第28話 バカのアキムと召喚獣
「こ、国宝の……俺の剣があ!
貴様!何をしてくれる!死刑だ!」
アキムが吠える。まさか、試合前の話を覚えていないのだろうか?いや、恐らくそうなのだろう。
「死刑になりたくなければそれを渡せ!」
まだ、アキムは吠え続ける。
アリサもシリウスもその様子を見てやれやれといった感じで肩を竦め、イリーナはマズイと思いながら止める事はできなかった。
アカツキはもうイライラしてきたので、遂に行動を起こした。
「いい加減、黙れよ?バカ王子。それ以上口から糞垂れてるとどんどん王国の品位が落ちるぞ?
それにテメェは俺に喧嘩を売ってるって事でいいんだな?要するにアルーン王国がダオルーク王国大公爵アカツキ・ユウキに戦争を仕掛けたと解釈して。それにテメェは言ってる事がアホすぎんだよ。この低脳雑魚王子が。やりあう前に言ったよな?それが壊れても俺には関係ないと。それを分かって言ってるのか?
ああ、でも別にいいわ。そんなの。
戦争すんのは確定だもんな。まずはどうしてやろうか?
アルーンの冒険者ギルドを全て撤退させようか?それとも今から攻め入ってやろうか?それか、今すぐにお前を殺してもいいぞ?
そうだ、どうせなら王女様に聞いてみるか?
アルーン王国の品位を落とす糞王子とアルーン王国どっちが大切か」
完全な挑発。
アカツキはアルーンと殺り合うつもりで話を進めた。それにアカツキの言っている事は端から聞けば絵空事だが、実際にできてしまうだけの力がアカツキは持っている。さらに言い方は完全に悪役だが、やっている事はアキムの方が悪い事はこの場にいるアキムを除く全員がわかっている。
「貴様は何を言っているんだ!余程死にたいらしいな!ならいいだろう!今ここで殺してやる!
『我、汝を隷属させし者 我が命に答え 汝が命で 我が糧と為せ 忘境の地より出でよ 《邪劣竜》!』」
だがアキムはそんな事すら分からず、アカツキの挑発にのり、自身の切り札を使った。それは召喚魔法。そう呼ばれる物だった。それは現在では遺失魔法とよばれている。
そして、アキムが召喚したのはワイバーンの亜種で《邪劣竜》と呼ばれる個体だった。この邪劣竜はSレート相当である。
アカツキはそれを見ると笑いを堪えながらもアキムの言葉を聞いた。
「どうだ!この俺に逆らうからこうなるんだぞ!今さらそれを差し出しても遅いからな!」
溢れる小物感。まさにこの一言はアキムの為にあるのではないかと思えるほどの言葉だ。
アカツキはそろそろ笑いを堪えるのが辛くなってきたのか、そんな、アキムに声を掛けると軽い絶望へと叩き落とす事を決定した。
「ブッ!はははははは!!
なんだよ、その雑魚!お前、俺のランク聞いてなかったのか?まったく、彼我の実力差を分からず喧嘩売ってくるわ、どや顔で召喚したモンスターは雑魚だわ、マジでめんどくさいな。お前。
もう、めんどいからやってやるよ?その代わり死んでも文句言うなよ?《魔法破壊》、《空間拡張》、《空間遮断》、《反破壊》。
《召喚・アーク、イスカンダル、エクリプス、ソレイユ、オー、ヴォン、イスム、リョミ、キュリュテ、トネール、グラス》。
全員、ターゲットを告げる。
ターゲットはあのバカみてえな面してる奴とその上の邪劣竜。
あれを使え」
『了解しました』
龍達はそう言うと詠唱を始めた。イリーナ達は唖然としてその場から動いていない。
『【我、全てを司りし神龍なり 我が黒は全てを合わせ 黒く染める 漆黒の息吹を放つ してこれを極なる龍に与え託さん】』
『【我、焔を司りし神龍なり 我が熾焔は尽くを焼き尽くし この世を灼熱の煉獄へと変える息吹を放つ してこれを極なる龍に与え託さん】』
『【我、生命の水を司りし神龍なり 我が水は命を与え 全てを奪う 暴虐の水となり 相反する息吹を放つ してこれを極なる龍に与え託さん】』
『【我、世を回りし風を司りし神龍なり 我が風は鋭くそして命を奪う これを息吹として放つ してこれを極なる龍に与え託さん】』
『【我、地を作りし土を司りし神龍なり 我が土は恵みを与え 無慈悲に奪う これを息吹として放つ してこれを極なる龍に与え託さん】』
『【我、光を司りし神龍なり 我が光はこの世を照らしそして無慈悲に灼きつくす 何より速きこの光 これを息吹として放つ してこれを極なる龍に与え託さん】』
『【我、闇を司りし神龍なり 我が闇は全てを隠し 心の裡を隠さず 全てを壊す息吹を放つ してこれを極なる龍に与え託さん】』
『【我、雷を司りし神龍なり 我が雷撃は全てを貫く槍となり 敵を倒す息吹を放つ してこれを極なる龍に与え託さん】』
『【我、冷たき氷を司りし神龍なり 我が氷は全てを凍てつかせ 全ての生命を奪い尽くす息吹を放つ してこれを極なる龍に与え託さん】』
『【我、焔水風土光闇雷氷 全てを極め司りし神龍なり 我が全ては尽くを蹂躙し死を撒く 混沌を与えしは我が息吹なり さあ、歌え 死を嘆き生を乞う歌を さあ、奏でよう 死を与え 混沌に誘う旋律を 指揮を執るは我らが主 旋律を奏でるは我ら忠実なる僕 歌うは主に逆らう愚かな汝 審判を受け 断罪を受けよ 】』
『『『『『『『『『『《混沌断罪》』』』』』』』』』』
各々の詠唱と共に極神龍エクリプスの前に巨大な魔法陣が出現し、エクリプスの詠唱によって合成された。
そして、神龍達の術名詠唱によりその魔法陣より回避不可能の一撃が轟音と共に凄まじい熱量をもって放たれた。
龍魔法《混沌断罪》。神龍達の属性ブレスを1つに纏め、極神龍エクリプスによってそれを昇華、合成し放つ一撃だ。名前に意味は無いらしい。
アキムの運命や如何に?




