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鳴動36

「あんまり聞き込みを周囲でやりすぎると、本人に勘づかれる可能性が高いですが?」

と西田が倉野に質問した。

「問題はそこだ。ある程度固めておく必要がある一方で、出来れば早い段階で引っぱりたいところだが・・・・・・」

「任意で引っぱれますかね?」

「西田、それはちょっと厳しいだろ?あ、これって昨日竹下と最後に話したことの繰り返しだな。でも細かいことは今日話すことになってたんだから、丁度良いか」

倉野は昨日のいきさつを思い出すと、そう言って笑った。

「任意で引っぱるとしても、Nシステムの通過ポイントが現場とかなり離れてますから、厳しいのは事実だと思います。タイヤ痕も、同じタイヤ履いてる車なんてこの地域にたくさんありますから・・・・・・」

西田は言った。

「そうなるとやっぱり別件を考えないといけないか」

倉野の口から別件逮捕の言葉が出た。

「カメラの窃盗の件でなんとかなりませんか? 北川ですか? そいつが事件に関わっているとすれば、カメラもそいつに盗られたと見て良いと思いますが?」

黒須が、吉見から奪われたカメラの件を口にした。

「カメラ? なんだっけそれ?」

倉野が沢井に聞いた。

「事件の発端である、死亡した吉見から奪われたカメラです」

と沢井が答えた。

「ああ、スマン。うっかりしてた。その件な。それについてはどうなってるんだ? 何も情報は出てきてないんだよな、沢井?」

「出て来てません。未だに不明のままです」

「じゃあそっちも引っぱるにはやはり弱い」

そう言うと、倉野は思案顔になった。その様子を見ていた副本部長である槇田署長は、

「北見にマークさせたらどうだろう?」

と提案した。

「つまり北見方面本部に北川を付けさせて、何か犯罪事案がないか探らせ、その時点で別件ってことですか?」

と、倉野は聞き返した。

「そうだ。北見署でも北見方面本部でも使えるものはなんでも使えばいいんじゃないか?」

「結局そうした方がいいんですかね・・・・・・。ところで機捜(機動捜査隊)は使える状況だよな?」

北見方面本部から応援に来ている比留間管理官に聞く倉野。

「当然大丈夫だと思いますよ。一応今確認はしておきます」

比留間は答えた。

「よろしく頼む。出来れば早い段階で北川マークするように言ってくれ」

倉野はそう言うと、

「ウチも本来ならすぐ動きたいところだが、本格的に動くのは、タイヤ痕も含めた情報が一応出揃ってからの方がいいだろう。明日の午後には全部わかるだろうし。あと、基本的に北川の身辺調査は、今回お手柄だった向坂と竹下を中心にして行くのが本来だが、既に面識があるとなるとちょっと面倒だな……。余り表には立たない方が良いと思うが、不満か?」

と二人に尋ねた。

「いえ、それは当然のことだと思います」

向坂は即答した。

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