異世界軍同士の接触
<アメリカ海兵隊の駐屯地>
アメリカ陸軍や海兵隊の駐屯地は大型のものだと5万人から15万人が働く巨大な複合施設となっている。
基地内には無数の施設が立ち並び本来なら大勢の軍人たちが出入りする。
だが現在は非常事態令により多数の現役兵も治安維持に駆り出され、重装甲車両と交代要員、目減りした運営スタッフだけが残される寂しい基地となっていた。
<基地内外輪の娯楽施設>
この国の軍隊の基地には当たり前のように娯楽施設が整えられている。
そのうちの一つである映画館では数人の兵士が座席に座りポップコーンを頬張りながら異世界冒険ものの映画を鑑賞していた。
ちなみに施設は休館中だが彼らはここに誰も来ないことを完全把握したうえで設備を無断使用していた。
そのうちの一人はアレンだった。
「隊長、異世界から来た奴らの続報って聞いてないんですか?(むしゃむしゃ)」
「さあ、西の連邦庁舎にいることくらいしか知らない。俺ら下士官じゃあそこに入れないし。(むしゃむしゃ)」
「隊長、宇宙戦艦から降りてきた女は顔面偏差値高めでしたか?」
「ああ、好成績ではあった。でも狐耳の子ほどじゃないな。というかあれ宇宙戦艦じゃない提起」
「俺的には超よかったですよ。単に隊長は狐の子のほうが好みなだけでしょ。というか亜人てやつが好みなだけじゃないんですか?(むしゃむしゃ)」
「んー、もしかしたらそうなのかもしれない」
「マニアックだと言いたいとこですけど確かにあの子は北欧系とアジア系のいいとこ取りしたような美人でしたもんね。しかも狐耳というチャームポイントもあるとか無敵かよと」
アレンと部下たちがポップコーンを食べながら会話していたがグループ内には別部隊の兵士もいた。
「アレン、お前そんな美人とあって来たのか?」
声の主は同じ海兵連隊に所属するアンソン士官だった。
「まあ」
「好みだったん?」
「割と」
「落とせた」
「わからない」
「ふーん、努力はしたんだ。偉いぞ。(むしゃむしゃ)」
「お前は俺の守護天使ですか?」
「そうだよ、ハハ。(ミッキー〇ウス裏声)」
「うぜぇ」
「ごめん調子に乗ったわ。まあ、ここはもう異世界なんだしそういうのも有りな時代がやって来たってことなんだろう。落としちゃえ落としちゃえ」
「そう言ってもあれ以来会ってないんだが。今は太平洋軍の日本駐留軍施設にいるらしいし、たぶんもう会う気機会もないんじゃないのか?」
「なんだよ、異世界カップルとか面白そうだなあと思ったのに」
「ねえ、殴っていい?」
「いやだよ、ハハ。(ミッキー〇ウス裏声)」
<基地内の連邦政府庁舎のとある密室>
「今日で5日目、なのかしら...」
マルティネス艦長はとある施設で軟禁状態に置かれていた。
防護服の集団に連行された施設で女性兵士とみられる防護服の集団に衣服を引っぺがされた挙句、あらゆる方向から吹きかけられる全身シャワーをかけられ薄着のい服着せられた。
その後はただただ食事が出され、部屋の片隅に置かれた謎の絵が動く額縁を見させられては語彙や簡単な動作を発言させられる作業を延々と繰りかえさせられるのだ。
もしかしたら延々とこのまま動物のように扱われるんじゃないかという恐怖が徐々に芽生え始めていて精神が若干すり減り始めてくる。
だがこの軟禁生活はそこまで長い期間にはならなかった。
この日、ついに防護服を着ていない人間が出入りする部屋を移されたのだ。
「こちらの服を返却します。着替え終わりましたら部屋の外へどうぞ」
「ど...どうも...」
マルティネス艦長は誰もいなくなった部屋で返却された軍服を身に纏うと指示通り部屋のドアを開けてみた。
そこには大柄な兵士とみられる警備兵と先ほど母国語で話しかけた女性士官がいた。
「こちらへ」
マルティネス艦長は少し怖がるが表情には出さずに淡々と返事して整然と歩き出した。
連れていかれた先は立派なインテリアが施された大きな部屋だった。
その部屋には位の高そうな高官や高級将校と思われる軍人の姿がある。
「ようこそ、アメリカへ。我々はあなた方を歓迎します」
先ほどから同行していた女性士官が高官が話す現地語を母国語に通訳する。
以後は彼女が通訳を行った。
「ここ数日間のあなたの扱いをまず謝罪させて欲しい。こちらとしてはあなたが未知の病を持ち込んでいる可能性があったためやむを得ず隔離させてもらいました。また言語もわからなかったので翻訳作業を強要させたことも深くお詫びいたします」
マルティネス艦長はしばらく固まった。
だが頭の中を整理し終えたところで返事する。
「そのような事情があったのであれば私は気に致しません。必要な措置です」
「ありがとうございます。では本題に移りましょうか」
「ええ」
「まずはどこから話しますかな。では地球から説明させていただきます」
話は続く。




