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337話

「違わなさそうだ。話を聞こうか」


 と、傍の席へシシーは案内する。まるで占い師であるかのように、対面に座って人生相談。の割にはどこか『楽しさ』のようなものも放っていて。座ると、頬杖をついて待つ。


 〈ヴァルト〉は全席ソファ席。ゆったりと、この時間を楽しんでほしいという考え。


 良く言えば『引っ張っていってくれる』。悪く言えば『無遠慮』。カッチャからすれば、どちらかと言えばアニーも後者なのだが、この人物の場合は、底知れぬ思惑……みたいなものが渦巻いている。というかそもそも。


「今、働いてんだけど。勝手に——」


「どうぞ」


「……は?」


 背後からいつの間にかユリアーネ。呆然とするカッチャを席へと促す。


 その様子を微笑みながら見守るシシー。


「おやおや」


 一瞬、そちらに目配せをしたユリアーネだが、再度その流れを推し進めていく。


「休憩、どうぞ。コーヒーお持ちしますね」


 軽く会釈し、その場を離れた。そしてそれを実行してどこか気分は清々しい。あの方のお役に立てたのなら。


「……あんたまで……」


 もうここまでくると、指示を受けたとかそういった類のものではないのだろうが、他人を操っているのではないか、とカッチャとしても疑いたくもなる。少しずつ、他人の心を侵食していって。いつの間にか、この人物の思うように動かされている、みたいな。そんなバカな。


 もちろんシシーとしてもそんなことはしていない。たまたま。そう、運が良いだけ。


「すまないね、ユリアーネさん。ではお借りするよ」


「…………」


 もはや返す言葉も見当たらないカッチャ。沈黙、は諦めを表現している。されるがままに着席。落ち着かない。指を組んでみたり目をキョロキョロと動かしてみたり。それでも、自然と対面の人物に目がいく。惹きつけられる、ってのはこういうこと?

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