第四十七話「地下での出来事」
※改稿済み(2017/5/2)
格納庫よりも先に動力炉をドロシーは見て欲しいと言ってきた。なんでもこの宇宙船の動力は魔力を内包した結晶らしく、その結晶の魔力が尽きてしまうと、この宇宙船そのものがまったく機能しなくなるようなのだ。そんな訳でドロシーは日々そのことで頭を抱えているようで、俺に何かしらのアドバイスを求めて来たのだろう。戦闘機を見るのは後でもいいからね。
「わがまま言ってすみません王子」
「だって、それ尽きちゃうと真っ暗になちゃうんでしょ?」
「はいなのです。魔力の供給が切れちゃうと、魔道具の研究もできなくなるのですよ」
その魔道具がタイムマシンに違いない。そう考えるとある意味、宇宙船の動力源の確保が最重要課題なのかもしれないな。
俺達は再度、エレベーターに乗り、最初の入口よりも更に地下へと潜った。
どうやら動力炉がこの宇宙船の最深部のようで、そしてそこには大きな魔力結晶が、ふわりと空中に浮いていた。
「わあ、とても綺麗ですね!」
魔力結晶に見惚れるようにメアリーが感想を漏らした。
宝石のアメジストのように薄くポップな紫色で、淡く光り輝いているのだ。
「ちょいと触ってみてもいい?」
「はい、触っても大丈夫なのです」
ドロシーの許可が下りたので、ペタペタと触ってみる。
「膨大な魔力を感じるけど、僕の勝ちかな?」
自分の魔力の底はまったく見当がつかないが、この魔力結晶の底はなんとなく理解できる。魔術師ギルドで俺が撃った巨大な火球の120発分ぐらいの魔力残量かな。
「王子の負けなのですよ」
「ルーシェ様の方が低いですよ」
彼女達は身長の勝負と勘違い。別にいいんだけどね。
にへらと笑みを浮かべていると、ドロシーが何か思い詰めたような表情で、
「王子っ!」
「な、なんだい?」
「実はお願いがあるのですよ」
「へ……お願い?」
「はいなのですっ!」
なんだろ?
「新しい魔力結晶が欲しいのです」
なるほどな。
「お父様のお話によると、昔はもっともっと凄い蓄積量だったらしいのですよ。このままだと後一年ぐらいしかもたないようなのです」
でも、何処で手に入れるのだろう?
「手に入れる方法があるなら手伝うよ?」
「ほ、ほんとなのですか!」
「うん、もちろん!」
ドロシーのめちゃくちゃ喜ぶ姿を見ていたら俺も嬉しくなってくるな。
「で、どうやって手に入れるんだい?」
「膨大な魔力が凝縮した魔力結晶の多くは、ダンジョンの最下層が相場なのです」
「ダンジョンか……面白そうだね」
「はいなのですっ!」
電気止められて、タイムマシンの研究が滞ってしまったら俺も困るし。
てか、なんで俺が困るんだ?
期待だ。俺は無意識に期待してたんだ。そのタイムマシンは俺も使えるものじゃないのかと。仮に俺も使えるなら、ドロシーとマリーが未来から来た瞬間の時間軸にも戻れそうだし、ここが未来の地球なら今亡き日本の両親にも会えるよね?
会いたい。会えるなら会いたいよ。いっぱい愛情を注いでくれて優しかった日本人の両親に。思いつめると目頭が熱くなってきた。ぽろり。
「あらあら、ルーシェ様。急にどうしちゃったんですか?」
「え?」
「瞳がうるうるしてますよ」
迂闊にも涙ぐんでしまったようだ。その涙をメアリーがそっとハンカチで拭ってくれた。
「ごめん。なんでもない。目にゴミが入ったんだ」
「痛くないですか?」
「うん、もう平気だよ」
その合い間、ドロシーは俺とメアリーから視線を逸らし青い髪をいじっていた。あんまりメアリーとばかりイチャついてたら良くないよな……たぶん。バランス感覚が重要だ。二人とも大切な俺の家族なのだから。
ここは気を引き締め。
「そろそろ格納庫に行こうよ」
「そうですね」
「はい、なのです!」
格納庫にタイムマシンや、ヘンな言い方だが過去の近代兵器もあるのだろう。
しかし、タイムマシンはどんな形状をしてるんだ? 未来から来た二人は時間切れのようにその場から消えたしな。乗りモノではないのかな?
わくわくで格納庫へと向かうのであった。
主人公がなよなよし過ぎてたので、軽めに書き直しました。




