『あい』なき君は電気羊の夢を見るか?
きら幸運様に捧ぐ
条件:「あ」「か」「が」「さ」「ざ」「た」「だ」「な」「は」「ま」「や」「ゃ」「ら」「わ」「い」「き」「ぎ」「し」「じ」「ち」「ぢ」「に」「ひ」「び」「ぴ」「み」「り」「ん」を使用してはならない
背く朧夜、震える鵺の声。船を漕ぐ子どもと、瑪瑙でけぶる布を織る。
負う、追う、桜と王よ。
鉄の斧、雲の葬送、残る羽毛。己を屠る黒の手へ問う。其を振るう故を。
透けぬ模様と消せぬ粗暴と。巣食う無謀と救えぬ友と。苔むす牢獄の梟よ、欲望と自惚れで煌々と肥え太る。
生む、倦む、膿む、有無。
業も、不幸も、嘘も、道徳も。溺れ、苦悩する男の熱で李の露のごとく溶けてゆく。ぬるく、ゆるく。酔うほども。噎せるほども。
揺れる炎、凍える無垢のオルゴール。洞窟の底で鈴の音を乞う百舌鳥、餓える乙女の躯を捨てる。
解く、疾く、独、毒。
痩ける桃の頬、ヘドロでぬめる腕、潰れる胸、燃ゆる臓物。こぼれる心もすべて遠く失せゆく。この世もろとも。
幸福を盗むこそどろと、不都合を微笑む偶像。腑抜けと怒る木偶の坊と、秋桜を持つ鳳凰へ逆上せる鸚鵡。
踊る、踊る。狂えるステップ。うつろうメヌエット。転べど踏めど、増え続ける不毛の責苦。過ぐる穀雨へ共寝を求む。
積もる憂鬱。綴る夕暮れ。
廻る、巡る、仏法僧の慟哭。
孤独と眠るロボットの夢。




