第四十五話「竜王に会う」
※改稿済み(2017/4/30)
空を飛んでいた俺達は竜王城の正面にふわりと着地。
しかし周囲を見渡してもドーナツ型の台座の上に築城された城への入口らしき場所が見当たらない。
「相変わらずヘンテコな形してんなぁ……城の入口はどこなの? 空から城の中庭に着地した方が良かったのかな?」
「勝手にお邪魔する訳にも……少し周囲を回ってみましょう」
城の周りを歩きながら、城の外壁をコンコンと叩く。
「ルーシェ様どうされたんです?」
「いや、この外壁って金属じゃない?」
「うーん。私も詳しくは存じませんが、遙か昔この城は空に浮かんでいたという言い伝えがあるのですよ。きっとその為の装置なのかもしれませんね」
「やっぱそうなの?」
「ええ」
「まるで天空城だな……」
竜王城の外周を歩いていると「プシュー」と、空気が漏れ出たような音がした。
すると何もなかった場所に人が出入りできるぐらいの空間が開き、そこからひょっこりとドロシーが顔を出した。
「王子っ! メアリーさん、お久しぶりなのですよ!」
「お久しぶりです。ドロシーさん」
「おおっ! ドロシーこれどうなってるの?」
「王子達の姿に気がついて内側から追いかけていたのですよ」
中へ入る為の入口は、この外周に何ヶ所もあるようだ。しかしその入口は外から見分けがつかないようにカモフラージュされている。しかも自動で開いたような気がした。
「王子もメアリーさんも中へどうぞ。竜王様も王子の訪問を心待ちにしてたのですよ」
「竜王様が?」
「はい。王子のことを竜王様に話したのです。そしたらお父様も会ってみたいと言ってくれたのですよ」
「お父様?」
「はいなのです!」
はて? ドロシーは人族と魔族のハーフって未来から来たドロシーが言ってたけど……ま、いっか。
弾んだ笑顔でドロシーが城内を案内してくれるのだが、この城内は些かヘンだ。
どうヘンなのかと言うと、城内が近未来を彷彿させるような蛍光灯のようなパネルで照らされているのだ。ここだけ随分と文明が進んでいるんだな。てか……なんで?
また、それとは別に竜王襲撃事件の日を境に、ミッドガル王国より何度も謝罪の使者が訪れていたらしいのだが、その全てを門前払いしたそうだ。
そして、円周に沿って歩いていると、ドロシーが足を止め杖を掲げる。
すると、上空から丸い円盤のようなものが降りてくるのだ。
俺達の手前で丸い円盤の板が少しだけ浮いた状態で停止すると、ドロシーがそれにぴょこんと飛び乗ったので俺達も乗る。
ぐんぐん丸い板が一直線に浮上。安定した浮遊感だ。
「これは凄い。エレベーターみたいな感じだなぁ……」
ノスタルジックな想いに駆られ思わずポツリと呟いた。
「王子は物知りなのですね。これはまさにそのエレベーターなのですよ」
「エレベーターなの?」
「はいなのですっ!」
「随分ハイテクなエレベーターなんだな……」
そう呟くとドロシーは嬉しそうに微笑み、俺はそのドロシーに何食わぬ顔で微笑み返したのだが、俺の内心は驚きの連続なのである。
マジでこれ何なんだ? 文明レベルが低い世界だと思っていたのに、日本の技術よりも遙かに高い科学力を感じるぞ。天井を見上げていると、エレベーターの上昇に合わせるように丸い穴が天井に開いた。
開いた穴を付き抜けると、そこは大広間で赤い絨毯が敷き詰められており、近未来を彷彿させるようなモノは何もない。この時代相応の雰囲気である。
白亜の大理石が煌びやかに光を反射させ、神殿のように美しいのだが、ひと際目を引くのがその外壁に刻まれている壁画であった。俺はその壁画に心を奪われるかのように魅入る。興味を惹かれたのだ。
壁画を眺めていると、メアリーがドロシーに質問を投げかけていた。
「丸い板は魔法で浮いてたのですか?」
「いえいえ、魔法じゃないのですよ。重力システムを作動させたのですよ」
「じゅうりょく?」
「はい。このお城は機械仕掛けの浮遊城なのですよ。でも今は燃料が足りなくて浮くことが出来ないのですよ」
ドロシーの返答にメアリーは首を傾げるだけなのだが、俺には大凡のことが理解できていた。
まずこの壁画だ。魔神戦争を描いた壁画なのだろう。
幾つかあるのだが、最初に目に止まったものは巨大で悍ましい何かに挑む六人の英雄達の姿だ。またこの壁画には空に浮かぶ浮遊城も描かれている。
だが、何よりも目を引くのがその巨大な何かだ。竜と牡牛の合成獣のような姿なのだが、機械のように見えなくもないし、その胴体には人のような顔まであるのだ。ひょっとしてこれが邪神なのか?
さらに戦車や戦闘機のようなモノまでもが所狭しに描かれている。
「ドロシーこの壁画はなんなの?」
「それはたぶん大昔にあった魔神戦争を描いたモノだと思いますよ」
やはりな……この六人の中にシャーロットに良く似た女性も描かれているからな。それは分かるのだが、戦車や戦闘機まである理由を明白に知りたい。
「王子が指差してるのは、古代兵器と呼ばれているモノで、お父様から聞いた昔話によりますと、全身が鋼鉄の鱗に覆われてるそうなのです!」
「なるほどね……それってつまりこれは戦闘機だよね?」
「せんとうき?」
エレベーターは通じたのに戦闘機は通じないようだ。
「それは鋼鉄のドラゴンなのですよ!」
いやいやこれは明らかに戦闘機だろ! と、一人脳内でツッコミを入れる。
しかしなんで戦闘機や戦車が描かれているんだ? 他の壁画に視線を移すともっと高度な文明を感じさせるロボットまで描かれてるし……。
この世界はやはり地球で間違いないのか?
それも俺が見知った日本の時代よりも更にずっと先の未来の話であり、今はもっとその先の時代にいるってことなのか? 不思議とそんな気がした。
以前、感覚的に遠い未来にいるような感覚に襲われてからというもの、俺は29歳までの人生を無意識に過去と喩えていたからな。
ひょっとしたら、何かの原因で科学が衰退し、魔法が発展した世界が構築されたのかもしれない。そんな展開の話はラノベやマンガ、ゲームの設定では腐るほどあるしな。
それこそこの竜王城は、巨大な宇宙船の上に建造されてるんじゃないの?
そんな想いを馳せながら、階段を上ったり下りたりしつつ、一直線に青い絨毯が敷き詰められた場所まで辿り着いた。そして、その先に竜王様が療養している部屋があるそうなのだ。こんな城に住んでいる竜王様ってどんな人物なんだろう。
ドロシーはドアをそっと開けると、
「お父様、ルーシェリア王子がミッドガル王国から来られましたよ」
「おおっ! そうか! ドロシーすまぬが中まで案内してくれぬかのう。腰が痛くて動けぬのじゃ」
「あ、はいなのですっ! 王子、メアリーさん。どうぞ中へ」
部屋の中に入ろうとした矢先、廊下の先の角で何かが動いたような気がした。
だが、魔力探知しても反応がなかったので気にせず部屋へと入った。
「よくぞ参られたルーシェリア王子に、そちらの可愛らしいお嬢さんが、ドロシーがいつも話していた王子のお目付け役のメアリーさんかな? ワシが竜王じゃ」
「はい、竜王様。僕がルーシェリアで、彼女がメアリーで間違いないです」
「そうかそうか、そうなのじゃな……ゴホゴホ」
見た目は優しげなお爺ちゃんって感じでほっとしたのだが、ベッドで身を起こす竜王様は郷田との戦いでかなりの傷を負っているようだ。
けれども、竜王様から怒りのようなものはまったく感じられず、むしろ俺達を来訪を心から喜んでくれてるようだ。ドロシーのお父さんか。これから仲良くなれるといいな。心からそう思う俺がいるのであった。
折角の休みだったのに、仕事の疲れで寝てました。
それで1話分しか改稿できませんでした(泣
なるべく早く終わらせて次話投稿できるように頑張ります。




