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転生先は北の辺境でしたが精霊のおかげでけっこう快適です ~楽園目指して狩猟、開拓ときどきサウナ♨~  作者: ふーろう/風楼
第三章

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サウナハットとか


 サウナハットはナスのヘタのような形状になっているサウナ用の帽子で、その目的はサウナの熱から頭を守ること。


 そうすることでのぼせにくくなり、サウナをじっくり楽しめるようになるのと同時に、頭皮や髪の毛も熱から守ってくれる。


 サウナの中で髪の毛は、その熱気から乾燥してしまい普通に痛むし抜け毛が多くなるしで……油断するとそれはもうひどいことになってしまう。


 タオルを頭に巻くでも良いのだけど、それで髪の毛全てを覆うのは難しく、大きめのサウナハットであれば簡単に覆うことが出来て……被りやすく覆いやすい、それがナスのヘタのような形状になっている理由だった。


 他にもサウナハットの中に水蒸気を溜め込んで乾燥しにくくする効果もあるとかどうとかで……サウナに入る際にはあると良いものだ。


 坊主頭などなど髪の毛がない場合でも……というか頭を守る髪の毛がないなら尚更サウナハットが必要とされている。


 素材はウールが良いとされていて、その理由はウールが熱に強いから。


 それだけでなく耐久性もあって汚れや匂いが定着しにくくて……そこまで高い素材でもないので、普通はウールにするらしい。


 ……と、そんなことを少し前にシェフィに作ってもらったサウナの本で学んでいた俺は、それをそのままサープに教えていて、そしてサープもまたそれをビスカさんに教えていく。


 ビスカさんはその説明をあっさりと理解し受け入れ……被っていたサウナハットを手に取り、しげしげと眺めてどんな作りなのかを確認していく。


 あのサウナハットはサープが作ったもので、恵獣の毛を使ったもので、ウールのものとは全く違うけども、精霊の力が宿った毛で作ったのだからウールよりも耐久性があるはずだ。


『本でちゃんと勉強しておいて良かったねぇ』


「いや、ほんと……今まではマンガとかで得た知識だったからねぇ」


 サープ達のことを見守りながらシェフィの言葉にそう返す。


 少し前に作った『サウナに関するQ&A本』、精霊工房出版二冊目となるその本にはサウナに関するあれこれが書いてあった。


 正しい入り方、悪い入り方、道具の使い方……などなど。


 サウナに関する知識はそこまで影響が少ないというか、こちらの世界にも……この村の皆の頭の中にもある程度あるものなので、必要ポイントは少なめで、ほぼほぼサービスのようなポイントで作ってもらえた。


「まさかこんな形で役に立つとはなぁ……自分がサウナを楽しむための本だったんだけどね」


『うんうん、作った甲斐があるってもんだよ』


 少し離れた所でシェフィとそんなことを言っていると、サウナハットの確認を終えたビスカさんはサウナハットを被り直してからサープの手を取り、何かを言ってからサープの手をぐいぐいと引き始める。


 目を輝かせ頬を上気させ、いつになく大きな笑顔で少し興奮気味で。


 そんなビスカさんにサープは気圧されて、引っ張られないよう抵抗するが、それでもビスカさんの方が勢いがあって……そのままサープをサウナの方へと連れていってしまう。


「……あ、なるほど、早速サウナハットを試したくなったのか。

 そして二人で入るってことは……シェフィ、お願い!」


 と、俺がそう声を上げながらシェフィの方に手を差し出すと、すぐに察してくれたシェフィは工房を呼び出し、ポイントをささっと加工し……中身入りの小さなガラス瓶を作り出してくれる。


 それを受け取ったなら、


「サープ!」


 と、名前を読んでからサープの方に投げ、サープはそれをさっとキャッチし、そしてすぐにそれが何であるかを察し、良い笑顔をこちらに向けてくる。


 サープに渡したのはレモンオイル、以前俺とアーリヒがサウナに入った際に使ったアロマで、混浴……というかサウナデートに使うには良い品だと思う。


 そしてサープとビスカさんはサウナに去っていき……それを見送ったシェフィが声を上げる。


『なんだかヴィトーもユーラもサープも、皆最初から飛ばしすぎだよねぇ。

 いきなりサウナ混浴からって……いや、悪いことじゃないんだけどさ。

 皆紳士的に楽しんでるみたいだし、その後も良い関係を続けてるみたいだしね』


「んん……まぁ、どの場合も女性からのお誘いだし、お付き合いしたい気持ちはあっても変な下心はなかったからねぇ……。

 色々衝撃的ではあったけど、真っ当なお付き合いは出来ていると思うよ」


 俺がそう返すとシェフィは、今までに見たことのないようなニヤけ顔で『え~? ほんと~?』なんてことを言ってくる。


「本当だよ……。

 それにサープはまだ条件を満たしてないから、お付き合いとかはこれからだよ?

 贈り物をした、サウナの負担を減らした、後は狩りの成果を見せるって条件が残っているからね。

 まぁ、そこら辺はサープなら問題ないと思うから、時間の問題だとは思うけどね」


 と、そんな会話をしたなら日常へと戻っていく。


 狩りにはまだいかないが、やるべきことは山程ある。


 普段使う道具の手入れ、コタの掃除、薪の調達、除雪や凍ってしまった食料や水筒の解凍なんて作業もあり……自分の分が終わったなら、村の皆の分も手伝ったりと忙しく過ごす。


 そうこうしているとサウナからサープ達が戻ってきて……戻ってきて……ん? んん?


 サープもビスカさんも顔が赤い、サウナで熱くなったという感じではなく、態度が妙で……距離が近いかと思ったらお互いの手が触れた瞬間距離を取ろうとしたり、なんか様子がおかしい。


「……サープ……。

 まさかだけどやってないよね? サウナでそれはマナー違反も良いとこだし、めちゃくちゃ怒られるよ?

 汚れとか色々大問題になるし……サウナ出禁になるよ??」


 俺がそう声をかけるとサープは全力で首を左右に振って否定の態度を示してくる。


「い、いやいやいや、そこまでは、そこまではやってないッス!?

 ギリギリ踏みとどまったッス!? 掃除が必要なことはやってないッス、マジで!!

 そもそもイチャついたのはサウナの外だったんで!! 外だったんでセーフッス!!」


 具体的にどこまで? とはあえて聞かない。


 聞く気もないというか何というか……まさか付き合う前にやらかすとは……。


 まぁ、当人同士納得しているなら好きにしたら良いのだけども……サープらしいと言えばらしいのかもしれないなぁ。


『……もしサウナでやらかしたらボク達も怒るからね……』


 なんてことを考えていると、シェフィがふわりとやってきて釘を差し、それを受けてサープとビスカさんは、背筋を正して同時に、


『はい! サウナではやらかしません!!』


 と、そんな声を返すのだった。


お読みいただきありがとうございました。


次回は狩りやら何やらです


そしてお知らせです

この作品……と言いますか、書籍版のコミカライズが決定しました!


詳細はこれから発表していきますが、WEB版から改変を加えた書籍版から更に改変を加えたコミカライズなので、WEB版読了済みでも楽しんでいただける内容になっている気配です。


詳細発表や連載開始にご期待いただければと思います!


WEB版、初期版ともども引き続きの応援いただければ幸いです!

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書籍版紹介ページ

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