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あべこべ世界も大変です  作者: 川木
愛人編
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歩ちゃんの告白

 さっそく木村さんと下校、といきたい気持ちもあるけど、市子ちゃんと歩ちゃんも待ってくれている。ちゃんと市子ちゃんには説明しなきゃいけない。

 僕らは木村さんと別れて、二人と合流して下校しながら説明をした。


「あー、じゃあ、そっかぁ……」

「なんか、ごめんね? でももちろん、市子ちゃんのことないがしろにするわけじゃないし、これからも同じだからね?」

「うん。ありがとう。私も、木村さんよりは愛されるよう、頑張るよ」

「えへへ……ありがと」


 少なくとも表面上では前向きに受け入れてくれたみたいで、市子ちゃんは笑顔でそんな健気なことを言う。きゅんとしちゃうね。二人きりだったら確実にキスしてたよ。手くらいつなぎたいけど、歩ちゃんいるからやめとこ。

 って、こういう発想はよくないよね。まるで歩ちゃんがいない方がいいみたいに受け取れる。そういうんじゃない。歩ちゃんは歩ちゃんで、友達として大事なんだから。うん。友達が1人でもいる時は、ちゃんと全体に対して友達モードにならないと。


「あ、あのっ! ちょっといいですかっ!?」

「え、あ、うん。どうしたの? 歩ちゃん」


 突然、歩ちゃんが立ち止まって大きな声を出した。驚いてみんな立ち止まる。

 え、てかもしかして今僕、変な顔してた? 恋人モードっぽい顔になってた? うざかった? やばい。こういうとこから友情が崩れていくんだ。気を付けないと。とにかく理由を聞いてから、ちゃんと謝ろう。


「あの、わ、私も卓也君が好きです! 愛人にしてください!」

「え、えええっ!?」

「!?」

「あ、歩!?」


 思わず大声をだして一歩下がる僕に、僕の背中に手を添えて支えつつもかなちゃんも声には出さずに驚いたようだ。もちろん突然すぎるし、市子ちゃんも驚いて困惑の声を出したんだけど、何故か歩ちゃんは市子ちゃんにジト目を向ける。


「いや、なに驚いてるんですか。市子は知っていたでしょうがっ」

「そうだけど、まさかこのタイミングで言うとは」

「いやむしろ、私タイミングよんだつもりですよ? なのに木村さんに先を越されたから、もうなりふり構わず今なんじゃないですか」


 お、おお。知っていたのね。じゃあ、市子ちゃんが歩ちゃんより先んじて告白したから、空気読んで遠慮してくれてたってこと?


「あの、と言う訳ですので、いきなりだし、便乗したみたいだって思うかもですけど、でも、真剣ですから。どべでもいいから、考えてください。返事は、今じゃなくていいので! じゃ!」

「え、あ」

「歩! ごめん、ちょっと追いかける!」


 そして戸惑っている間に、歩ちゃんは真剣に告白してくれたかと思うと、勢いよく走りだして行った。

 え、そんないなくなっちゃうことある? 考えてって言うのはわかるけど、走って逃げることある?


「たくちゃん、どうするの?」

「うーん……ちょっと、考えてみる」

「え? そうなんだ。うん。じゃあ、帰ろうか。じっくり考えるなら、私はいない方がいいでしょ」


 いつも通りかなちゃんと家に帰る。その最中も、考えてみた。歩ちゃんのことをどう思っているか。









 家に帰ってご飯を食べたりもろもろ済ませて、自室で歩ちゃんについてよーく考えてみて僕は、自分でも驚いていた。自分で言うのもあれだけど、可愛い女の子がいたらだいたい少しくらいスケベな気持ちにはなるし、好きだって言われたらだいたいその気になるような人間だと思っていた。本命がいてそれで十分と言う気持ちとは別に、少しくらいその気になるのが僕の男心だと思っていた。

 あ、これだと男のせいにしてるか。僕が割とクズなだけかも。まぁそれもかなちゃんが受け入れてくれてるからいいんだけど。


 とにかく、僕はとてもストライクゾーンの広い人間だと自覚していた。でも不思議なほど、歩ちゃんには、そういう気持ちがなかった。友達だと思ってたとか、そういうのは市子ちゃんと木村さんと条件は同じだ。小柄だけど顔は普通に可愛い方だと思う。

 告白されたこと自体は、悪い気はしない。照れくさいけど。だけど、全然その気にならない。


「……」


 今、考え着く理由が、一つしかなくて、自分でびびる。だって、そんな。自分がそんなにおっぱい星人だったなんて、全く自覚してなかった。

 かなちゃんだってあるけど巨乳って程じゃない。市子ちゃんだって小ぶりな方だけど十分好きだ。でもそのくらいしか差が思いつかない。


 幼児体型系には心が動かないのだろうか。でも向こうでは年下とか、貧乳系も結構いけたんだけどなぁ。

 他に何か、理由があるはずだ。性格? ……いい子だと思う。思うけど、確かに結構お調子者なところとか、友達としていいけど恋人としてはどっちかと言うと恥じらうタイプの方が好きかな? うーん、でもそんなくらいでここまでピンと来ないものかな?


「…いや、そんなものか」


 見た目も性格も好みじゃないなら、全然その気にならなくても、そんなものか。と言うか僕にそんな好みとかはっきりあったのか。割と雑食って言うか、どんな感じでも興奮するタイプだと思ってた。意外だなぁ。

 まぁ、こっちに来てから、性的欲求とか変わってるし、好みもそう言うことなのかもしれない。それにしても、今まであえて友達をそういう目で見ないようにつとめてきたけど、歩ちゃんだとそんなに何も感じないのか。


 なんかほんと、申し訳ない気さえするけど、でも、それはさすがにしょうがないよね。


「……うーーーん」


 いくら何でも、好みじゃない子とお情けで付き合うとか、そういうのは絶対なしだ。無しだってわかっているけど、これめちゃくちゃフりにくいなぁぁ。だって4人で遊ぶうち2人恋人でも、本人気にしてないっぽいし元々4人で友達だったからって言えたけど、これ一人だけフった相手となると全然変わってきちゃうじゃん。

 しかも市子ちゃんだけじゃなくて、木村さんまで愛人候補にしちゃったし、歩ちゃんとかもしかして絶対受け入れられると思って告白してきてない? いやそれは言い過ぎにしても、可能性感じちゃってたらどうしよう。


 あー、ていうかこんな展開予想外すぎるよ。まさかこの僕が、人をふることになるとは。あ、こっちだとかなちゃん一回フってるや。て言うかこの間も、かなちゃんのこと実質フろうとしたみたいなもんだったかも。まぁ、かなちゃんだからノーカウントで。

 とにかく、歩ちゃんをふるのは決定としてだ。それを、どうやってフるかが問題だ。いや、まぁ、普通に言うしかないのも、うすうすわかっているけど、気が進まない。できればかなちゃんにでも言ってもらいたい……。


「いやいや」


 そういう訳にはいかないよね。もう絶縁するならともかく、できれば友達のままでいたいし、あー、でもそんな虫のいい話ないか。普通に考えたら、自分をフった相手と友達で入れるかって話だ。そんなの、前の僕とかなちゃんの関係考えたら絶対無理じゃん。はぁー。

 今更だけど、市子ちゃんとかもよく告白できたよね。もう友達じゃなくなるんだよ? こわ。めっちゃ恐いじゃん。

 あーーーー、もう、本当に、憂鬱になってきたー。


 最初は普通に、僕が選ぶだけのことかと思っていたけど、いざフること考えたら、つら。こうなったら、かなちゃんに電話しよ。そんで慰めてもらって背中押してもらおっと。


「あ、もしもしかなちゃん? 歩ちゃんのこと相談したいんだけど」

「相談? どういうこと? 愛人にするから、予定数増やしたいとか?」

「は? いや、歩ちゃんのことは断ろうと思うから、それについて何だけど」

「えっ!? 断るの!? え!? どういうこと!?」


 えっ、って、そんな驚くことこそ、どういうことだよ! 僕が絶対受け入れると思ってたってこと!? 確かに僕自身でも、全く好みじゃないのは予想外だったけど、誰でも受け入れるわけじゃないからね!? ましてちゃんと話し合ったばかりなのに。僕のこと考え無しのビッチだと思ってるな。

 かなちゃんとは、色々と話し合うことがあるようだ。

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