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魔王軍報告会1

「あー、その。折角だからお呼ばれしてみたんだけど、問題無い?」


 MEYが恐る恐る聞いて来る。

 別に問題はないのだけど、なぜそっちのエルフさんは俺を親の仇のようにみるのだろう。君の兄貴魔木化させたのディアですよ?

 コルデラやペリカ、ムイムイが率先して椅子を人数分持って来る。

 今回の会議、人多くなってないか?


 俺とその膝にチキサニ。右から順に若萌と膝上にマイツミーア、ロシータ、矢鵺歌、稀良螺、ペリカ、ハゲテーラ、ムイムイ、エルジー、MEY、エルフ娘、ルトラ、ディア、ラオルゥ、中央軍総司令官スクアーレ、トドロキ、サイモン、カルヴァドゥス、ルーフェン、ラガラッツ、コルデラ、ネンフィアス王、ユクリ、ギュンターの順番だ。


 ……ん?

 今、この円卓にあり得ない人物が混じっていたような。

 いや、トドロキ達は東西南北の現状報告のために集まってくれてるらしくて、なぜかルーフェンも一緒に来ちゃってるけど代表者がちゃんと全員出席している。だから問題はな……


「ん? なんだ魔王?」


 ……なんでいるのネンフィアス王っ!!?

 お前だよっ、違和感ありありなのはロシータでもルーフェンでもエルジーやチキサニでもないっ。何で他国の王様がしれっと魔王軍報告会に入って来てんだよ! 国へ帰れ国へ!


「うむ。折角なので魔王国に遊びに来た。和平交渉ができたのだからそちらの国に遊びに行くくらい構うまい?」


「構うわっ! フットワーク軽すぎるだろおっさん! しかも観光ならともかく何国の重要会議にしれっと混ざってやがる!」


「どうせ魔王軍に隠し事はないのだろう。儂がおっても問題あるまい。ギュンター殿は是非にと言ってくれたぞ」


 くっくと笑いながら告げるネンフィアス王。悪気など欠片すら抱いていないらしい。


「そもそも尻の軽い貴様に言われたくないな。レシパチコタンの巫女を攫って来るとはなかなか好色ではないか魔王よ」


「クアニ 魔王 コシマッ」


 いやんっと頬に両手を当てながら頬を染めるチキサニ。今あんた何言った?

 まぁ、誰も分かってないようだからいいけどさ。その態度からしてネンフィアス皇帝の言葉を肯定したよな。


「セイバー。とりあえずその人は放置して報告を始めましょう。何処から始めましょうか?」


「そうだな。とりあえず各魔将から始めよう。中央は後にしてトドロキから西、北、東、南、中央の順で頼む。その後はペリカ、ディア、コルデラ、ギュンター、若萌、俺の順でいいかな?」


「そうね。そうしましょう。ネンフィアスの方からは何かある?」


「儂か? ないぞ。儂は聞くだけだ」


「エルジーからは?」


「ありません。私も聞くだけです」


 人族二人は聞きに徹するだけのようだ。となると一応もう一人の勇者を除いた人族に聞いてみよう。


「チキサニからはどうだ? 報告があるなら俺の前辺りにして貰おうと思うが?」


「オプケしたい」


「は? 何するか知らんがすればいいんじゃないか?」


「イヤイライケレ。遠慮なく」


 ブッと俺の上で放屁したチキサニ。この野郎オプケってそれかよっ!?


「満足」


「ぶっ殺すぞ」


 魔王相手に何してんだこの娘。といった青い顔の要人たちがチキサニを見る。

 しかしチキサニは満足げにしているだけだ。こいつかなりキモがあるな。

 両手をグーにして側頭部に押し当ててやりグリグリとオシオキしておく。


「ああああっ、それ痛い」


「巫女のくせに何してくれてんだお前は」


「いい女は良く食べ良く出す。クアニ ピリカメノコ……っ、アルカアルカ。ごめんなさいっ」


 ったく、余計な時間使っちまった。

 溜息を吐いて俺は視線をトドロキへと向けた。


「スマンなトドロキ。報告を頼む」


「あ。はい。で、では早速南側に付いてご報告申し上げます」


 トドロキが話しだしたことでクスクス笑いが収まる。

 次第場に真剣な空気が降りて来る。


「大砲の設置がほぼ完了しました。さらに新造船の基礎が組めました。若萌様よりご指示のあった鉄製船の製造に着手致します」


「そう。順調ならこのまま任せて良さそうね。進水式には呼んでください」


「はっ。それと、ネンフィアスとの通商に我が領地の港を使うということでしたが、やはり海魔がネックとなっておりますな」


「儂の国としても流石に沈められる可能性の高い海に打って出る気にはならんぞ?」


「そりゃそうだろうな。何かいい方法がありゃいいんだが。ディア、なんかない?」


「私に聞かれましてもなんとも……ラオルゥでも乗せておけば恐がって襲われないのでは?」


「我は魔除か何かか?」


 まぁ、魔神乗せときゃ万一の事があっても海魔を倒してはくれそうだけど、それは根本的な解決にはならないな。


「とりあえず、その話は後にしよう。まずは報告を全て終えて、気になる点を抜きだして後で考えるとするか」


「ソレが良いな。ユクリ、書記を頼む」


「父よ、私が書くのか? まぁいいが」


「じゃあユクリは後に考える問題点の書記をたの「ブッ」……チキサニまたか?」


「オプケ出る自然っ、クアニ悪くないっ」


 俺はチキサニの頭をグリグリとオシオキするしかなかった。これはこいつが全面的に悪いと思う。

 本日のアイヌ語

クアニ=チキサニの一人称として使用してます

コシマッ=嫁

オプケ=屁

イヤイライケレ=ありがとう

ピリカメノコ=美少女

アルカ=痛い

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