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リポグラム短編集〜『あい』を失った女〜  作者: 石河 翠@11/12「縁談広告。お飾りの妻を募集いたします」


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恋の『ほむら』は消しかねて

条件:「ほ」「む」「ら」「ぼ」「ぽ」を使用してはならない

会長(かいちょう)、どうした」

先生(せんせい)


 会長(かいちょう)()ばれた少女(しょうじょ)()(かえ)る。夕焼(ゆうや)けが生徒会室(せいとかいしつ)(あか)()めていた。少女以外(しょうじょいがい)、この部屋(へや)には(だれ)もいない。それでも()わりきっていない仕事(しごと)をそのままにして(かえ)ることなど、生真面目(きまじめ)彼女(かのじょ)にはどうしてもできなかった。


頑張(がんば)りすぎるなよ」


 (やさ)しく(あたま)()でてくれる(おとこ)()。ごつごつとしていくるくせに、どこか(あたた)かいその()にすがりつきたくて、少女(しょうじょ)制服(せいふく)のスカートをぎゅっと(にぎ)()める。薬指(くすりゆび)(ひか)指輪(ゆびわ)(にく)かった。


 じくじくとした(いた)みには()がつかないふりをして、少女(しょうじょ)はそっと(いき)()く。卒業(そつぎょう)刻々(こくこく)(ちか)づいてくる。それまでに()えるだろうか、この(こい)(うず)()は。()えることなどないというのであれば、いっそ(はげ)しくこの()()()くせば()いのに。


明日(あした)もいい天気(てんき)になりそうだ」


 (まど)によりかかり、茜雲(あかねぐも)見上(みあ)げる(おとこ)背中(せなか)少女(しょうじょ)はわずかに(はな)れ、その(うし)ろに()つ。


「こっちに()ないか。最高(さいこう)(なが)めだぞ」


 (おとこ)言葉(ことば)少女(しょうじょ)はそっと(くび)()る。ここが()いのだ。ここでないといけないのだ。夕焼(ゆうや)けで()びた(おとこ)(かげ)。その(くろ)指先(ゆびさき)にそっと自身(じしん)()()わせてみる。

ほむら(炎、焔)

1、ほのお。火炎。

2、ねたみ・怒りなどの激しい感情や欲望で燃えたつ心を例えていう語。

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