デートと妹 智子視点
今日は卓也君との、三回目のデートだ。前回では、普通にって言うか、慌てずにキスすることができた。あんまり可愛いから、ちょっと調子に乗って唇を舐めてみたが、本人は照れてはいても平気そうだったので、問題なかったはずだ。
正直、どうしようか、と言う悩みがある。いや本当に、人に言ったらぶっ殺されかねない悩みなんだが、まぁ、ようするに、どうやって最後まで持ち込むか、と言うことだ。
そりゃあ、最悪子供だけでもって言った気持ちは嘘ではない。でも実際に好きな男と恋人になれたんだ。さすがにすぐに子供は難しい。私は責任もって育てたいんだ。しっかりした稼ぎを約束できてから産むつもりだ。とは言えその前段階と言うか、練習と言うか、まあそんな建前なくてもとにかくしたいと思うのはしょうがないだろう。なにせ、単なる形だけの愛人ではなくて、ちゃんとした恋人なのだから。
あ、まだ仮だったか。でもまあ、キス拒まれてないし、こんなん確定だろ。
とにかく私としてはすぐにでもそう言った展開へ持ち込みたいのが本音だ。だがその前に考えるべきことが二つある。
まず、卓也君が童貞かどうか、だ。さすがに愛人の私がもらったら駄目だろ。いや、できるなら下剋上したいが、相手幼馴染だし無理だろ。ていうか、まず本人が嫌がるだろう。無理強いしたとか、スケベだとか思われて愛人すらなしになったら意味がない。
ないとは思う。だってデートもキスも余裕気だったし、愛人すでにいるくらいだし、そりゃ、やることやってるだろとは思う。が、最後までかどうかと言われると、確証がない。卓也君がその気になれなければ、例え正妻が約束されている加南子でも、無理強いできず寸止めで止めている可能性がある。
まあこれは、軽く様子見で誘っていって、って感じで様子をみれば、そこまで悪印象なく確認できて、うまくいけばそのままできるだろう。
だから問題は、もう一つの方だ。場所がない。我が家にはそんな場所はない。一応、私室はある。祖父のお陰で優遇されているし、土地はひろい。が、妹が乱入してくる可能性もあるし、常に誰かしら家にいるのだ。そんな中、おちおちしていられるはずがない。
噂によると、特殊なお金持ち用に、それ専用な宿泊施設がどこかにあると聞いたことがある。しかしそんな金があるはずがないし、あったとして場所も知らない。さすがに、エロ漫画じゃあるまいし、野外と言う訳にはいかないだろう。
「智子ちゃん?」
「っ、は、な、なに!?」
「いや、なにってことはないけど、ぼーっとしてるから」
「ご、ごめんごめん。ちょっと考え事してた」
「そう? 体調悪いなら、別にデートはまた今度にしてもいいよ?」
「まさか! 卓也君とのデートなら、熱出てても行くって」
「いや、出てたらやめてよ。うつっても嫌だし」
「あ、はい」
そうだけども。そら、男の子に風邪とかうつせないけども! 意外とクールだな。しかし……
「まぁ、とにかく大丈夫だよ。今日は買い物付き合ってもらってごめんね」
「ううん。大丈夫だよ。僕も結構好きだもん」
なんつーか、会うたびにいい男だな、おい! 全然高圧的じゃなくて、そのくせ従順なだけじゃなくて小悪魔的に可愛いし、料理を好きなのは知ってたけど、こうして電動ドライバー買いにホームセンターに来るのも余裕で付き合ってくれてしかもめっちゃ興味津々とか、めっちゃ話し合うし、最高すぎる。
祖父母が地元の商店街でデートしたってのは憧れだったので最初にしたが、ぶっちゃけ顔見知りばっかではずかったからもうしばらくはいい。なので行き先に迷ってとりあえず買い物ってことで連れだした。
とりあえず目当てのホームセンターは行って、近いのでそのままモールに行って喫茶店でお茶してるんだが、さて、ここからどうするか。自然な感じで、ここから何とか持ち込めないか。それか、今日はまだ三回目だし、諦めて健全なデートにするか。それによってここから行く方向が変わるな。
「ねぇ、卓也君」
「ん、なに」
「あー、ちょっと、とりあえず出よっか。卓也君、何か買いたいものとかない?」
「んー、特にないけど、あ、そうだ。よかったら、服見てくれない? 智子ちゃんの好みでいいし」
「え、私の好み? いいの?」
「うん。デート用の服少ないし、そろそろ秋服欲しいし」
彼氏に、好みの服を着せる!? 最高じゃん! はー、まじで、お祖父ちゃんとかから、時代違うしもう、同じような男子とか無理って言われてたけど、いるじゃん。めっちゃ理想のデートしてくれる男子いるじゃん。最高すぎ。
喫茶店をでて、適当な衣料店に入る。喫茶店では、特に何も言わなくても最初に割り勘デートをきぼうしたからか、普通に払ってくれる。別に、お金がどうこうじゃない。ただ、なんか、祖父母に聞いてたのと同じ、平等な男女関係っぽい感じって言うか、とにかく、いい。
「これなんかどう?」
「あ、いいね。じゃあ、着替えてくる」
秋物ってことで、ジャケットを一つ見繕って渡すと、にこっと笑って試着してくれることになった。卓也君はベビーフェイスの可愛い系だけど、だからこそ、ちょっと硬めの服にすると私色って言うか、より可愛さも際立って、いいよね!
「わ、ごめんなさい」
「あ、大丈夫です」
「!? 卓也君大丈夫!?」
「あ、大丈夫だって。ぶつかったわけじゃないから」
試着室は5メートルほどの距離なので、普通に見送ったけど、横から試着室に向かってか出てきた小柄な人とぶつかったようで、私は慌てて近寄る。相手が大げさに避けてくれたらしく、衝突はしなかったみたいだけど、全く、気を付けてほしいものだ。こっちは男性物が置いてある方なんだから。
「ごめんなさ、あれ、お、お姉ちゃん?」
「ん? あ、き、清子!?」
げ。小柄だし子供だとは思ったけど、まさかの妹!? まあ、うちの家からも割と地元だし、清子は一番上の妹で小6だ。ここまできていても、全然おかしくはないんだが……こいつには卓也君のこと言ってないし、微妙だな。
「え、もしかして、お祖母ちゃんが言ってた彼氏!? え!? デート!?」
ぐ。聞いてたか。なんも言ってこないから、聞いてないのかと。まぁ、でも、やましいことはない。ここは姉として、大人として注意してやろう。
「清子。外なんだから、あまり大きい声出すなって。後、気を付けてあるけ。こっちは男物おいてあるんだから」
「う、はーい……で、あの、私、木村清子です。お姉ちゃんの、彼氏さんですか?」
「あ、はい。酒井卓也です。その、よろしくお願いします」
人見知り気味な卓也君だけど、そう微笑んで挨拶してくれた。そのちょっと無理してる感が、保護欲そそられる。すっとさりげなく肩を組んで、前に出る。
「清子、と言う訳だから、気を付けろよ。じゃあな」
「ちょちょちょ、せ、せっかくあったわけですし、一緒しません?」
おいこら。何お前、普段、たまたま外で会っても一緒したことなんてねーだろ! 何猫かぶってんだ! 卓也君の前だし私だって被るけども!
「断る。デートだから」
「お姉ちゃんに聞いてません―。ね、卓也先輩、いいですよね?」
は、はー!? なにを名前で呼んでんだ! チョーシ乗り過ぎだぞ! く、卓也君の前じゃなきゃ、すでに手ぇでてるぞ!
「えっと……一人で来てるの? 友達とかは?」
「居ません。寂しいんです……」
「えっと、じゃあ、ちょっとだけ?」
「わあ! さすが卓也先輩!」
おおい! た、卓也君……! そ、それはないって! そりゃ、優しいとこ好きだけど! 騙されてる! そいつ別に友達多いし、服を買う時は友達の意見に左右されたくないとか言って好きで一人で買い物来てるだけだから!
ああ……まじか。今日も駄目だ、これ。くそ。いや、まぁ、将来的なこと考えたら、家族と仲良くなってくれるのは嬉しいんだけどさぁ!




