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僕の方が先に好きだったのに……

作者: 衣谷強

思い付き短編です。


「こいついつも思い付いてんな」と思ったそこのあなた!

正解!


よろしければお楽しみください。

 初めて出会ったのは高校の入学式。

 入学式の歓迎演奏でソロを吹く姿に一目惚れした。

 そして興味もなかったのに入った吹奏楽部。

 顔を真っ赤にしながらトランペットに四苦八苦する姿を「可愛い」って言われて、嬉しいやら恥ずかしいやら……。

 一年生最後の定期演奏会では、「良い音、出るようになったね」って褒められて、顔が溶けるかと思った……。

 一年後、卒業生を送る会でソロを吹き切った時は、何故か涙が止まらなかった……。

 そうしてあっという間に二年という時間は過ぎ去り、告白もできずに僕の恋は終わった……。

 そう思っていたのに……。


「キスをしよう」

「はぁ!? せ、先輩、急に、何を……!?」

「君の彼女である確たる証が欲しいんだ。いいよね」

「いや、でもサークルのみんなが……!」

「公認の仲なんだ。良いじゃないか。最近は君の唇を独占するトランペットに、嫉妬すら感じるようになっているんだよ」

「えぇ……?」

「私が嫉妬に狂って君の楽器を損なう前に、さぁ」

「あの、こ、心の準備を……! あ! 何でみんな帰り支度を……!? 何ですかその生暖かい目は!」

「よそ見は良くないな。あの新人歓迎会の告白から半年、君はずっと私から目を逸らしている。釣った魚に餌をやらないなんて酷い事はしないよね」

「わ、わわ……!」


 僕の方が先に好きだったのに……!

 どうして先輩の方が、こんなに僕を好きなんだ……!?

読了ありがとうございます。


本来の意味とは違う?

叙述トリックだったのさ!

そうかな… そうかも…


ちなみに先輩は卒業生を送る会でのソロで後輩に惚れてます。

そして大学で再会して、新人歓迎会で酒も飲んでないのにテンション上がった後輩の告白を承諾。

しかしその後、告白の成功を信じられない後輩が半年ヘタれたので、我慢の限界を超えました。

後輩君さぁ……、君に「僕が先に好きになったのに」なんていう資格はないゾ。


お楽しみいただけたなら幸いです。

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― 新着の感想 ―
よもやよもやでした……。 このへたれめ、幸せになりやがれ。
だ、騙されたァァァァ!!www
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