鳴動31
7月7日、遂に北見屯田タイムス購読者・法人についてのローラー作戦が完了した。この日は北見方面本部からしばらくぶりに、本部長たる大友雄平北見方面本部刑事部長が来ていた。彼は捜査員全員を本部に集め、捜査員からのこれまでの聞き込みの総点検報告を行わせた。その日ごとに会議において捜査報告はしていた以上、あくまで本部長への直接の報告という面での形式的なものに過ぎなかったが、目新しい成果もなかったため、念のため「復習」しておこうという腹づもりがもあったのだろう。
一方で、北見方面本部に依頼していた、Nシステムからの捜査アプローチについての状況報告が本部長側からなされた。まず、吉見の遺体が線路脇で発見された6月9日についてのみ、死亡時刻が午前2時前後と推定されていたため、留辺蘂・北見境界付近のNシステム設置箇所を留辺蘂側通過するとすれば、最速でも午前2時半という設定をしたようだ。保線作業員が現場付近に入るのは、通常午前3時半前後だから、少なくともその前には生田原の現場を去っている必要がある。そのため基本的に遅くとも午前4時ぐらいまでには通過しただろうというのが初期想定だったらしい。ただ、現場を離れた後、どこかに寄ったなどの可能性がないわけでもないので、結局思い切って午前6時まで範囲を広げたとのこと。それ以上広げると、純粋な北見留辺蘂を通勤範囲としている人間もかなり引っかかる可能性があり、収拾がつかないという理由もあった。
そして、現場に向かうパターンは、早くとも現場では日が完全に暮れてからの到着にするのがこれまでの行動から見て常識的であり、且つ現場で穴を掘るという作業をしている点から、それなりの滞在時間が必要という前提があった。というわけで午後6時半以降から午後10時の設置箇所通過を考えたようだ。幽霊扱いされた時は全て、網走発札幌行き上り夜行急行「大雪」の運転士に目撃されていることを重視。現場付近通過が日付が変わった直後のため、最も早く現場を離れたとしても午前0時半以降である見て、作業量から逆算すれば最低でも2時間は滞在しているだろうと思われることからの帰結である。同時に留辺蘂側からの設置箇所通過が、9日以外は午前1時以降ということになる。
つまり、6月4日から9日までの試験運用(運用期間は10日まで)の間に、北見方向から留辺蘂への通過が午後6時半から10時まで、留辺蘂から北見方向への通過が午前1時から午前9時まで(9日のみ例外で午前2時半から)の車両をピックアップする作業が行われているという説明だった。
そこにローラー作戦による購読個人宅、購読店舗、購読法人に関係するであろう車両の中で、捜査員達が現場にあったタイヤ痕と類似のタイヤ痕を、ナンバーを控えると同時に採取していることから、合致しているものがないかの作業を同時進行していることも説明された。




