旅行2
夕食はとってもおいしかった。唯一の成人の加恋もお酒は飲まなかったし、みんな一緒だからか羽目外しにくいって言うか、めっちゃ美味しかったから逆に、あーんとかふざける余裕なく普通に食べた。
「はー、お腹いっぱい」
「美味しかったねぇ」
食後、お皿等も下げてもらって、ぼんやりテレビをみんなで見ながら熱いお茶を飲む。なんとも言えない、まったりした時間だ。嫌いじゃない。
なんていうか、こんな風に、ずっとみんなで仲良くだらだらできたらなぁって思う。きっとそうできたら、誰に対しても胸を張れるくらい幸せな人生だろうなって、きっと死ぬ瞬間も後悔しないくらいだろうなって、そんな益体もないことを思った。
「貸切風呂何時からだっけ?」
「まだ30分くらいありますね」
「そうなんだ。じゃあ、加恋に膝枕でもしてもらおっかな」
「え?」
「はい、おっぱいあげて」
「あ、うん」
加恋は後ろ手をついていて膝が空いていたので言った。だから特に上げてもらう必要はなかったんだけど、両手で持ち上げてもらうと圧巻だ。うむ。よきかな。
失礼して膝枕してもらう。うん。机で隠れて全然テレビ見えないな。駄目だ。でもなんか、頭撫でられだしたし、前かがみになったせいでちょっとおっぱい当たってて気持ちいいからやめるとか言えない。
「……ね、ねぇ、卓也君、みんなも。変に思わないでほしいんだけどさ」
「え、なに?」
神妙な感じの市子ちゃんの声が聞こえた。思わず頭をあげかけておっぱいにあたった。ぽよぽよ。とりあえずそのまま指先だけ持ち上げて向けて、ちょいちょいと促す。
「その……一回、私も加恋先輩に膝枕してほしいんだけど」
「え? なんで?」
「変な意味じゃないよ? 変な意味じゃないけど……そのおっぱい上から当たるとかまじでどんな感じなの?」
「さすが市子ちゃん、お目が高い」
「え、あ、そう?」
「うん。じゃあ特別にかわってあげよう。いいよね? 加恋」
「あ、え、ええ。まぁ、いいけど」
と言う訳で名残惜しいけどチェンジした。市子ちゃんはおっぱいを楽しんでいる。割と遠慮なく。うん。悪くない。ていうか、結構いい。女の子同士でわちゃわちゃしてるのも可愛いかも。癒される。
「……な、なぁ、次、私もいいすか?」
「いいよー」
「あの、いいんだけど、卓也君が返事するのはどうなのかしら?」
「え? だって加恋のおっぱい僕のだし。なんか問題ある?」
「……ないです」
順々に加恋に膝枕してもらった。膝がしびれたと言い出したので、今度は僕が膝枕してあげた。そうしてだらだらしているような、いちゃいちゃしているような時間を過ごしていると、予約していた時間になった。
「じゃ、どうする? どっちが先に行く?」
「え? どっちって、え? 何がですか?」
また敬語になってる加恋がめっちゃ不思議そうな顔してきた。あれ、ていうかなんか、みんな不思議そうな顔して僕をみてるぞ?
「え? いや、男子と女子でどっちがって」
「え?」(加恋)
「え?」(市子ちゃん)
「え?」(智子ちゃん)
え? なに恐い。
「たくちゃん、何言ってるの? 普通に、分かれて入るほど時間ないでしょ? 何のための貸し切りだと思ってるの?」
「え? えっ? み、みんな一緒に入るってこと?」
「そうだけど。なんで? 普通に入ればいいでしょ。私たちは女同士だし、たくちゃんは別に今更でしょ?」
「えー、なんか、気まずくない?」
「そこはたくちゃんが頑張ってよ。ほら、みんなその気なんだから」
かなちゃんに言われて改めてみんなを見る。なるほど、これはそう言う意味の、え? だったのか。うーん、確かに、このみんなの期待を裏切るのは申し訳ない。
……ん? いや、申し訳ないけども、別に、裸くらい何回も見てるじゃん? そんな躍起にならなくて持っていうか、正直その状況で何にも感じない自信はないし、反応したら気まずいじゃん?
「……」
「……」
「……」
「わ、わかったよ。わかったから、無言で見てくるのやめて!」
「やったぜ!」
「いぇーい!」
わかりやすく智子ちゃんと市子ちゃんが喜び、加恋も無言でガッツポーズした。そこまで? しょうがないので、みんなで一緒に入浴した。
○
「……う…」
何だかとても苦しくて、僕はうめき声をあげて、その自分の声で目が覚めた。ぎゅっと強く目を閉じてから、そっと目を開ける。その天井を見ていると、昨日の記憶が戻ってくる。
「……」
そっと顔を上げると、お腹の上におっぱいが乗っていた。なーんだ、苦しいはずだ。人ひとり乗ってるんだから。
ていうか、全員裸で雑魚寝状態だった。誰一人として、ちゃんと服を着たり布団被ったりと言った理性が戻ることなく、寝たらしい。はー。僕が言えることじゃないけど、大丈夫か。この集団。
昨日はあれだ。お風呂の時はまだ大丈夫だった。うん。最後までいかなかったし。でもそこで我慢したせいか、部屋に戻ってから酷かった。いや他人事みたいに言うのは違うか。はい。一番ノリノリだったのは自分です。
さすがに、疲れた。僕なりに、この現状を理解してるつもりだ。なので可能な限り平等にしようと頑張った。4人に平等にするのは、もう、すごい疲れる。それも同時進行でしないと、手持無沙汰になって可哀想だし。向こうから積極的にちょっかいかけてくれはするけど、それはそれで、疲れた。
普段は一対一だから、積極的ではあっても、そこまで感じないけど、やっぱこの世界の女子ってみんなすごい肉食って言うか性欲って言うかやばかった。
もう完全にすっからかんだ最後水みたいって言うかほぼ出ていなかったし、ひと眠りした今も、みんな裸の肉団子状態なのになんとも……まぁ、0ってことないけど、まぁとにかく。少なくとも、もういいやって感じだ。うん。
僕は寝返りをうってあらわになった大きなおっぱいに、目をそらしながらどけて立ち上がる。ごろんと結構強めに転がしたけど、起きない。転がった先に智子ちゃんいたけど、んごって声あげただけで反応ない。
意外とみんな、おおざっぱだな。女子らしいっちゃらしいんだけど。
起こすのも悪い気がして、僕は踏まないように抜き足差し足で団子から離れる。洗面所で水を汲み、飲む。あー、美味しい。ていうかめっちゃ喉渇いてきた。もう一杯飲む。
「はー」
うっま。体にしみ込むみたいだ。はー……昨日、してる間はさ、ほんと、テンション上がって楽しかったけど、頻繁には無理って言うかもうほんと数か月単位でいらない。あって二人までだね。相手できるのは。4人は無理がある。いくらなんでも。
でも、親睦としてみんなで旅行するのは、すごい効果あったと思う。たぶん今日起きたらみんな親友だね。最後は女同士でももうべろべろキスしてたし。
「んんん」
うめき声がして、手洗い場から顔を出すと、団子状態から一人抜け出していた。かなちゃんかな? と思ったけど、市子ちゃんだった。
「あー……おはよ、卓也君」
僕を見て、視線を下ろしてにやけながら普通に声を出してから、慌てて口を押さえて僕の隣まできて、小さな声で挨拶してきた。
「おはよう、市子ちゃん」
それに僕も小声で返事をすると、市子ちゃんはえへへと可愛らしく笑って、ちゅっと触れるだけのキスをしてきた。自分からしてきたくせに、ていうか昨日なんかこんなのが可愛すぎるくらいのことしたのに、市子ちゃんは照れ笑いしながら頭を掻く。
「なんか、照れるね」
「えへへ。市子ちゃんからしたんじゃん。でもなんか、そうだね。内緒のっぽいね」
「ね。もっかいしてもいい?」
「ん。いいけど……順番ね?」
「へ? あ」
いつの間にか、市子ちゃんの後ろに足音を忍ばせて、智子ちゃんが並んでいた。恐い顔をしているけど、当然智子ちゃんも全裸だ。
「しっ。静かにしろ」
そう言って智子ちゃんは、市子ちゃんのが小鳥のたわむれるようなキスだとすると、まるで押しかけ強盗のような荒々しいキスをした。




