滝沢先輩2 加南子視点
「お、お待たせしました」
新しそうなマンションで、部屋の前で待つこと5分。片づけを終えた滝沢先輩が顔をだした。玄関で、横着して靴をはかずに腕を伸ばして扉を開けたので、前かがみになっていて、おっぱいがすごい主張してくる。
だからどうしたって話だけど、たくちゃんは何だかもぞもぞしてから、ちょっとだけ前かがみになっている。
そんなに、大きいのが好きなのか。ちょっとダメージを受ける。
確かに、正直、すれ違う程度ならそんな気にしないけど、正面から見ると大きい。動きもダイナミックな感じで、つい目が行くのもわかるし、気になるの、わかるよ。
正直、どんな感じするのかなーって、一回触ってみたいっての、わかるよ。わかるけど、エロい意味ではない。たくちゃんがする時、私の触ってくるの好きなのは知ってるけど、そんな好きなのか。そんなエロい部位だと認識していたことにびっくりだよ。
たくちゃんは、間違いなく私を好きだ。それを疑わないけど、より性的に魅力的だと思われるに越したことはない。でもこれはさすがに、真似できるものでもないしなぁ。
とりあえず部屋に上がる。人を疑うのはいい気分ではないけど、たくちゃんはとても可愛いし、どんな善人でも道を踏み外してなんらおかしくない。むしろいい人な滝沢さんだからこそ、犯罪者にならないよう気をつけてあげないと可哀想だとすら言える。
玄関扉は私が入って、特に鍵を閉めには来なかった。うーん、それは別に、玄関だし閉めてくれてもいいんだけど。部屋に入ると、ベランダに通じる窓も全開ではないけど、半分開いている。慌てて片付けたにしては綺麗なのはおいといて、普通だ。警戒する要素はない。
「えっと、飲み物持ってきますね」
と言って滝沢さんはペットボトルのお茶とオレンジジュースを持ってきた。もちろんコップも。新品みたいだし、これも大丈夫そうだ。いやまぁ、そんな常に危険な飲料とか薬品用意している人なんているわけないんだけど、まぁ、警戒するに越したことはない。
「これしかないんですけど、どっちがいいですか?」
「僕、お茶で」
「私は大丈夫です。喉渇いてないので。すみません、お気遣いなく」
「そうですか。じゃあ、どうぞ」
「ありがとうございます。あ、じゃあ僕も入れます。滝沢先輩はどっち飲みます?」
「えっと、じゃあ、お茶で」
注いでもらったたくちゃんは嬉しそうに、注ぎ返している。同じの飲んでるし、問題なさそうだけど、一応飲むのはやめておく。ていうか実際喉渇いてないしね。
「いただきます!」
たくちゃんは勢いよく飲み干した。え、さっきも一杯飲んだのに、どんだけ喉渇いてるの? 緊張したってこと? ぐぐぐ。
正直、たくちゃんが一目で気に入ったって言うなら、別に、愛人にって言いだしたとして私に留める権利はない。さすがに会ってすぐだし、多少人となり確認する時間は必要だけど、いい人なのはほぼ間違いなさそうだし。
でもやっぱり、いい気分ではない。頭では割り切ってるし、本気ならアプローチする協力だってやぶさかではないけど、やっぱりなぁ。うーん。はぁ。全然違うタイプ持って来られると、なんか、微妙な気分だ。
「えっと、じゃあ、早速ですけど……」
「は、はい……なんか、改まると恥ずかしいですね」
あまりにたくちゃんが真剣なので、完全に滝沢さんは引いていて、照れ笑いをした。あー、でもなんか、この感じ、確かにたくちゃん好きそう。
たくちゃんは正座で机を挟んだ反対側の滝沢さんの前まで行き、両手をかまえて恐る恐る近づけ、そっと手をあてた。
「お、おおおおおっ。すごっ。重量すごっ」
「あ、ありがとうございます?」
「やわらかっ。え、指沈むっ」
たくちゃんは興奮したように、まるで新しいおもちゃを手に入れた子供みたいにきゃっきゃとおっぱいをもんでいる。そして調子の乗って顔まで押し付けだした。
「……」
あー、つらっ。なんだコレ。私今なに見せられてるの? 彼氏がほぼ初対面の女とめっちゃいちゃいちゃしてるの見せられてる。なんだ。私なんかわるいこと、あ、はい。いやでも、それはそれでしょ。許されて彼女なわけだし。
いや、さすがにまだ二人きりになんてさせれないし、言われても困るけど。堂々とするか。滝沢さん、まぁ、もう先輩でいいか。滝沢先輩めっちゃ私の顔ちらちら見ながらどうしていいのかわからずに両手を肩まであげてホールドアップしてるし。
目をそらすわけにもいかないので、しばらく無心でその姿を見ていると、ようやく落ち着いたのか、顔をあげたたくちゃんはふーと大きく息をついてから両手を離した。
「すみません、つい興奮して。痛くなかったですか?」
「い、いえ、全然、ごほう、じゃなくて、大丈夫です」
いまご褒美って言いかけた? いやまぁ、ご褒美だけど。例えたくちゃんが全く通りすがりの他人だとして、こんな美少年にほぼ抱き着かれるくらいに胸触られたらご褒美に決まってる。でも意外にちゃんとそう思ってたのか。
「えっと、じゃあ……か、かなちゃんも触る?」
「え、まぁ、滝沢先輩がいいなら」
「ど、どうぞ?」
気まずくなったのか、たくちゃんはそう言いながらずりずり正座で私の隣に戻ってくると、そう言ってくる。たくちゃんの挙動にはドン引き以外の反応できないけど、全く興味がないとは言えない。
むしろあれだけたくちゃんを夢中にさせた巨乳、気になる。失礼して前まで行き、そっと下から持ち上げるように触ってみる。
「うわっ、おもっ」
「でしょでしょ!?」
本当にずっしりと重い。こんなのぶら下げてるのか。なんか、大変だなぁ。それで確かに、柔らかい。なんていうか、脂肪だし当たり前なんだけど、見た目的にもっとパンパンで固いようなイメージあったから、意外だ。
力をいれると指が沈んで形が変わる。へぇ。確かに、別に興奮したりはしないけど、面白いは面白い。性的な意味ではないけど、触り心地がいいし、なんとなく触っていたくなる。
これで異性で、性的な部位だと思っているなら、たくちゃんの熱狂ぶりもわからなくもない、かな?
「あ、すみません、つい。ありがとうございます」
「い、いえいえ。お粗末さまでした」
つい無心でもんでいた。滝沢先輩は照れくさそうにしつつもそう言った。なんか意味違う気がするけど、怒ってないならよかった。まぁ、多分慣れてるんだろうなぁ。私だったら同性に触られてもうざってかんじだけど、よく言われるって言ってたし。
「えっと、なんか、お礼のはずだったのに、変な感じになってすみません」
「いえいえ。全然。気にしないでください。えっと、まぁ、そんな、お礼とか最初から気にしてませんから。後輩が無事で、お互い禍根なく終われたなら、十分です。それに、本音を言うなら、可愛い男の子とお話しできただけで、十分嬉しいですしね」
あー、いい人だ。もちろん、最後のは嘘ではないだろうけど、あえて私たちの為に言ってくれてるやつだ。この人を疑うの、心痛むなぁ……いや、そんな簡単にほだされちゃだめだ! たくちゃんの為なんだから、心を鬼にして世の中すべてを疑って万が一を想定して備えないと!
「あ、そうだ。さっきいただいたやつ、開けますね、お茶菓子なんですよね? どうぞ、一緒に食べてください。一人で一箱は、ちょっと大変なところありますから」
あー、いい人だー。




