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フォルティス・オディウム  作者: たつみ暁
シズナ編――聖剣の勇者、魔王の花嫁――
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エピローグ

 シュレンダイン大陸には、唯一の王国アナスタシアが存在した。

 しかしその唯一王都は、突然空から降ってきた鋼鉄の城の下に沈み、国王をはじめとする多くの王侯貴族や民の死をもって、滅亡を迎える。

 治めるべき主を失った王国には、それまでアナスタシアの国威を恐れて息を潜めていた辺境の蛮族が次々と攻め入り、人々は物を、女子供を、命を奪われる、苦難の時代を迎えた。

 だが、ある時から、侵略者に対して天罰が下されるようになる。

 それはある時は魔物の姿を取って蛮族を食らい、またある時は天から降り注ぐ雷光となって一軍を焼き払い、またある時は、紫に光り輝く剣持つ人の姿を取って、敵を殲滅せしめた。

 たった一人で、剣と魔法をもって大軍を薙ぎ払うその姿は、まだ若き少女で、人々の間では、魔王を倒しに旅立って行方知れずとなった勇者シズナではないかという噂が立ちのぼった。

 だが、噂はあくまで噂であっという間に消え去り、やがて、唯一王都の上にそびえ立つ鋼鉄の城から、黒いフードをかぶった『神の遣い』を名乗る集団が現れて各地に散り、救世主の名を大陸に知らしめた。

 曰く、その名は『機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)』。かの神が与えし魔律晶を持つ事で、人々は救われ、神の子として安息を得るであろう、と。

 守ってくれるべき王国を失って、絶望の淵にいた民に、その言葉は瞬く間に広まり、人々は魔律晶を信仰の証として、デウス・エクス・マキナの名を讃えた。


 そんな経緯を経て、勇者と魔王の戦いは、歴史の濁流に呑み込まれ、触れる者はほとんどいなくなった。

 ましてや、残された光が、どうなったのか、など。

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