表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/110

第四十三話「伯父上」

※改稿済み(2017/4/29)

 召喚勇者の反逆に巻きこまれた俺とメアリーは、ミッドガル王城へと向かう。


「あー、ちょっと憂鬱だなぁ……」


 俺がそう呟くとメアリーが、瞳をぱちくりしながら、不思議そうな表情で、


「どうしてです? ルーシェ様?」

「だってさ、いくら僕達が悪くなくても法王庁と揉めたんだ。嫌味の一言ぐらい言われそうじゃない?」

「心配しなくても大丈夫ですよ。王様はルーシェ様のお身内ではありませんか」

「んまぁ……そうなんだけど……」


 小鼻を掻きつつ城門の手前まで辿り着くと、屈強そうな守備兵に声を掛けられた。

 しかもいつもは2名しか常駐していない門番が何故か7名もいる。その中の一人が、俺の苦労を労ってくれた。

 

「これはルーシェリア王子。ご無事で何よりでしたな」


 騒動は法王庁から早馬が飛び、なるはやに王国まで伝わっているようだ。


「早いね」

「ええ、ここだけの話ですが、法王庁にも王国の息がかかった者がおりますゆえ」

「あはは、そうなのね」

「それで急遽、警備を厳重にしてるのでございます」

「なるほどね」


 王様にかなりの迷惑をかけたかもしれない。とぼとぼ歩いていると後ろから先ほどの守備兵が思いだしたように、


「そうそう、ルーシェリア王子。つい先ほどフェリエール城より、オースティン公爵もご到着されていますよ」

「え!? ……マジ?」

「ええ」


 憂鬱なのが輪を掛けてさらに憂鬱になってきた。

 なぜならオースティン公爵に対し俺は、あまり良い感情を持っていない。

 召喚勇者授与式の日に遅刻した親父を怒鳴り散らし、フィルを見殺しにするような決闘を焚きつけ、挙句の果ては法王庁と何かしらの取引を裏でしているようだからだ。


 俺も親父みたいに怒鳴られるんじゃないだろうか。いやいやさいあくの場合、俺も何か言いがかりされて、訳の分からない罪を擦り付けられたりしないだろうか。


 国王様とオースティン公爵は、執務室に居るらしいので、そのドアの前までやって来た。

 はあ……このまま帰りたい気分だよ。でもまあメアリーも一緒だしな。


「入ろうかメアリー」


 メアリーを見上げると、少し体調の悪そうな顔をしてた。


「あれ? どうしたの?」

「ルーシェ様……も、申し訳ありません。きゅ、急にお腹の調子が……」

「え? お腹痛いの?」

「は、はい……私も後から来ますから……お、お腹、痛い……」


 女の子の日なのか、単にう○こなのか知らないけど、この土壇場のタイミングでそりゃないよ、メアリーさん。一人で入るのかよ……。


「ごめんなさいっ! な、なるべく早く戻ってきますので、ルーシェ様から少しだけでも事情のご説明……う、痛っ……」


 話途中でメアリーは慌ただしく姿を消した。ぽつんと取り残された俺。

 マジかよ……しょうがないな……覚悟を決めるか。

 ノックしたら返事があったので、そっと扉を開け中を覗いた。


 部屋の中には険しい顔をしている王様と伯父上がいた。


「ルーシェリアよ。ここに座れ!」

「あ、はい……伯父上」

「災難だったようだな。ルーシェよ」

「あ、はい国王様……」


 オースティン公爵こと伯父上がぽぽんと自分が座っているソファーを叩く。

 隣に座れと言っているようだ。伯父上は先王の妾の子であり、親父と王様とは異母兄弟である。


 うっへー、めちゃんこ怒鳴られるんだろうな。そんな雰囲気だ。王様も伯父上も深刻な表情だし、ただで済みそうにないな。


 ぽふっと伯父上の隣に座った。伯父上が俺に向ける眼光が鋭いよ。こえーよ!


 ところが……


「ルーシェリアよ。怪我もなく無事で何よりだ」


 伯父上はそう言うと、鋭かった眼光が嘘のように消え失せ、優しげな眼差しで頬ずりしてくる始末だ。


「お、伯父上、くすぐったいですよ!」

「これぐらい我慢せいっ!」


 ほんとは髭がゴリゴリあたって痛いんだけどな。でも思いやりが感じられた。



 でも、なんだろう……この展開……。

 そして、王様がほっとしたような息をつき、


「報告は受けているゆえ、お前は何も気に留めることはないぞ」


 王様も優しくそう言ってくれた。


 説教どころか嫌味一つ言われないぞ。どうなってるの? 


 メアリーがスッキリした表情で戻って来た。


「メアリーか、そなたはここに座れ」

「あ、はい。国王様」


 アリスティア神殿で起きた瑣末な事情は、メアリーが丁寧に説明してくれた。

 その合い間も俺は一人、戸惑っていた。

 王様と伯父上の仲が悪い様にも見えないし。


 けれども、フィルの一件を思い出すと、単純に喜べない俺もいる。

 でも、それを今尋ねるのもなぁ……この場の空気に水を差す気が……。



 

 ともかくこの一件は、伯父上であるオースティン公爵に任せれば良いと言われた。

 その結果だけを知らせてくれるらしい。大問題にならないでラッキーだったよね?


 こうして俺とメアリーは部屋を後にするのであった。


今回は主人公の独りよがりを大どんでん返しさせた感じに書き直してみました。

そんな感じに伝わっていると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ