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251話

 寝息を立てる額にキス。妙な満足感。有名になったりしたらマネージャーとかやろうかな。この子のことを一番わかってるのは自分だし。個人事務所とか。でもルービックキューブだけで食べていけるものなのかな。いや、無理無理。それはあくまできっかけで、そこから上手いこと落とし込んでいかなきゃ。


 そしてベッドには『三×三×三』のキューブ。寝る前までやっていたのか、揃え終わっている。数秒で解いてしまうのだから、眠るまでの間に何回揃ったのだろうか。そんなことが気になる。


 ふと、ヴァージニーに案が舞い降りてくる。


「……久しぶりにやってみるか」


 ここ最近、全くやっていなかった。キューブをあげたのも、その原因のひとつかもしれない。友達と遊んで。ご飯を食べて。戯れて。色んな欲求を満たしている。ゆえに教えるだけで自分が触れることはほとんど。


 適当にグチャグチャと崩して。照明が電球色なせいでわかりづらいけど。まぁなんとかなるだろう、という考えのもと挑戦。が、やっぱりオレンジ色がよくわからなくてギブアップ。色、色のせい、色の。こんなんじゃないんだって本当。


 なんて誰かに言い訳をして。はっきりと言えるのは、妹のルービックキューブの才能は私なんて比ではなくて。というか世界規模で。私にできることなんてなにもなくて。ならいっそ——


「……なんか違うこと始めようかな」


 違うこと。違うことって、今までやってきたこととは違うこと。なんだろう。ちょっとは私にもルービックキューブの才能ってあったと思う。すぐに揃えられるようになったし。みんなに喜んでもらえる程度には素早く揃えられるし。だけどその輝きが鈍かっただけ。


 妹の頑張る姿とか、なんかそういうの見ていたら、また違ったもので自分も頑張ってみたくなった。年齢としても全然遅くない。むしろ打ち込むなら早いものだって。うんうん。やる気出てきた。


 なにがあるだろう。ピアノ……はやってたけどなんか違ったし。ていうかピアノ売っちゃったし。なんかこう、頭、使いたい。勉強とは違って、そういう遊びみたいな。キューブとは感覚が近い。遊戯という面があってほしい。となると。


「……家のどっかにあったような」


 八×八のマス目。相手キングを目指す遊び。チェス。頭。使う。指。使う。世界大会。ある。長いこと。できる。


 いいことしかない。文字もないから妹ともできる。仲良し姉妹。


「……あり、かもね。とりあえず触りだけ。触りだけ」

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