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転生先は北の辺境でしたが精霊のおかげでけっこう快適です ~楽園目指して狩猟、開拓ときどきサウナ♨~  作者: ふーろう/風楼
第四章

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番外編『コミカライズ1巻 発売記念SS』

本日、コミカライズ1巻発売です!


「うん? 何をしているの?」


 天気が悪いある日のこと、コタの中で日用雑貨の手入れをしていると……コタの隅に机を置いて作業をしているシェフィに気付く。


 普段はそんなことをしないのに、何か用事があれば俺に頼むか精霊の世界でやってくるのに、わざわざこちらの世界にそんな机を用意してまで作業をするなんて……。


 一体何事だろう? との考えで発した問いかけにシェフィが応えてくれることはなく、黙々と……物凄い集中力で机に向かい続けている。


 コタの中央にあぐらで座っていた俺は背を伸ばしてシェフィが何をしているのか覗き込もうとし……徐々に距離を近付けていったことでシェフィの机が普通のものではないということに気が付く。


 なんか斜めになっている、変な定規がある……下から照らすライトもある?


 製図用……かな? あまりその辺りの道具に詳しくない俺は首を傾げながら徐々にシェフィの方へと近付いていって……一体全体何をしているのかと手元を覗き込む。


 どうやら紙に何かを書き込んでいるらしい……ペンも見たことのないペンだ、シェフィならボールペンでも万年筆でも作り出せるだろうに。


 そして書いている内容は……絵? いや、漫画だな、これ。


 ……漫画? なんでまた?


 擦り寄り擦り寄り近付いて、一体どんな漫画を描いているのかと覗き込んでみれば……もしかしてこれ俺とアーリヒか?


 ……俺達のこれまでを漫画にしている?? なんで???


 あまりのことに混乱し、言葉もなく硬直し……何の目的もなくシェフィに向けて手を伸ばすと、ようやく俺が近付いていることに気付いたらしいシェフィが振り返り、ベレー帽に眼鏡という、初めて見る格好で得意げに声を上げてくる。


『ようやく気付いた? 前々からちょっとずつ描き進めてたんだよ!

 これはね、漫画、精霊の皆にこっちで何が起きてるのか教えるために描いてるんだ!

 もちろんただ描くだけじゃなくて、ボクの視点から見たヴィトーをね、ボクなりの解釈を混じえて描いてるんだよ!

 どうせ描くなら面白くしないとだからね!』


「……シェフィが描いている以上は精霊サイズ……小さい訳で、人間が読むようなものじゃぁないなとは思ってたけども……まさか精霊用とはなぁ。

 ……他の精霊はそれを読んでる、の?」


『うん!

 普段からこちらを覗き込んでいる子もいるけど、皆が皆、そうできる訳じゃないからねー。

 忙しい子にはやっぱりこっちだよね!

 読みやすいし楽しいし……ついでにボクはこっちでこんなに頑張ってますってアピールも出来るからね、気合入っちゃうよね!』


 ……俺達の様子の報告書だけじゃなく、自分の仕事の報告書まで兼ねちゃってるのか……。


 それを当人が描くのはかなり問題がある気がするけども……しかし俺が何かを言ったところで止めるシェフィでもないだろうなぁ。


「……どんな内容か、興味があるから終わったら読ませてよ」


 諦めの境地に達し脱力しながら俺がそう言うとシェフィは『いいよ!』と弾ける笑顔でそう言って……それから嬉しそうに鼻歌混じりで机へと向き直り、手にしたペンを一層激しく忙しそうに、動かしていくのだった。


 


お読み頂きありがとうございました。


書店などで見かけた際にはぜひぜひチェックしてください



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