢巻きの間に、三角形に近い台形になるように針金を付けてね。針金の両端のよりを少し戻して、輪っかや厚紙を挟むようにすると簡単につけられるでしょ。針金の端っこはこれも表側でひねって止めて、ケガをしないように尖ったところは絶縁テープで止めます。この上にも飾りシールね。』


わーー出来て来た。


『最後に、この3本の針金が網状になるように、横に針金を渡して編んでいくの。そうするとグラグラしないし強くなるわよ。針金の端は、ここも絶縁テープで止めてね。』


ここまでしっかりした天使の輪っかはそうないだろう。

ちよっと、王様の冠みたいだ。


『輪っかの方に、自分でふわふわのポンポンやお花を細い針金につけて差し込むと、ユラユラ揺れて楽しいの。そう言ってアドバイスして売ると、買ったほうも手作りが出来るから喜ばれるわよ。』


へぇー、私もそれやりたいな。星や蝶でもいいかもしんない。



『これで、天使の輪っかの完成でーーす。』


ふぅー。ひとつクリアだね。



次は、妖精の星の杖だ。


ピノキオを人間にしたり、シンデレラにドレスを着せたりするような魔法の杖である。


『これは簡単よ。まず、厚紙で星を2つ作ります。金色か銀色に塗ってね。そして、のりの付いていないキラキラテープを3本づつ束にして3束作ります。この束を星の上3つの角につけると魔法のフラッシュができるでしょ。手に持つ棒も下側に置いて、全部を荷造り用の布テープで星の裏側にしっかり止めてね。これをサンドイッチにしてもう1つ星を付けます。ホッチキスで止めて、針後にはまた色を塗ってね。』


おおーーこれは簡単だった。


『お疲れ様。妖精の星の杖の完成でーーす。』




 工作が終わって、なつみさんと話をした。


記憶チートのことや前世のこと等いろいろ話したが、なつみさんが一番興味があったのは、おきぬさんやロベルトさんのことだった。


『どんな人? どんな人生だったのかしら?』と言われてもあまりよく知らない。


今度聞いておくと言っておいたが、おきぬさんはともかく、ロベルトさんを呼び出すにはロブが必要だ。


…まっ追々でいいか。


さて次は…縫物だ。

それも手縫い。



早速おきぬさんの出番のようだ。


あの人ちょっと苦手なんだよね。

…自分だけど。

工作、楽しそう。


次は手縫いですか・・頑張って。

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