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対決魔王勇者と勇者

 光の奔流が迫り来る人族を飲み込んだ。ほぼ一列に迫っていたレベル700越えの男達が一瞬で死亡判定となる。

 光が収まった場所にあった死体に、魔族の一部が群がった。

 いや、お前ら自分の命優先を……いや、むしろアイテム化した方がいいのか。


「な、何だあいつは、勇者様に強化された我らが一撃だと!?」


 一応、ルトラ倒しまくったからレベルは2000越えてるからな。

 ルトラ何度も倒したらとりあえずあいつより多少上まで上げられたんだ。

 流石に他の上位陣を倒すのはムリだし、対戦すらしてくれなかったのだが、魔王でレベル2000なら結構強いと思うんだ。


「バカな! 魔王とて1000レベルまでは行っていないんじゃなかったのか! この人数で囲めば倒せると言っていたのにっ」


「兵士さんたち下がって! 私たちが出ます」


 人族の兵士達が俺の一撃を見て下がる。

 代わりに四人の男女が突出して来た。

 皆、学生服に煌めく鎧やらフードを被っている。


 図鑑を見てみると、全員800オーバー。しかも……異世界人だ。

 どうなってる? 勇者召喚されたのは俺達だけのはずだ。ルトバニアに新しい勇者が降臨したなんて……


『バーカ。この世界にゃルトバニア以外にも国があんだろ。アレは多分別の国が召喚した勇者だ。しかもレベルからすりゃ俺らよりも早くに召喚されて高レベル地帯でレベル上げしてやがったみたいだぞ』


 ナビゲーターの言葉ではっとした。

 そうか。別にルトバニアしか勇者召喚出来ないわけじゃないか。

 だが、レベル800ならなんとかなりそうだ。

 ただ、ギュンターのままだったらおそらくこの戦争で魔族領は一気に人族に蹂躙され、下手したら魔王討たれてたな。


「陛下、相手が四人なら微力ながら手伝います!」


「セイバー。私も手伝うわ。ちょっと会話もしてみたい」


「ふむふむ。何やら面白そうだ。少し遊びに参加してやるか」


 ペリカ、矢鵺歌、ラオルゥが俺の側へとやってくる。

 他のメンバーだとマイツミーアがレベル500越えてる位なのだが、この三人ならぎりぎり託せるか。


「分かった。だけど無理はするな。ラオルゥ、二人のフォローも頼めるか?」


「仕方無いな。セイバーの頼みならば聞いてやらんでもない。後で甘えるぞ?」


「甘えるのかよ。ま、まぁお手柔らかに」


 ラオルゥが何を考えているのか分からない。

 遊ばれてるなぁと思いながらも俺はセイバーを強く握る。

 相手はおそらく俺達も魔族と認識して襲ってくる。矢鵺歌は対話の可能性があるだろうけど、俺との対話は多分無理だろう。戦隊ヒーローのスーツなんだけどなぁ。


 敵の四人はリーダー格が女生徒のようだ。セーラー服に白銀の軽鎧を装着した剣士風の少女が俺向けて駆けて来る。おお、胸大きい。走るたびにバインバインと……

 なんか凄い既視感あるな。多分だけど萌葱と闘った時だな。あの時はあいつが敵の救世主として出会ったんだっけか?


 もう、会う事は無いだろう少女を思い出し俺はちょっと切なくなった。

 きっと、会っていた期間は少なかったけど、少なくない恋心を、彼女に持っていたんだろう。

 結局ジャスティスガンナーに寝取られたわけだが。

 被りを振るって眼前の敵に意識を集中させる。


 強制ステータス展開。

 相手の名前は……桜井稀良螺。さくらいきららと言うらしい。

 スキルは凄いな。流石872レベル。大量のスキルを覚えて……

 ん? んん? ないな。いや、スキルは大量なんだけど、肝心のアレが無いぞこの子。


「怪しい生物ね。あなたも魔族なのかしら? なんにせよ、覚悟ッ!」


「桜井稀良螺に命ずる。気を付け!」


 ビタッ


 俺が命じた瞬間、振りあげた剣を捨てて気を付け姿勢になる少女。

 意味が分からず「え?」っと呆然としている。

 普通に使えたな。という事は真名で操られたり束縛はされてないと。そして、無防備であると。


「重ねて命じる。俺以外から真名命令を受けることを禁ずる。俺と俺が仲間と認識する者への攻撃を禁止する。理解したならばその場で臣下の礼を取れ」


 もはや、闘いなどにはならなかった。

 ペリカや矢鵺歌に向っていた男たちも、魔法を詠唱していたメガネの女生徒も、俺を敬うように片膝付いて臣下の礼をする稀良螺を呆然と見ていた。

 何が起こったのかすらわからなかっただろう。

 俺もここまで上手く行くとか思わなかったし。


「セイバー……流石にそれはどうかと思うのだが。遊びにすらならんではないか」


 ラオルゥからダメだしされた。解せん。


「何してんだ桜井さんっ!」


「桜井ッ! 遊んでんじゃねェ!」


 男二人が叫ぶが、脂汗を滲ませる稀良螺は自分の身に何が起こっているのかすら分かっていないようで、驚愕で眼を見開きながらも俺に平伏し続ける。

 ペリカと矢鵺歌に向おうとしていた男二人が俺に向い走り出す。

 魔法を唱えていた少女もラオルゥから俺に攻撃目標を変えた。


「桜井稀良螺に命じる。仲間の男達二人を殺さぬ程度に痛めつけてやれ」


「あ、う、嘘。なんで、いや、いやぁっ!?」


 自分の身体が勝手に動き出す感覚に悲鳴を上げる稀良螺。とりあえず、他の三人を撤退させるためにもしばらく魔王領に手出し出来ないようにするためにも、稀良螺を操らせて貰おう。

 あんまりこういうのやりたくないけど、万一矢鵺歌やペリカに被害が出ると困るし。

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