そして混乱へ
炎国のとある城塞
アメリカ海軍のシーナイト輸送ヘリやオスプレイが着陸して兵士たちを次々送り出していた。
戦闘は掃討戦へと移行していた。
城塞内のあちこちで銃声が轟く。
城壁上から射撃する部隊の姿もある。
タタタン!
タンタン!
城塞側に押し入った軍勢は討ち死にするか降伏を意図する仕草をとって投降するかのどちらかしか選択できない。
一方、城塞の外、軍勢の主力はタイコンデロガの艦砲射撃やヘリ部隊の攻撃でチリジリに敗走し、本陣のある後方へ退却していった。
城塞内ではハクエンが体育座りでアメリカ軍兵士たちを見ていた。
しきりに狐耳をピクピク動かして英語を聞きかじるが内容が全く理解できない。
ハクエンは大きなため息をする。
先ほどまでの勇猛な姿は鳴りを潜め、激しい睡魔と闘いながら恥ずかしいというか後悔しているようなそんな感情に陥っていた。
幸い自分の柄でもないセリフを聞いて生き残ってるのはコウだけだし、助けてくれた謎の軍勢(アメリカ軍)は言葉が通じてないので聞かれている可能性は皆無なのがせめての救いだった。
「さて、これからどうしたものかしら...」
ハクエンは眠気にさいなまれながら今後の方針を考える。
まず自分たちは兵力も支配地域もほとんど残されていない残党であり、自分たちを助けた謎の軍勢の言い分は絶対聞かねばならないということは既定路線だった。
問題は謎の軍勢の素性と目的だった。
圧倒的軍事力をいかんなく発揮し自分たちに差し向けられた討伐軍を一瞬で撃退したその力は驚異的だった。
そもそもそんな力があるなら自分たちなんて無視するだろう。
そして略奪やレイプをする様子が一切ないのはかなり異様だった。
兵隊全員がそんな教育の行き届いたものだけで構成されうるものなのかと悩む。
それに暴力も振るわずやたら礼儀正しい。
ますます素性と目的がわからなくなる。
とりあえず自分たちの身の安全を保障してもらうことが先決だ。
彼らを利用して何かをなすのはそのあとである。
そこへアレンが現れる。
「食べるか?(Do you eat?)」
ハクエンはアレンから平べったい黒い板を差し出される。
得体の知れない物体に戸惑い何に使うのか考えるがわからない。
そこで匂いを嗅いでみる。
嗅覚は地球人をはるかに凌駕し、ミャウシア人よりもさらに優れていた。
嗅いだところ、甘くて香ばしい匂いがするので食べ物であると気づいた。
ハクエンが手に取らないのでアレンが一口食べて再度差し出す。
そこでハクエンは手に取り食べてみた。
甘くて苦い食べたことがない美味しさがそこにはあった。
ハクエンは渡されたチョコレートをあっという間にたいらげる。
「なかなかの味ね。あなたたちの国にはこんなお菓子があるの?」
アレンとしては元気づけたり親しみを持ってもらおうとチョコを渡したが予想以上に受けみたいでうれしかったが、会話が成立できないのは考え物だった。
そこでアレンはチョコレートを指さしでチョコレートと発音する。
ハクエンはこれがチョコレートという食べ物だと認識した。
するとハクエンは自分を指さす。
「ミョウハクエン!」
アレンは彼女の名前がミョウハクエンだと分かった。
それから二人はいろんな単語や名前を翻訳していった。
アレンは途中からメモ帳を出して書き出していた。
アレンが文法について書き出すころにはハクエンは睡魔に敗北してアレンに寄りかかって眠りにつく。
「隊長、もう口説いたんですか?早すぎですよ」
「イケメンだからね、しかたないね」
「みなさん初めはそう言うんですよ(笑)」
アレンが部下とジョークを言い合うなかでもハクエンは起きなかった。
その後徐々に状況が見え始めここが地球ではないこと、アジアでもないこと、異世界であることが判明した。
城塞はアメリカ軍の管轄下に置かれ、ハクエンたちを通して炎国の状況が地球側にもたらされることになる。
だがそんなことより異世界召喚による混乱のほうが重大と言わざるを得なかった。
すいません。
次回はディメンジョンズスクエアとは別にまた新作を3-5万字程度書きたいと思います。
またいずれの時かにもう2個ほど新作(試作)の出だしだけ書いてみたいと思います。
それとアルカディアンズの前に書いた初めての小説を閲覧可能にしときます。
すいません。
次はようやく日本メインで転移による混乱を書きたいと思います。
同時に付属的にアメリカの暴動略奪を州軍と行動するアレン視点も書きたいと思います。
すいません。
追記
ああああああああ、下書き消すの忘れてたああああ




