市街戦2
ニャパス市街
この都市は人口200万人の都市なだけあって市街は工業地帯や港も含めると50平方キロメートル以上あり、かなりまとまった数で市街戦を行った場合、大変骨が折れる戦いになる。
タタタタタァァァァン....
タンタンタンァァァァン....
ドオオオオン....
広大な市街から黒煙がいくつ立ち上り銃声と爆音がひっきりなしに聞こえてくる。
タッタッタッタッ。
一個小隊の猫耳兵士と数人の地球人兵士が裏路地を小走りで走っていた。
目的の建物まで来るとふた手に別れ、一方が建物のそばで兵士が色んな方向に銃を構え列になって固まる。
そして安全を確認し2-3人が小走りでドアのところまで走り周りから死角なのか、別方向に別れた味方から支援射撃を受けられるか角度なのかをチェックする。
先行した兵士が手で合図すると他の猫耳兵士も走って向こうの壁に寄りかかる。
地球人の兵士がドアをイギリス軍のL85主力小銃を構えながらチェックする。
そして何もないのを確認しドアを手で押して半開きにする。
そして一人のミャウシア兵が大声で呼びかける。
「我々は解放軍だ。10数える前に返事しなければ突入するぞ!」
返事がない。
兵士たちは突入の用意にかかる。
すると声がする。
「撃たないで中はあたしと弟の二人だけよ!」
「ドアからゆっくり出てこい!」
べそをかいた猫耳の女の子と男の子がドアから出てくる。
そしてゆっくりと兵士たちの方に歩いていき兵士に連れられる。
するとM4カービンを持った兵士とPPSh-41に似た短機関銃を持った兵士を先頭に建物へ突入する。
無人の部屋を一つ一つ制圧していくと上階のベランダやガラスを割った窓から兵士たちが銃を構えて敵がいそうな方角を警戒する。
下の路地では先程別れた兵士たちが既に陣地転換を済ませ、それを援護する兵士たちの手合図で小走りで路地を走っていく。
市街戦では連携行動が最も重要であり、如何に射線を稼ぎつつそれで味方を援護し移動、制圧していくかが鍵を握る。
ここではそれが事細かに実施されていた。
一方のクーデター軍側はそういった細かい戦術がイマイチで解放軍の効率的な火力投射と機動戦闘に押されていた。
というより経験不足甚だしいというべきだった。
なんせ解放軍側の指揮はNATO軍側が直接とっていて、末端の部隊に特殊部隊や特殊任務に明るい兵士を指揮官兼アドバイザーとして同行させているのだ。
しかも数でも勝っているのだから勝って当然だった。
ダダダン、ダダダン!
虎模様の髪の兵士がベランダから向こうの建物に向けて銃弾を浴びせていた。
撃っているのはミーガルナだった。
ミーガルナの武器はM4系統に見えるが通常のそれではなかった。
一番わかり易い違いはカートリッジマガジンではなくベルトリンクの弾薬が装填されているところだった。
見た目はM4カービンだったが明らかに機関銃である。
武装はアレスシュライクというアッパーレシーバー・銃身の交換式改造銃である。
重量はM249のカービンモデルより更に軽量でミャウシア人でも十分持てる重量だ。
だがそんな中不満をミーガルナは漏らした。
「難しいな...」
5.56x45mm NATO弾はいわゆる小口径弾薬で、ベトナム戦争で自動小銃で用いるには反動がきつかった7.62x51mm NATO弾の欠点を改善する目的で導入された。
更に反動の少ない小銃の採用により結果として大幅に命中精度を向上させることにつながりフルオートも容易となった経緯がある。
ところが試しにミャウシア人兵士に使わせてみたところ5.56x45mm NATO弾の反動でさえミャウシア人には少し強く、フルオート時の命中精度が安定しなかった。
つまり5.56x45mm NATO弾はミャウシア人にはバトルライフルに近いのだ。
M4カービンを用いているミャウシア兵の間でもこの弾薬に対する問題点が浮上する。
そのため専らセミオートやバースト射撃がメインになっていった。
それと関係ないがM16やM4に共通するしかたのない欠点としてメンテ間隔の短さが不満らしい。
AR-15系小銃はガスピストン銃ではないので汚れやすいのは仕方ないことでありそこを指摘されては元も子もなかった。
当然リカバリーが簡単な構造なのでこまめに拭いて掃除しろという話である。
ミーガルナは弾薬を撃ちったため機関銃のトップカバーを外してフィードトレイに新しい弾薬ベルトを装填してトップカバーを閉め、トリガーを引いて銃弾を薬室に込める。
そして構え直すと隣にナナオウギが来る。
「一時方向距離120、三角屋根の飛び出し窓に何かいるみたいだ。よく狙って」
ミーガルナは言われた通りそこに照準を合わせる。
すると案の定敵の影が見えた。
ミーガルナは引き金を引き射撃する。
向かいの屋根の飛び出し窓付近から壁材の粉が舞い、人影が一瞬で消えた。
ミーガルナはやった言わんばかりの表情をする。
「あ、ありがとう、隊長!」
「こっち見ない、見ない。警戒を怠るんじゃないって」
ナナオウギの期待はずれの反応にミーガルナはムッとした顔になりその後もう知らないと言わんばかりの不機嫌な表情に変わった。
するとナナオウギはミーガルナをチラ見する。
「どうかしたの?」
「別に...」
ナナオウギは表情を見て質問するガミーガルナは当然の表情をする。
するとナナオウギはちょっとだけ笑顔になる。
わかっていての発言であり予想通りの反応が帰ってきてナナオウギはほんの少しずつミーガルナを可愛く感じるのだった。
中世異世界に不時着遭難する救世編(仮称)でセンス無い恋愛描写ですがフニャンとミーガルナの三角をメインテーマの一つにしたいです。




